イスラム国(ISIS)が日本人を人質にし身代金要求

1月20日、「イスラム国」とみられる武装勢力によって日本人2名が拘束され、2億ドル(約236億円)にのぼる身代金を要求していることが明らかとなりました。今回のこの事件は、安倍総理が「イスラム国」対策としての人道支援として、2億ドルを拠出することを表明したことを受けての、「イスラム国」による対抗措置と言われています。折から中東を訪問中の安倍総理は、「全力を挙げて救出に当たる」と表明しましたが、今、世界中のマスコミに注目されている中で、あるメディアでは、「安倍総理ができることは、実は少ない」「いや、打てる手はもはやない」と、報道しています(2015年1月20日 TIME誌電子版)。はたしてこの問題をどう見るべきなのでしょうか。

いつも出る”自衛隊派遣”についての議論

振り返ってみると、1996年にはペルーの日本大使館で人質事件が起きました。さらに2年前の2013年には、アルジェリアの石油プラントでテロが起きました。こうした事件の時にいつも出てきたのが、「日本の自衛隊を派遣できないのか」「特殊部隊を派遣できないのか」という議論でした。実は1996年のペルーにおける日本大使館人質事件に関しては、大使館は日本の領土なので、政治決断をすれば警察や特殊部隊を派遣することができました。しかし、当時の政府はそこまで踏み込みませんでした。2年前のアルジェリア人質事件においても、憲法の縛りによって、国外に警察や自衛隊を派遣することができずに、結果的に10名もの日本人の命が失われたわけです。なお、アルジェリア人質事件の時、フランス人の死亡は1名でした。フランスは民間企業が民間の軍事会社と契約して安全を守っているという下地があったからです。日本では憲法9条の手前、民間企業が海外の軍事会社と提携を結ぶ、契約するということは、あまりイメージが良くないため、進んでいません。

やはり憲法9条を改正するしかない

このように考えてみると、やはり今回の問題は、この日本にこの日本国憲法9条があるために日本人の命を実は救うことができなくなっている、護ることができなくなっているという点に、思いあたらざるを得ません。普通、中東でのこうした問題の際には、現地の宗教指導者や民間などのいろいろなパイプを使って、人質救出を進めていくものですが、「イスラム国」にはパイプがほとんど存在しません。そういうところで、最後に日本国民の命・安全・財産を護っていくのは、結局、「国家としてやるべきことはやる」という意思表示の部分になってまいります。今、超大国同士が向き合う戦争をするというような冷戦の時代から、このような小さなグループと国家が闘わねばならない、こうしたテロが起きる時代になり、その時代の中で日本国民の命・安全・財産を護るには、やはり憲法9条を改正するしかありません。そして、それによって日本国が国民の生命や安全を守るという意思表示を、しっかりと海外に向かって発信すべき時にきていると思います。