アメリカで正式にバイデン次期大統領が確定しました。一家ぐるみのチャイナマネー疑惑など、「中国寄り」と指摘されるバイデン氏ですが、巷では「中国に厳しく対応する」とも言われています。果たして中国が侵略を企てる台湾を、バイデン政権は守ることができるのでしょうか?新政権で米台関係はどうなる?政治学者のロバート・エルドリッヂ博士に聞きました。

11.20 eld

【ロバート・エルドリッヂ氏】
エルドリッヂ研究所代表。政治学博士。
1968年米国生まれ。
神戸大学大学院法学研究科博士課程修了。
元在沖縄米海兵隊政務外交部次長。
東日本大震災の「トモダチ作戦」の立案者。

バイデン新政権の台湾問題はどう動く

アメリカの混乱に乗じて、中国が台湾侵攻を行う恐れ

里村英一幸福実現党政調会長(以下、里村)
2021年の世界がどうなるかについて、ロバート・エルドリッヂさんにお話をお伺いしてます。さて 今回は、特に日本とって関わりの深いアジアについての話をお伺いします。バイデン政権がスタートしたときに、まず一番最初に心配されるのが「台湾にどのような影響が出てくるのか」というところなんですけども、これについてはどのようにご覧になっていますでしょうか?

エルドリッヂ氏
私は、今の情勢を考えると1月20日に台湾という国が存在するかどうかは不安視してます。なぜなら、中国は混乱を使って何か行動するんじゃないかなと思ってます。今、トランプ政権はいろんな主要な人物が抜けています。メディアは彼の書いてるものは一切報道しない、あるいは転送しません。新しい政権が誕生していないうちに中国は混乱を使って、台湾に対して行動するんじゃないかなと思っています。

里村
例えば、香港情勢を見ると、民主活動家中心に50数名もがいきなり国家安全法違反で逮捕されて、しかもその中身を見ると選挙に関する動きであって、別に何か暴動を起こしてどうのこうのでもありません。それに対して、国家転覆の恐れだとかいろんな理由をつけていますが、私からするといきなりトランプからバイデンへのスイッチのこの混乱期を狙って動き始めたなと思っています。

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エルドリッヂ氏
おっしゃるとおり。私は同じような理屈で、台湾に対して今度は軍事的な行動をするのではないかと思っています。例えば長引いてバイデン政権が誕生したら、バイデンはご存知の通り中国寄りの立場です。話し合いは打ち出すかもしれませんが、軍は動かさないのではないかと心配しています。

里村
それは要するに、オバマさんがやっていたのと同じですね。一応、言葉には出すけども軍は動かさない形ですね。そうなると当然、中国が「どうせアメリカのバイデン政権は口先だけだ」と見越して、どんどん増長していろんなことを始めるんじゃないかと思います。台湾に関しても、南シナ海に関しても、当然フィリピンとかベトナムも関係してきますけど。そうすると、東アジア情勢というのが、今後「安定」ではなく「流動的になる」というふうに見えるんですが、いかがでしょうか?

バイデン氏が副大統領時代から中国の覇権拡大は進んでいる

バイデン政権は中国に対して強い姿勢は示さない

エルドリッヂ氏
おっしゃるとおりですね。「バイデン政権になったら」という仮定の話ではなく、すでにオバマとバイデン政権が8年間あったので、8年間でやったこと・やらなかったことが全部検証できます。特に南シナ海でオバマ政権のときに、中国がどんどん進出して自分のところにしてしまいました。バイデン政権は中国に対して強い姿勢は示さないと思います。今、メディアは「バイデン政権はトランプ路線を基本的に継承する」とか「貿易で厳しい姿勢で示す」とか言うんですけれども、私は信じていません。

オバマ・バイデン時代にはアメリカの戦争が増えている

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エルドリッヂ氏
先ほど、オバマ政権は軍は使わなかったと仰っていましたが、実は弱い国に対しては使っていました。ブッシュ政権が2009年に終わったんですけども、ブッシュ政権が終わったときはアメリカは2つの戦争に関わっていました。オバマ政権が終わったときは、リビア・シリア・イエメンとかを含めて約8つぐらいの戦争に関わっていました。だから、日本では主要なメディアに出ているアメリカ寄りの学者たちとか評論家は民主党が平和な政党だと言うんですけど、とんでもない間違いです。しかし、弱い国に対しては軍事力を使うが、強い国に対しては使わない。だけど、強い国に対してこそ使う意思がなければ、抑止力になりません。

里村
本当にイメージと裏腹にトランプ政権は新しい紛争への関与がありませんでした。実はアイゼンハワー大統領以来で。

エルドリッヂ氏
しかも撤退しようとしていました。それに対してバイデンのイメージは「穏やかな人で、優しいおじさん」っていうけどもとんでもない人ですよ。騙されないようにしないといけません。

トランプとバイデンの「国際協調主義」の違い

里村
お伺いしますと、日本のメディアではバイデンが「国際協調主義」ということを出しているので、以前のように、日本もアメリカ・ヨーロッパの国々と協力して、例えば中国なら中国に対応できるようになって「いいことだという論調」が一般的なんです。しかし、オバマ時代の8年間をみますと、国際協調主義というのは、中国に対して「自由にやってください」というメッセージを与えただけでした。国際協調主義という非常に美しい言葉には騙されないようにしたほうがいいと私は思っています。

エルドリッヂ氏
おっしゃるとおりです。例えばトランプの功績としては、台湾との関係強化・日米同盟の強化といったものがあります。NATOとの間のいろんな摩擦があったんですけども、トランプはあくまで「皆さんの経済力に応じた貢献をしなさい」ということを言っています。日本に対しても、韓国に対しても言っていました。私から見れば別に悪いことじゃありません。それに対して、バイデンのいわゆる国際協調主義は「アメリカのようになりなさいという圧力の国際協調主義」だと思います。

バイデン政権に備えて、台湾はどのように対応しているか

里村
なるほど。そういう見方の中で、今、台湾の蔡英文政権に何か変化は出ていますでしょうか?

エルドリッヂ氏
私から見れば、バイデン政権と連携しようとしています。忘れないように、無視されないように、軽視されないように一生懸命アメリカと関係を作ろうとしているのは感じているんですけども、本当にかわいそうだと思います。つまり、そこまで不安があるんだと思います。やっぱり、必死にトランプが作った関係を維持したいということです。私は、トランプの残りの時期にいろんなことをやってほしかったんですけれども、一つは大統領として台湾を訪問すること、台湾を国家承認すべきだったと思うんですけども、そこまで至らなかったことはちょっと残念だなと思います。

里村
もう残り少ない任期でポンペオ国務長官がアメリカの国連大使を台湾に派遣するというの発表して、ちょっと踏み込んだかなというのはあったんでけど、あと時間がもうないというところですもんね。昨年3月に台湾に取材に行ったとき、台湾の学生さんたちが「香港を見て危機感がものすごく強くなった」と言っていたのが印象に残ってるんです。台湾は蔡英文さんをリーダーとして、国民全員がまた日本とか自由・民主主義を共有できる国々が「フォローするんだぞ、ついてるんだぞ」ということを中国に分かるように示していかないと、中国が暴走を始めますね。

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台湾を中国から守るために日本がすべきこと

エルドリッヂ氏
だから、その意味ではやっぱり日本の役割が非常に大きいんですが、安倍政権のときに十分に果たされませんでした。菅政権にも残念ながらあまり期待できないんですけども、具体的に必要なのは「日本版台湾関係法」だと思うんです。要するに 日本の安全保障と台湾の安全保障が密接な関係にあります。例えば、尖閣が失われたら台湾が絶対失われていく、台湾が失われたら尖閣が失われるという関係です。だから、中国が何をしてるかというと、やっぱり台湾とか宮古海峡をいかに制覇できるのかを中国が毎日のように試しています。日本は何もしていません。結局のところ実効支配を示そうとしていないとか、そういうところで中国からすると日本がますます意志が弱い、防衛力が弱い国になっていると軽視されていると思います。11月だったと思うんですけど、王毅外相の尖閣諸島の領有権主張発言がまさにそういうものだったと思います。茂木外相がその場で何にも反論しませんでした。

里村
日本の問題、特に尖閣についてはまた回を改めてさらにお伺いしたいと思います。2021年は日本人が台湾に関する関心を強めなければ、あっという間に日本にとっても重大な安全保障上の問題が起きてくるということが、今日のエルドリッヂさんから頂いた話でした。

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バイデン政権になったら、日本への影響はどう出るか?

求められる日本の主体性

エルドリッヂ氏
日米関係の文脈で他にもいくつかの点を共有したいと思います。今、日本にとってどういう時期なのかと言うと、まず言えるのは今アメリカは大混乱の状態、法治国家としても民主主義国家としてもなくなりつつあるという状態ですけれども、さらにこれから経済も非常に弱くなるということです。日本にとってアメリカは唯一の同盟国です。頼っている同盟国が今、社会的・経済的・政治的に混乱してる状態は頼られない国になっているのは、ちょっと心の準備をしないといけません。したがって、その「主体性」がすごく重要となってきます。2つ目ですけども、政治的に混乱だけでなく、経済的に混乱してる状態は、おそらくアメリカの消費者が経済的な余裕がなくなります。そうすると需要が減る、日本からの輸出が減ることになります。そこで日本の企業とか日本全体が困るので、市場を探さないといけない。そこで、たぶん中国は手を挙げると思います。中国と経済界との関係がどんどん強くなるので、騙されないというか巻き込まれないように別のルートを考えないといけない思っています。さらに重要なものとしては、バイデン政権は日本に対して内政干渉する政権になると思います。今から8年前の安倍総理の靖国参拝のときに、大使館が「落胆した がっかりした」という声明を出していましたが、その裏にあったのはバイデンだったのです。だから、今後は勇気がなければ、日本の首相は靖国参拝がたぶんできなくなります。

里村
本当にいずれも一つ一つ取り上げていかなければならない重要な問題だと思います。今年2021年はエルドリッさんが挙げてくださったいくつかの項目について折々にまたお話を伺いしたいと思います。いずれにしても、2021年はほんとに年初からのんびりとはしていられない時代だということが、今日話を聞いて分かりました。今日はどうもありがとうございました。

エルドリッヂ氏
ありがとうございました。

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米大統領選はバイデン支持派の「クーデター」!?【ザ・ファクト×ロバート・エルドリッヂ氏】

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https://thefact.jp/2020/2796/

【米大統領選】誰がなぜ不正選挙を企てたのか?【ザ・ファクト×ロバート・エルドリッヂ氏】

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https://thefact.jp/2020/2800/

「もしバイデンが大統領になったら…」政治学者がシミュレーション【ザ・ファクト×ロバート・エルドリッヂ氏】

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バイデン大統領誕生でアメリカの民主主義は崩壊する!?【ザ・ファクト×ロバート・エルドリッヂ氏】

サムネイル①

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