尖閣沖で武器を使用できるよう海警法を改正して領海侵入を繰り返すなど、バイデン政権になって侵略行為を過激化させる中国。これに対し、一部の議員から尖閣実効支配に向けた提案がなされているが、当の政府が積極的に行動を示さないのが現状である。今回は、番組開始以来、尖閣問題について取材をしてきたザ・ファクトが、「日本を守るために今、政府がすべきことは何か」を提言する。

解説:里村英一(幸福実現党政調会長)

里村さん1s

※3月11日に加筆しました。

尖閣問題に改めて警鐘を鳴らす

バイデン大統領就任以降、尖閣をめぐる中国の動きが活発化

ザ・ファクトでは、番組開始以来、尖閣の問題について様々に取り上げてきました。中国が尖閣の侵略を狙っているということで、それに対する警戒の声を鳴らしてきた訳ですけれども、アメリカで1月20日にバイデンが大統領に就任して以降、非常にこの尖閣をめぐる中国の動きが活発化してきています。同時にそれを巡って日本やアメリカでも動きが出てきております。本日はこの尖閣を巡る、特に中国の動きについて、改めて警鐘を鳴らしたいということでお送りさせて頂きたいと思います。

中国共産党100周年へ向け、さらに軍備を拡張する中国

中国が海警法を改正し、尖閣周辺での武器使用を可能に

まず2月1日、中国が海警法を改正し、尖閣周辺の領域において、武器使用を可能にするという法律の改正を行いました。端的に言えることは、「中国がここは我々の海だと勝手に思えば、そこで武器が使用できる」という風に法律を改正した訳です。更に中国では、今、上海で新しい空母がいよいよ完成間近だということで、この空母が今までより規模が大きく、しかもカタパルトを備えているということで、中国が海軍力を非常に強めているということも明らかになってきました。また更に、つい最近の毎日新聞の報道によりますと、同じく上海で、上陸・占領のための強襲揚陸艦の建造も急ピッチで行われていると言われています。この辺全部ですね、今年の7月に来る中国共産党100年記念の節目を迎え、様々な形で法律整備、あるいは海軍力の整備が進んでいるということなんです。更にまた中国は3月1日、尖閣周辺での活動を常態化させると宣言しました。常態化っていうことをわざわざ言うってことは凄いですね。

習近平政権以降、尖閣周辺での活動が飛躍的に増加

そして、今日現在3月5日ですけれども、現在20日連続で中国の公船などの活動が確認されています。ちなみに政府のデータで見ると、はっきりした記録がでるようになっているのが2012年秋なんですけれども、2013年、習近平政権が本格化してから尖閣周辺での活動が飛躍的に増えました。特に去年2020年は、接続海域への侵入が333回、領海侵犯が29回に及んだ訳ですけれども、2021年、まだ3月5日現在でこの数字を大幅に超えてきそうです。そういう目で見ますと、中国が法律の整備を進め、軍事力の整備を進めると同時に、着実に尖閣での活動を常態化して、ここは我々の地域なんだと、中国の領域なんだということの既成事実化を狙っているのは間違いないという状態になってきております。

天安門

煮え切らない日本政府の対応

こうした動きに対して、日本側も決して手をこまねいている訳ではありません。つい先日も、日本政府としては、例えば中国が尖閣上陸してきたなどの場合に危害射撃ができるという、危害射撃容認の見解を発表しています。これを見ると、「お、やってるな」と思う所もあるんですけど、実態を見ますと、まだまだだなと言わざるを得ない現状があります。私の手元に与党の内部資料があるんですけれども、与党、特に自民党の国防系の議員の方々から出た、例えば、尖閣に新しい灯台をつくる、あるいは港をつくる、あるいは尖閣の野鳥などの調査などを大義として、日本側が尖閣に上陸し、実効支配という事態を強めるべきではないかという意見も出ているんです。これに対して、政府の方からの回答としては、非常に現状維持的な答えが与党の方に届けられています。基本的に新しい港をつくるなどに関しても、「沖縄県での漁場整備全般を進める」というような回答で紛らわして、結果的に言うと、今年2021年2月終わりの段階で、日本政府としては、新しい施策するというのが“ゼロ”という状態になっています。果たしてこれで良いんでしょうか?私としては疑問に思わざるを得ません。

このままでは尖閣諸島は盗られてしまう

中国による尖閣上陸は“時間の問題”

今までザ・ファクトでは、まさに尖閣諸島の現場である、沖縄県石垣市の中山市長にインタビューするなど、様々な形で尖閣に対する危機感を訴えてきましたけれども、ここまできて、私としてはいよいよ、中国による尖閣上陸が、“時間の問題”になってきたのではないかと思います。その理由は先ほどから言っておりますように、中国側の軍の準備が整ってきた、法律整備が進んできた、尖閣での活動を常態化させるまで宣言しているというように、外堀をどんどん埋めている。更に心配なのは、与党自民党の一部で日本のことを心配している議員の方から声が挙がっても、それが自民党の中で潰されているという事実があるということです。そういう意味では、内堀も徐々に埋め立てられています。これは、孫氏の兵法お得意の、“戦わずして勝つ”という状況がどんどん進んでいるのではないかと思います。

里村さん石垣市長と

(「中国船の侵略から尖閣諸島を守れ!渦中の中山義隆石垣市長に直撃インタビュー!」2016年9月26日配信)

最悪のシナリオが現実化か

例えば、先日石垣から300km離れた海域で、中国漁船が転覆、遭難するという事故もありました。これ自体は不幸な事故だとは思うんですけれども、前からザ・ファクトでも言ってきた、中国の尖閣上陸のシナリオの一つが、漁船の遭難を演じて、漁船員が尖閣に上陸し、その保護名目で中国海警局などの船が乗り込んできて、尖閣に上陸し、そのまま実効支配まで持っていくのではないかと、これが今まで言ってきたシナリオなんですけれども、今回の事故を見ると、ちょっと私自身はヒヤッとしたということは事実です。これが杞憂であれば良いけれども、もし事実となったら、日本はもう本当に“後の祭り”になります。

THE FACTでお伝えした「中国の尖閣侵略」シミュレーション
元在沖縄海兵隊幹部:ロバート・エルドリッヂ氏
もし尖閣諸島が中国に実効支配されたら【侵略シミュレーション】

尖閣シミュレーションCG(大)


元陸上自衛隊西部方面総監(陸将):用田和仁氏
もし中国が日本を攻撃するとしたら~元陸将がシミュレーション

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届かない石垣の人々の叫び

石垣市の中山市長は再三に渡り、沖縄県庁に対して、「尖閣の守りを固める部署をつくって欲しい」、あるいは国に対しても様々な要望を挙げておられます。しかし、石垣の人々の叫びというのはなかなか沖縄県庁にも日本政府にも届きません。先般これに業を煮やした沖縄県議のある方が県議会で、玉城デニー知事に対し、「中国の動きに対して怒りを覚えないんですか?」ということを、沖縄方言を交えながら質問されていました。それに対して、「冷静な対処をしていきましょう」という、沖縄そして日本のいつもの十八番とも言える答え方をしています。“遺憾である”あるいは、“冷静に対応していこう”と、こういう答え方が繰り返されています。

<THE FACT現地取材レポート>
石垣島が危ない!尖閣沖に迫り来る中国船に地元は今【ザ・ファクト】

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中国船の侵略から尖閣諸島を守れ!渦中の中山義隆石垣市長に直撃インタビュー!【ザ・ファクト】

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中国を牽制する姿勢を見せるアメリカ

米軍の動きを見ると、先日読売新聞の報道にもあったように、ついに米軍も尖閣沖で訓練計画をしたとありました。2月ですけれども、荒天のため中止になったんですが、こういう動きもあります。この辺などを見ると、米軍の方が既に、中国の尖閣侵略に関して、牽制し始めているのではないかという風にも思います。

“地位の立場に安住する者、その者の権利は守られない”

ということで、2021年春に至って、いよいよ尖閣は“ホットスポット”として、大きな大きな争点になって参りました。もちろん前からもそうなんですけども、私も数年間ザ・ファクトをやってきて、いよいよ熱くなったというのを感じざるを得ません。この段階で私達はどうするべきか。国際関係においては、“地位の立場に安住する者、その者の権利は守られない”というこの大原則に照らして、日本としては、「灯台をつくる」「担当官を置く」「港をつくる」などの実効支配をいち早く進めなければ、日本は永遠に禍根を残すことになると訴えたいと思います。

(里村氏のトークはここまで)

里村さん最後

「海警法」とは

海警法とは正式には中華人民共和国海警法といい、中国海警局(海警)の権限を定めた法律です(2021年2月1日に施行)。海警法では、中国の主権・管轄権が外国の組織・個人から侵害された場合の武器使用を認めており、中国の管轄内の海や島に違法建造物があれば強制排除できるとしています。
国連海洋条約では、海上の法執行機関が外国公船に対して武器を使用することを認めていません。従って、海警法は明確な国際法違反です。しかし中国は、国際法には違反しないと主張しています。
これに対し日本政府は、外国公船や軍艦が日本に上陸するため領海に侵入した場合、海上保安官による「危害射撃」が可能との新たな見解を示しました。危害射撃とは、領海・領空侵犯の際に警告したにもかかわらず退去しない場合に、機体や船体を銃撃することをいいます。

海上保安庁巡視船01

海上保安庁の巡視船(出典:海上保安庁ホームページ)

中国公船の尖閣諸島沖への接続水域侵入状況

日本が尖閣諸島を国有化したが2012年9月11日以降、中国公船による尖閣諸島沖への領海・接続水域侵入が活発化しています。特に近年は年々増え続けており、2020年は過去最多となる333回の接続水域への侵入が行われました。

2012年  79回/延べ428隻(尖閣諸島国有化9/14以降)
2013年 232回/延べ819隻
2014年 243回/延べ729隻
2015年 240回/延べ709隻
2016年 211回/延べ752隻
2017年 171回/延べ696隻
2018年 159回/延べ615隻
2019年 282回/延べ1,097隻
2020年 333回/延べ1,161隻
2021年  61回/延べ221隻(3月10日時点)

出典:海上保安庁ホームページ「尖閣諸島周辺海域における中国公船等の動向と我が国の対処」

領海と接続水域の違い

領海とは、海岸線から12カイリ(約22km)の海域で、沿岸国の主権が及びます。これに対し接続水域とは、海岸線から24カイリ(約44km)までの海域で、違法行為の取り締まりなど、主権国が規制を行うことが可能です。

領海・接続水域

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