昨年のアメリカ大統領選で話題になったマスコミの偏向報道やフェイクニュース。5年前の2016年に行った同じテーマのアンケートでは、75%の人が「マスコミは信頼できない」と答えました。果たしてマスコミに対する国民の意識は変化しているのか?今回のザ・ファクトでは、5年前と同じ場所で「マスコミの信頼性」をテーマに再び街頭アンケートを行いました。
新宿で100人アンケート実施!
(一部インタビュー紹介)
「信頼できる」と答えた人
「信頼できない」と答えた人
「どちらでもない」と答えた人
調査の結果はこちら
信頼できる・・・16人
信頼できない・・・75人
どちらでもない・・・9人
アンケートの結果は「信頼できない」が75%にのぼった
解説:里村英一(幸福実現党政調会長)
5年前よりも信頼できない理由が多岐に渡るようになった
「信頼できる」16人、「信頼できない」75人、「どちらでもない」9人ということで、圧倒的に信頼できないという方が多いという結果に終わりました。実は5年前に同じ新宿で調査したのですが、全く同じ結果でした。100人中75人が信頼できない、と同じ数字になりました。ただ、5年前は主に歴史認識問題を中心に「信頼できない」という理由でしたが、今回の調査では、例えばコロナ報道、尖閣諸島の問題、さらにそれも含めた中国の問題、またアメリカの大統領選など、非常に話題として多岐に渡るようになったなというのが印象的です。ではこのように、なぜ信頼できない人が多いのでしょうか。
2016年に行ったアンケートはこちら
あなたはマスコミを信頼していますか?新宿100人アンケート【ザ・ファクト】
信頼できない理由は「偏向報道」にある
実は、ザ・ファクト自体も、今から7年前に「マスコミが報道しない事実、真実を報道する」ということを標榜して始めさせていただきましたが、信頼できない人が多い理由は、ずばり「マスコミの偏向報道にある」とこのように言えると思います。例えば今、歴史問題、国際情勢問題、あるいはアメリカの大統領選、あるいは経済問題にまで、偏向報道の幅が広がっています。ただ、これは日本だけではありません。アメリカ、あるいはヨーロッパでも、マスコミに対する不満は高まっています。
偏向報道が「陰謀論」を盛り上げた側面がある
「陰謀論者」を叩くマスコミ
また、これと同時に、最近日本、アメリカ、ヨーロッパのマスコミが、「陰謀論」が盛り上がっているという話題を取り上げています。この陰謀論というのは、例えば「Qアノン」「ディープステート」「アメリカの大統領選がイカサマだった」ということであったり、あるいは「コロナは中国が武漢から意図的に流したものであった」といったような話です。マスコミは、こういったものを十把一絡げに「陰謀論」として取り上げています。そして「陰謀論に賛同してデモをする、様々な活動をする人がいる」「嘆かわしい」「危険だ」、というような報道しています。ザ・ファクトとしては、必ずしもこうした陰謀論に与するわけではありませんけれども、私は、このマスコミの取り上げ方は問題があると思います。
人々が知りたいのは「真実」
それはなぜかと言えば、まさに「マスコミが事実を報道せずに偏向している」という不満が、人々の間で「本当のことを知りたい」「教えて欲しい」ということで、ある意味で陰謀論の盛り上がりを生んでいる部分もあるわけです。したがって、責任はそうした人々にはないということです。責任はマスコミにあるわけです。これは何も私だけが言っている話ではありません。今、マルクス・ガブリエルというドイツ人の新実存主義の哲学者が世界で話題になってますけれども、マルクス・ガブリエルは、その新刊の一つの中で、同じことを言っています。「マスコミの偏向報道が陰謀論の盛り上がりを呼んでいる」と、このように断言しています。
マスコミ自身は多面的な見方が出来ているのか
こういった目で見たときに、日本の新聞やテレビ、またアメリカ、ヨーロッパの既存の主流派マスコミは、陰謀論で盛り上がる人たちを「現実を直視しない人たち」「不平不満の捌け口にしている人たち」、あるいは端的に言って「知的レベルが低い」というような決めつけをしています。しかし原因はそこにはなく、むしろマスコミの偏向報道があります。それであるが故に、知る権利に基づいて動いている人たちが、今、様々なかたちで陰謀論と言われるものに集まり、動いているのです。主流派マスコミは、こういう動きを「危険だ」「これは独裁主義につながる」あるいは「全体主義につながる」と言って、よくナチス・ドイツの盛り上がりに繋げたがる傾向があります。
全体主義を論じるならハンナ・アレントほどの精緻さで検証すべき
私は、これに対してもはっきり言って言いたいことがあります。かつて、政治哲学者のハンナ・アレントが『全体主義の起源』という著作の中で、全3部にかけてナチズムの全体主義の解明を精緻に研究し、そして論じました。
これぐらいの精緻さで見た上で、どのような独裁主義、全体主義の危険性があるのかということを、これを問うていただきたい。
私から見るならば、むしろ知る権利に基づいて動く人たちのその行動を十把一絡げに「全体主義への危険性」と捉える、主流派マスコミのこの動きの方が、私は独裁的・全体主義ではないかと思います。
様々な角度から議論することで「民主主義の健全性」を守るべき
したがって、もちろんザ・ファクトもそうありたいと思いますけれども、基本的にマスコミは様々な角度から論じた上で、その上で「これはフェイクである」と「これは真実だ」ということを提示していただきたい。そしてお互いに提示する事実、真実が違うならば、それについてどんどん討論することが、「民主主義の健全性」を守るべきだと思います。今回の新宿における調査は、このようなことの大切さを、改めて私に教えてくれました。