「聞く力」を標榜する岸田首相はこれまで再三にわたり、世論の批判を受けては政策を転換してきた。金融所得課税ではマーケットの批判を受けて方針転換、佐渡島の金山の世界遺産登録では自民党内の批判を受けて方針転換、年金生活者への5,000円給付でもバラマキの批判を受けて方針転換・・・。例を挙げれば枚挙にいとまがない。今回のザ・ファクトは、岸田首相の「ポピュリズム政治」に迫る。
00:00 中・朝・露の「三正面作戦」を余儀なくさせる日本政府のウクライナ問題への対応
01:15 世論を指標に政治を行う岸田政権
02:35 ウクライナ問題でもポピュリズム政治
03:28 これまでの岸田政権の方針転換事例
06:28 参院選直前まで具体像が示されない「新しい資本主義」
09:13 戦争を止める気がないアメリカと、これに追随する日本
09:56 日本は戦争に加担するのではなく、停戦の仲介役をすべき
11:43 日本にとって最大の脅威は「中国」
井手裕久氏(幸福実現党政調会)
参議院自民党(政策審議会)を経て、現在、幸福実現党政務調査会。
自民党職員時は、橋本行革や郵政改革などを担当したほか、
NPO法などの議員立法の立案・制定作業に従事。
聞き手:新村幸久(ザ・ファクト・ディレクター)
日本政府のウクライナへの対応-その問題点とは
新村
日本のウクライナ問題への対応について井手さんはどのようにお考えになっていますか。
井手
まずは、この問題に対して岸田総理の熱量が極めて高いという印象を受けますね。報道されているところでは来月日本の総理として初めてNATOの首脳会談に総理が出席する方向で調整されているということですし、対ロシアについては日本政府としては制裁を強めてきているということで、こうした日本政府の今の姿勢、アメリカ追随一辺倒なのは明らかだと思います。ですが、これは岸田政権としてもこの方向というのは誤った外交判断だと考えています。やはり今まで築いてきたロシアとの友好関係を今回の件で崩してしまった。そればかりか、今やロシアによる北海道侵攻ということも取りざたされるまでになっているという事です。このまま行けば日本というのは中国・北朝鮮に加えて強大な核戦力を待つロシアとも対峙する必要が出てくると。三正面作戦ということを余儀なくされるという状況になっているかと思います。
新村
今お話にあったように岸田総理というのはロシアに対して制裁を強めていますし、あとこの日本国民の中でもロシアに対する非難、この世論というのはやはり日に日に高まっているようなところもあると思うのですが、この辺はいかがですか。
井手
このロシア非難の国民世論というのにも押されて岸田総理としては対ロシア制裁を強めていると言えるわけですが、基本的にこの岸田政権というのは世論を指標に政治をしていると言えるんですよね。それで今、政権としては内閣支持率が極めて堅調ですし、高支持率の理由の一つとして永田町界隈でよく言われているのが、岸田政権では前の菅政権の失敗というのを相当研究しているようだと聞きますね。
新村
これはコロナ対応のところもありますかね。
井手
そうですね。菅政権は後手に回っている批判がありましたし、また菅政権についてはトップダウン、強権的な手法というのも批判され、また国民とのコミュニケーションをとれない政権といった批判もあったところですよね。
新村
今の井手さんの話聞いていると、国際社会、今回だったらウクライナに対してもそうなのかもしれないんですが、この人気取り政治。「ポピュリズム」という言葉もあると思うのですが、そういう政治を展開しているようにも見えますよね。
井手
そうですね。ウクライナに対しては日本政府としてはもう極めて異例のことですが、防弾チョッキやヘルメットまたドローンなどの支援ということで、事実上の軍事支援と言えることをしています。私たち幸福実現党は、この日本政府の姿勢は明らかに踏み込みすぎたと考えています。またウクライナに対しての財政支援についても行っていますし、3億ドルの財政支援、借款を決めていると。この借款については5月19日に6億へ倍増するとも総理は表明しています。
岸田政権の主な政策方針転換
新村
ここで一つご紹介したいフリップがあります。
新村
岸田政権の政策方針転換ということで上から「金融所得課税」ですね。これは昨年の総裁選で岸田総理が掲げたんですが、マーケットの反発を受けて10月になって「当面触ることは考えていない」ということで方針転換。ただ2022年2月に入ってまたこれも再検討しようかというふうに転換しています。この金融所得課税に関してはこの岸田さんの発言を受けて株価が下がって損をした個人投資家がかなり出たようで、あの「億り人」ならぬ損をした個人投資家のことを「岸り人」と揶揄されるようなこともあった一つの事例となっています。あと「濃厚接触者の受験」ですね。昨年末のオミクロン株感染者の濃厚接触者の大学受験の際に、当初文科省は無症状でも受験を認めないとしていたのですが、これも文科省に批判が殺到し、それを受け総理が撤回を指示し、別室での受験が可能になりました。「国際線の新規予約」に関してはコロナ水際対策ということで、国土交通省から航空会社に国際線新規予約の一律停止を要請していたのですが、これも批判が殺到して岸田総理の指示で要請を撤回しています。4つ目の「佐渡島の金山の世界遺産登録」なのですが、当初見送りを検討していたところ、自民党内の反発を受け、これもまた見送りではなく世界遺産登録を推薦の方に舵を切り替えています。最後5つ目ですね。「年金生活者5,000円の給付案」に関しても、自民党の幹事長と官邸で調整したのですが、これもバラマキの批判を受けて白紙に撤回しているということで、政策転換していいものも中にはあると思うのですが、どうしても軸がない。そういう印象を受けるんですが、これについてはいかがでしょうか。
井手
ホントその通りだと思いますね。岸田総理自身今年一月の施政方針演説で、コロナ対応について次のように述べているんですね。「一度決めた方針でもより良い方法があるのであれば躊躇なく改め柔軟に対応、進化させていく」こう述べています。ですので、岸田総理として方針も改めるということは躊躇なくやるんだということですから、夏の参議院選挙を乗り切るまでは有権者の世論におもねって安全運転に徹する。それで評判が悪いものは変更するということで、参議院選挙を乗り切るつもりだと言えますよね。あと岸田政権は看板政策であるところの「新しい資本主義」ですよね。これについても具体像が示されなくてそのビジョンだとか実行計画が示されるのが来月の6月ということで、だから選挙直前参院選直前に示されるんですよね。ですから国民は、よくわからないまま参議院選挙に突入するということにもなるということです。
新村
もう総理就任以降ずっと「新しい資本主義」って言ってはいるんですけどね。
井手
けれども具体像が示されないと。それで聞くところではその自民党内の会合の場でも新しい資本主義の全体像がわからないと。これでは有権者に伝わらないというような意見も多く出ていると聞きます。この内容がわからないといえば総理が提唱している「新時代リアリズム外交」なるものもそうだと思いますよね。
新時代リアリズム外交の具体像とは
新村
これ「新時代リアリズム外交」というのは具体的にどういうものになるのでしょうか。
井手
そうですよね。これ、よくわからなくて岸田総理の派閥は宏池会・岸田派ということで岸田総理が講演なんかで言われていることを元にして考えると、例えば日中国交正常化をなした時の大平正芳外務大臣ですね。この大平外交などの「宏池会の伝統がリアリズム外交」と位置付けていて、このリアリズム外交を継承していくというのがこの岸田政権の方針でもあると思います。ただ「新時代リアリズム外交」っていうのは何を指すのか判然としない。国会答弁では、「未来への理想の旗をしっかりと掲げつつ、したたかで徹底的な現実主義を貫く外交」これが「新時代リアリズム外交」だとは答弁はしています。
新村
今、したたかということも出てきたのですけれども、日本は今、ウクライナ問題をめぐってロシアを敵に回してアメリカには追随してウクライナを全面的に支援しているというところで、「新時代リアリズム外交」と言いつつも日本国内および国際世論のウケを狙った「ポピュリズム外交」、これを展開しているようにも見えますね。
井手
そう見えますし、また言い方を変えれば結局、岸田総理の言う「新時代リアリズム外交」なるものはアメリカ追随のことを指すんじゃないかという言い方もできるかなと思うんですよね。ただバイデン政権はウクライナに関しては直接的な軍事介入こそしてはいないものの、武器を供与したり機密衛星の情報を提供することによってウクライナを支えているということで、バイデン政権は選挙対策もあってか、結局のところ戦争を止めようとしているようには見えないんですよね。
新村
そこに関してはアメリカのオースティン国防長官も今回のウクライナ問題に関して、アメリカの目標としては「ロシアの弱体化だ」という発言もされたということで、本当に止める気はないんだなっていうのはよくこの発言でもわかりますね。
井手
このままいけばロシアが戦術核の使用に踏み込む可能性もあるということですよね。
日本は今こそ停戦の仲介をすべきである。
新村
ここで、ご紹介したい書籍がありまして、大川隆法総裁の『ウクライナ問題を語る世界の7人のリーダー』という霊言ですね。こちらが今、最新刊として発刊されているんですけれども、この本のあとがきの中で大川隆法総裁がこのように述べられているんですね。『アメリカ、バイデン大統領の持つ全体主義的ホロコースト体質を警戒するべきである』。岸田首相に関しては、『岸田氏は「YEN」をばらまく「花咲かジイサン」にしか見えてないことを悟るべきだ』。これに関連して、今後日本としてどういう対応していけば良いかというところでは、『日本は今こそ停戦の仲介をすべきである。』というあとがきを大川隆法総裁は書かれております。
井手
本当にそうで、やっぱり戦火拡大を避けるためにも、これを本当はアメリカにも働きかけるべきだと思います。これは日本の国益にもかなうと思うんですよね。幸福の科学グループと幸福実現党は、このウクライナ問題では「ロシアの肩を持っている」と、「ロシアを応援している」と見る向きもあるんですが、決してそのような事はなく、世界に「正義のある平和をいかに実現するか」、その観点から言論を発信しているわけなんですよね。
新村
そうですよね。さっき井手さんからお話のあった、事実上の軍事支援を日本がしているという事例から見ても、戦争に加担して戦争を長引かせているのがアメリカのバイデン大統領で、日本の岸田政権というのはそれに追随しているようにも見えますね。
日本にとっての最大の脅威とは
井手
戦争に加担している状態ですよね。事実上、加担してしまっているということなんですけども、ただ、やはり日本にとって最大の脅威というのは中国だと思うんですよね。ウイグル・チベット・南モンゴル、そして香港などで苛烈な人権弾圧を行っている中国。こうした中国の非道な所業をいかにして抑え込んでいくか。これが非常に重要な政治的な課題ですし、また新型コロナウイルスについても私たち幸福実現党は、中国による生物兵器だと見ています。この対中国に国際社会は一致結束して、注力すべきだと思うんですよね。
新村
本当の脅威を見誤ってはいけないということですね。
井手
ですからバイデン大統領の唱える「民主主義」対「専制主義」との対立構図ではなく、「信仰ある国家」対「無神論・唯物論国家」という、この構図で新たな国際秩序を構築すべきだと思います。
新村
わかりました。ウクライナ問題をめぐって日本は特に、停戦の仲介役ですね。こういう役割が日本にとっては大事なんだというところを特に今回のこの番組を通じて訴えていきたいと思います。井手さん、ありがとうございました。
井手
ありがとうございました。
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待ち受けるのは、
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希代の宗教家だからこそ
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