国連がついに北朝鮮の人権問題にメス入れ

国連人権理事会が組織化した北朝鮮問題に関する特別調査委員会は、1年にわたって脱北者ならびに日本や韓国の拉致被害者の家族に面談して詳細な調査を行い、報告書を公表しました。これを受け国連安全保障理事会は2014年4月17日、この報告書についての協議を行うことを発表しました。ザ・ファクトは国連人権理事会の本部があるスイス・ジュネーブで、国連調査委員会委員長のマイケル・カービー氏にインタビューを行いました。

北朝鮮の「強制収容所は存在しない」は通用しない

北朝鮮側が今回の調査報告書を否定し、強制収容所の存在さえも認めずにいる点に関し、マイケル・カービー委員長は、「通常の強制収容所と政治犯収容所両方の経験者から既に数多くの証言を得ている」とし、北朝鮮の収容所の実態が世界に明らかになっていることを指摘しました。とりわけ強制収容所から脱北したシン・ドンヒョク氏は国際人権理事会において英語で証言をしており、実母の絞首刑や実兄の銃殺刑など、自身の悲痛な体験を語っています。

北朝鮮強制収容所に生まれ育ったシン氏をはじめとする痛切な証言

シン氏の証言は収容所で声をあげられずにいる大勢の方の代弁でもあり、北朝鮮収容所の存在とその劣悪な環境を示すゆるぎない証拠です。マイケル・カービー委員長は証言の力を強調し、「拉致被害者、収容所の人々、飢餓によって家族を失った人々、そして北朝鮮政府の無視によって起きた人身売買・女性迫害、強姦や強制堕胎などを受けた人々のことは私たちの記憶に鮮明に残り続けます。私たちの人生の一部になり、その記憶を消すことはできません」と語りました。

国連調査委員会は中国の責任も指摘

この報告書では中国をも非難しています。マイケル・カービー委員長は「中国はこの報告書は不当だと主張しましたが、中国は大きな経済力と歴史ある文明を持つ国連の常任理事国です。中国にも責任の一端はあります。中国は報告書にある勧告と事実を正直に受け止めざるを得ないと思います」と述べました。

北朝鮮の人権問題は国際社会共有の問題

北朝鮮の人権問題は決して一国の課題にとどまらない、国際社会の共有のテーマです。北朝鮮の問題が解決され、彼らに平和と正義がもたらされることを願っています。国際社会の一員として、日本も委員会の方々と共に貢献していかなければなりません。