来年4月、10%消費増税とともに、
軽減税率の導入が予定されている。
日本ではなじみのない軽減税率だが、
すでに導入している国は多い。
今回は、各国の軽減税率事情をお伝えする。

「タンポンに軽減税率」?

記事画像フォーマット(横)

里村  今回のザ・ファクトはいつもと趣向を変えて、
奥津プロデューサーに参加してもらってお送りします。

奥津 今回は、ある記事を紹介しにまいりました。
ワシントンポストの「The ‘tampon tax,’ explained」
(タンポン税、その説明)という記事です。

ワシントンポスト

奥津 これは、生理用品のタンポンの税金についての
記事です。いま、アメリカやイギリスではタンポンに
税金(消費税)がかかってるんですけれども、
「それは女性差別ではないか」という主張ですね。
つまり、タンポンは日常必需品ですから
税金かけているのはおかしい。
軽減税率の対象にして無税にすべきだ、
ということです。
そもそも事の起こりは、去年6月、カナダが
女性の生理用品を軽減税率の対象にしました。
つまり、消費税がかからなくなった。
それをアメリカやイギリスでもやりませんか、
というのが、この記事の主旨なんです。

里村  なるほど。アメリカやイギリスは生理用品に
対して普通に課税がなされている。
それに対して、「おかしいじゃないか」という声が
出ているということですね。
しかし、軽減税率は難しいですね。こういう問題が
出てくるんですか。

奥津 そうなんですね。

里村  女性差別だ、とか。

奥津 はい。

里村  はあ、そうですか。

奥津 この記事を紹介したのは、フェミニズムの観点
からではなくて、今、里村さんがおっしゃったように、
「軽減税率、どうなんだ?」と問いたいからです。

国民50%が「軽減税率」反対

里村 これはですねえ、年末最後にバタバタバタッと
決まりまして、日本では軽減税率は「食品」に
適応される。で、一部「新聞」などにも
適応されそうだ、ということですね。

軽減税率の対象

奥津 この「新聞」への適応に関しては意見もいろいろありますね。
ただ、NHKの調査では
「国民の50%が軽減税率に反対」ということなんです。

軽減税率円グラフ(記事用サイズ修正版)

各国の「軽減税率」 どんなものが対象か?

奥津 で、今日はすでに軽減税率を行っている国では、
「どういうものに軽減税率がかかっているか」という
のを紹介したいと思います。
まずは、イギリスです。

①イギリス

どちらが軽減税率対象?(答)なし

奥津 ビスケットとチョコビスケット。
これはどちらが軽減税率の対象でしょうか?

里村  これはねえ、雰囲気で、
香りをかいでもわかるんですけど、
チョコビスケットの方が軽減税率の対象外。

奥津 そうですね。
ビスケットは「食品」なので軽減税率の対象。
チョコビスケットは「贅沢品」なので対象外、
ということです。

里村  チョコ好きの人が聞いたら怒りますね。
「チョコ差別だ!」と。

奥津 あんまり差がないと思うんですけどね。

どちらが軽減税率対象?

 

②ドイツ

奥津 続いてドイツでございます。

どちらが軽減税率対象?ハンバーガー(答)なし

奥津 ハンバーガーです。
これは日本でも同じなんですが、
「ハンバーガーをお店で食べた場合」と
「ハンバーガーをそのまま家に持ち帰った場合」、
これはどちらの場合が軽減税率の対象でしょうか?

里村  これはワイドショーなんかでも
ずいぶんやってましたね。
これは「持ち帰りは軽減税率の適応」、
「お店で食べると軽減税率がかからない」、
つまり、「外食」として認定されると。

奥津 正解です。おっしゃるとおり、
持ち帰ると「食品」ですので軽減税率が適応される。
ただ、お店で食べると「外食」です。
なので、対象外。
同じハンバーガーなんですけどね。

里村  まあ、あえて言うと、お店で食べると、
お店の人がテーブル拭いたり、
片付けたり、というサービスがあるから、
っていうのもありますけど。

奥津 うーん。これは日本ではコンビニでも
適応される、ということです。

里村  コンビニでもそういうスペースありますしね。
しかし、これは難しいですねえ。

どちらが軽減税率対象?ハンバーガー

 

③フランス

奥津 そして、最後にフランスの例でございます。

フランス珍味

奥津 これは高くて現物が買えなかったんですけど、
「世界三大珍味」です。
トリュフ、フォアグラ、キャビア、どれが軽減税率の
対象でしょうか?

里村  これは、全部、フランスの高級料理には欠かせないものです。
贅沢、といったらぜんぶ贅沢の極み。
だから、全部軽減税率の対象外です。

奥津 「贅沢品」だから軽減税率の対象外だ、と。

里村  うんうん。

奥津 正解はですね、キャビアが「対象外」です。

里村  なんでトリュフとフォアグラに軽減税率が
適応されるんですか?

奥津 これはですね、フランスにとってトリュフと
フォアグラは国産品で、キャビアは輸入品だからです。
つまり、国産品の保護のために軽減税率を適応している、ということです。

里村  うーん。

フランス珍味(答えあり)

一人あたりの効果は、たったの4,300円!!

里村  なるほどねえ。しかし、まあ…

奥津 ややこしいんですよね。

里村  ややこしいですわ、これはもう…。

奥津 ややこしいから、もうこんなの止めた方が
いいと思うんですけどね。

里村  このややこしさは、買う方もそうですけど、
売る方もそうです。
税の申告等の手間を考えたら…

奥津 ほんと、たいへんですよね。

里村  軽減税率導入してどれくらい効果が
あるんですか?

奥津 これは政府の試算によると、
これだけいろいろややこしいことをやって、
一人あたりの税負担がどれだけ減るかというと、
たったの年4,300円!

むしろ「消費増税」を止めませんか?

里村 まあ、年4,300円ということだったらむしろ、
消費税上げて消費が停滞するマイナスのほうが
よっぽど大きいんじゃないですか?

奥津 そうなんです。
だったら、消費税上げるな、
という話なんですよ。

里村  そう。これに関してはザ・ファクトでも
幸福実現党の政策を紹介しながら、
「やはり消費税上げるべきではない」。
むしろ、できることならば「消費税率を下げるべきだ」
という考え方を今までお伝えしてきました。

奥津 先ほどもお伝えしましたように、
「軽減税率には国民の50%が反対」ですからね。

里村  軽減税率によって少しでも税金が安くなる。
それはいいんだけれど、税負担の軽減、ということで
あれば、そもそも消費税上げを止めるべきである、と改めて言いたいですね。

奥津 ほんと、そうですね。