※12月17日に「ロングバージョン」として、動画では公開しなかった部分も含めて、文章を大幅加筆しました。
※新型コロナウイルスの影響により、2021年5月に返還を延期していましたが、12月まで再延期されることが発表されました(3/27時点)
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【2021年12月に返還再延期!】「さよなら、香香」“国民的アイドル”中国へ返還 ~シャンシャンの本当の故郷とは?【ザ・ファクト】
公開:2020年12月10日
時間:11分48秒0:00 シャンシャン紹介&街頭インタビュー
2:30 パンダ外交のはじまりとは?
5:04 パンダの名前も自由に決められない?
6:17 パンダと言えば中国?
9:07 新曲『さよなら、香香』
日本生まれの大和撫子”シャンシャン”中国へ
上野動物園のアイドル、パンダのシャンシャンが、繁殖適齢期を迎えることに伴い、中国へ返還されることが決まっています。当初は12月末に返還される予定でしたが、新型コロナの影響で、パンダの輸送にあたる日中の専門家の渡航が非常に困難となったことなどから、2021年5月末まで返還を延期することが発表されました。
今回、この返還を前に、上野でシャンシャンのファンの方々に街頭インタビューを行いました。
Q.シャンシャンは好きですか?
街頭インタビュー①
「小っちゃくてかわいくて、まん丸なところが好き」
街頭インタビュー②
「毎週来てます。週3くらいで来てます。かわいいし、大きくなってもやっぱりかわいいし。他のどのパンダさんよりもかわいい」
Q.シャンシャンが中国へ返還されることをどう思いますか?
街頭インタビュー③
「ちょっと悲しい感じです」
街頭インタビュー④
「せっかく日本で生まれたパンダなんですけどね。中国との取り決めで今回返還しなきゃいけないっていうのが、どうなんだろうって思うところありますね」
街頭インタビュー⑤
「寂しいですね。もうパンダと言ったらシャンシャンみたいな」
街頭インタビュー⑥
「生まれた時から見てるから、わが子を見るようなね・・・。なんか寂しいな。帰っちゃうのなぁ、中国になぁ・・・。居て欲しい。もっと居て欲しかったなと思います」
多くの日本人に愛されているシャンシャンは2017年の6月12日に上野動物園で生まれました。まさに上野生まれの上野育ち。生粋の「大和撫子」です。
2011年に日本にやってきた両親、シンシンとリーリーとともに、大切に育てられてきました。
日本に初めてパンダがきたのは1972年。日中国交正常化が行われた翌月10月に、上野動物園へ2頭のパンダ、カンカンとランランがやってきました。
当時のパンダブームは社会現象となり、パンダを一目見ようと、大勢の観客が詰めかけました。「2時間並んで見られたのは30秒程度」と言われるほどの大人気だったそうです。
見た目もしぐさも本当にかわいらしいパンダ。しかし一方で、「パンダ外交」の名のもと中国の外交ツールとして利用されている一面もあります。古くは大東亜戦争の頃からはじまっていたとも…
今回のザ・ファクトでは、中国のパンダ外交について論文を執筆したこともある、専門家の澁谷司さんにお話を伺いました。
パンダ外交のはじまりとは?中国共産党の「パンダビジネス」
里村幸福実現党政調会長(以下、里村)
まずこの、いわゆるパンダ外交なんですけども、これっていつ頃から始まったのでしょうか?
澁谷
実際に始まったのは、1941年11月、蒋介石の奥様であった、宋美齢がでアメリカにパンダを送ったのが始まりです。日本でいうと大東亜戦争の最中、第二次世界大戦の直前に送りまして、いかにも中国とアメリカが、非常に友好的な関係であるっていうことを示そうとしたのが、現代におけるパンダ外交のはじめだと言われてます。
里村
そうすると、第二次世界大戦の直前からそのようにパンダ外交として、パンダの政治利用が始まっていたと。
澁谷
実は、「新中国」といいますか、中国共産党が1949年に中華人民共和国を建国して以来、当時のソ連邦と、北朝鮮にパンダを送っているんです。その後、イギリスに一頭送ってるんですが、これは当時、中華人民共和国建国の翌年の1950年1月にイギリスが西側としては初めて中国を承認したんですね。まさにそのときに、パンダが送られました。
さらには1972年2月にアメリカのニクソン大統領が訪中して、その後すぐに、翌々月の4月に実は中国はアメリカにパンダを送っているんです。
里村
素早いですね。
なるほど、そういう風にパンダ外交が行われてきたわけですけども、日本以外の国でも未だに世界中にそのようにパンダは、外交ツールとして使われているんでしょうか?
澁谷
そうですね。正確に言うと1980年代の前半、ワシントン条約の絶滅危惧種ということで、パンダの国際取引ができなくなってしまったんですね。
その頃から、いわゆるパンダ外交が難しくなったんです。でも同時に中国共産党は気づいたんですね。「これは、儲かるぞ」と。儲かる商売だと。大体つがいで、2頭で年間1億円ぐらいでパンダを世界の国々にレンタルしています。
ワシントン条約とは・・・
絶滅の恐れのある野生動植物の商業取引を禁止する条約。しかし共同研究や繁殖などを目的として貸し出すことは認められている。中華人民共和国が1981年にワシントン条約に加盟して以後、1982年を最後にパンダの商業取引は行われていない。
里村
外貨獲得の手段としても、使われているということですね。
澁谷
そういうことです。
台湾にパンダを無償で譲渡?中国共産党の「一つの中国」戦略
里村
澁谷さんは過去にパンダ外交についての論文を書かれたということを伺ったんですけれども、どのような論文を書かれたんでしょうか?
澁谷
2008年に台湾の総統だった馬英九さんが、パンダを中国から受け入れたということで、これはすごい話だと思ったんです。このとき、中国は無償で台湾にパンダを送りました。通常の国と国との関係でしたら、先ほどお話ししたように有償でレンタルという形を取るんですけれども、台湾へは無償で送ったんです。でも、これはよく考えてみればですね、「一つの中国」の中での「移動」という理屈なんですね。
里村
なるほど。「一つの中国」ということで、中国は「台湾も自分の国の一部」と言っているから、台湾へパンダを送ることは「外交」ではなく「国内での動物の移動」だということなんですね。
私は最初、てっきり中国が台湾にサービスをしたのかなと思ったんですが、そうではなくて、「台湾は中国の一部なんだぞ」と言おうとしているということなんですね。
澁谷
本来ならばパンダを外国へ無償で譲渡することは、ワシントン条約によって禁じられているんですが、中国の言い分では、台湾へパンダを無償で譲渡することはワシントン条約に一切引っかからないという、そういう論法です。
里村
はあ。そうやってパンダを政治利用しているんですね、中国という国は。でも当時は親中派の馬英九総統の時代でしたけれども、現在は蔡英文総統になって中国に対して強硬な姿勢を取っていますよね。今でも台北にパンダはいるんですか?
澁谷
今もいます。
里村
そのままで、いるわけですね。
パンダの名前も自由に決められない?~中国共産党の「内政干渉」
里村
そしてもう1点ですね、ちょっと私驚いたんですけど、まあ色んな名前がパンダついてますけど、基本的にパンダの名前に関しては、中国側の承諾を得ないとダメだっていう何かそういう決まりがあって、かつて、尖閣諸島を日本が国有化したときに、当時の石原慎太郎東京都知事が、上野のパンダを「センセン・カクカク」と呼べばいいと言ったという話があったという話を聞いたんですけど、こういうことは事実なんですか?
澁谷
それは、事実ですね。はい。本当はそういう名前の方が面白かったんですけど、まあでも、それは中国側が受け入れるわけないですからね。
里村
そうすると、世界中にいるパンダも名前まで含めて、中国側の承諾がいるということなんですね。それは、ある意味で、やはり中国の、対外的な勢力を少しでも、どんな分野でも増やしてこう、中国が関わる分野を広げていこうという野心があらわれているようにも思えますね。
澁谷
そうですね。その通りですね。
尖閣諸島国有化とは・・・
日本政府が民間所有だった尖閣諸島の魚釣島・北小島・南小島を購入したこと。尖閣諸島は日本の領土であるが、中国が領有権を主張しているため、日中関係が悪化した。
「パンダ」と言えば中国?巧妙な中国共産党のイメージ戦略
澁谷
ご存じのようにシャンシャンは上野動物園で生まれたわけですけれども、一番大事なところはですね、シャンシャンというのは、日本で生まれたのにも関わらず、中国のものって考えてみればおかしいですよね。
里村
要するに、日本で生まれたシャンシャンが、ある意味で、自由であり民主主義の国である日本から、非常にそういう自由もない、パンダを政治利用、政治の道具として考えている中国に連れていかれてしまうわけですよね。まあ中国側はですね、動物愛護とか、色々と言いますけれども、もうその額面通りには受け取れません。それなのになぜ、そんなことが正当化されるのかってことが私は疑問なんですけれども。その点についてはいかがお考えでしょうか?
澁谷
そうですね。やっぱり中国共産党としては、人間だけじゃなくって、動物でも何でも使えるものは使って、そして世界を牛耳るということで、初めは1970年代から80年代くらいにかけては、国際社会の中でまだまだ中国の力がそんな大きくなかったから、世界に媚びを売るっていう言い方が正しいかどうかわかりませんが、とにかく「中国と仲良くしましょう」と、「そのためにパンダ送りますから、ぜひとも中国と仲良くしてください」っていう、そういうメッセージだったと思うんですが、もう現在では、そうじゃなくて、中国はいかにしてパンダを利用して、相手国の国民の関心を買うかという風に変わったんじゃないかと私は思っております。
里村
確かに日中国交正常化でカンカンとランランが来て、パンダが大ブームになって以来、基本的には、つい最近までと言ってもいいくらい、パンダのお陰で日本人の中国に対するイメージがやっぱりよかったりしましたよね。
澁谷
まあ、割とよかったですよね。
里村
非常にああいうパンダという生き物を、こうやって日本に渡してくる国として、やさしい国みたいなイメージ、そういう意味では、イメージ戦略ということもあったんですね。
澁谷
はい。もちろん仰る通りですね。まあしかし、もともと考えてみれば、このパンダというのは東チベットのものであって、決して中国のものではなかったわけですよね。
里村
そこですよね。問題は。我々のイメージでパンダというと、四川省の山の中で笹を食べているみたいなイメージですよね。でも原産地は、中国の四川省ではないと?
澁谷
はい。パンダの原産地は、現在は四川省にあるアバ州(アバ・チベット族チャン族自治州)という所で、それは中国共産党がチベットを侵略して取った所です。だから要するに、パンダそのものはチベットの原産であって、決して中国のものではないということを私たちは忘れてはいけないと思います。
里村
はあ。そうすると、蒋介石の時代からアメリカにパンダを送ったというのも、当時の東チベットでパンダを捕らえて、それを中国に引き連れてきてアメリカに送ったとか、そういうことなんですね。
澁谷
そういうことですね。はい。少なくとも、1949年以前は、中国国内にパンダは一頭もいなかったという風に考えてください。
里村
だからそこをですね。その「パンダの故郷は中国」みたいなイメージを、ちょっと我々、変えないといけないなと思いますね。
パンダの受け入れを見送った仙台市
里村
これからシャンシャンは中国に返されるわけですが、いまお話にあったチベットを始め、今現在も、ウイグルや南モンゴル(いわゆる内モンゴル自治区)、そして香港、まあ人権蹂躙であったり、人命軽視っていうのが言われている中国からパンダをレンタルし、また日本で生まれたパンダを中国へ返すということについて、どうなのかなと思うところはあるんですが、澁谷さんから見て、日本の政治家やメディアも含めて、もうちょっとこの辺について議論したりすべきであるとか、そういう風に思われますか?
澁谷
そうですね。実はパンダの受け入れについて、宮城県の仙台市では色々と問題がありました。どういうことかというと、神戸市の王子動物園に何故パンダが来たかというと、1995年の阪神淡路大地震のあとに、何とかして被災した人たちを元気づけようということで、神戸市が中心になってですね、中国からパンダを寄贈してもらったと、まあレンタルですけどね。送って頂いたと。
それで2011年に3.11東日本大震災があったときに、仙台市議が中心となって、仙台市にパンダを是非とも中国から呼び寄せたいと言うことだったんですけれども、仙台市の議会では、「なかなかそれはちょっとおかしいんじゃないか」と、今の中国は里村さんが仰ったように、国内でもそうですけども、例えば、新疆ウイグルではですね、大弾圧を行ってるっていうことで、「そんなところからパンダ、果たして来ていいんだろうか」という、一部の地方議会ですけれども、政治家はちゃんと声をあげておりまして、見識があるという風に私は思っております。
里村
そうですね。パンダをそうやって善意の贈り物であるかのように、受け取っていいのかという、それはやっぱり、見識だなと思いますね。そしてまた同じように、今度は、その日本で生まれたシャンシャンをそのまますんなりとまた、そういう風な人権蹂躙の国に返すのかという議論ももっとあってもよかったのかもしれません。
澁谷
・・・かもしれませんけれども、それは、日本の国会議員は多くの方が「チャイナマネー」プラス、その「ハニートラップ」に掛かってるでしょうから、そうとう難しいと思いますよね。
パンダのレンタル料が明らかでない私立の動物園
里村
あと日本ですと有名なとこでいうと、和歌山県にある「アドベンチャーワールド」に、もう何頭もね、パンダがいて、そして子供も生まれています。けっこう長くいるんだなと、私なんかはアドベンチャーワールドのパンダで思うんですけど、一応、あのパンダたちも本当言えば、返還期限あるんですよね?
澁谷
返還期限もそうですが、アドベンチャーワールドのパンダもレンタルですけど、あそこで問題なのはですね、レンタル料がよく分からないということなんです。私も一度、論文を書くときにアドベンチャーワールドに電話してですね、「すみませんけど、レンタル料はどのくらいなんでしょうか?」って聞いたんですですが、「それはお答えできません」って言われたんですね。それから、ご存じかもしれませんけれども、上野動物園は公立で、東京都がもってますけども、他にも王子動物園も神戸市立で、神戸市のパンダもそろそろ帰るようなんですが、何で私立の動物園であるアドベンチャーワールドが、そんなレンタルで、何頭もパンダを抱えているかというか、そこが非常に不思議ですよね。
里村
不思議ですよね。でももうそれを考えると、もう答えは一つしかなくて、和歌山県出身の政治家がやはり今、政界である意味最も力があるといわれる自民党の・・・。
澁谷
恐らく関係してるんだろうと思いますよね。
里村
アメリカでは、親中派の政治家のことを、「パンダハガー」と言いますけれども。
澁谷
まさにあの方は、日本で唯一のパンダハガーではないでしょうけども、おそらくパンダハガーのトップではないかと思われます。
里村
パンダにしがみつく人ってことで、パンダハガーですもんね。文字通りそんな感じになってる訳ですね。なるほど。まあ、パンダのことを政治問題にするのはおかしいという考えもあるかもわかりませんけれども、今日、澁谷さんの話をお伺いし分かったことは、中国という国は、やはり、使えるものはなんでも使って、政治利用して、そして、相手の国に対して、イメージを変えて、そして、どんどん入り込んでくるんだと、このようにして、世界に力を広げているということは、私たちは今後、今回のシャンシャンの事例からやはり学ばねばならないという風に感じました。今日は、ありがとうございました。
澁谷
こちらこそ、ありがとうございました。
新曲『さよなら、香香』12.17 CD RELEASE!音楽配信サイトで配信中!
生まれ故郷 日本とは、思想も、文化も全く違う中国。
そんな異国へ旅立つシャンシャンのために、幸福の科学グループ 大川隆法総裁が作詞・作曲した『さよなら。香香』が音楽配信サイトで配信されています。
多くの日本人の心を和ませてくれた、愛らしい姿を私たちは決して忘れません。
作詞・作曲:大川隆法
編曲:水澤有一
歌:大澤美也子
発売:ARI Production
販売:幸福の科学出版
【デジタル先行配信中!】「さよなら、香香」〈作詞・作曲:大川隆法 歌:大澤美也子〉12.17 CD RELEASE!音楽配信サイト
パンダの「本当の故郷」で中国共産党が行っている人権弾圧
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