5月17日、沖縄県那覇市にある沖縄セルラースタジアム那覇で、辺野古新基地建設に反対する沖縄県民大会が行われました。

「県民大会」に他府県名の横断幕がずらり

会場前には、他府県の地名が記載された横断幕や、労働組合系あるいは左翼運動系ののぼりなどが数多く見受けられ、かなり偏った考えをもつ方々の集まりである印象を受けました。大会のなかでは、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏、元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏などが登壇し、「今、安倍政権は、民意をまったく顧みない独裁政権なのです」「沖縄か、日本か、どっちかを選べといったら、文句なしに沖縄を選ぶということです」といったスピーチを行っていました。また、翁長沖縄県知事が「あらためて新基地は造らせない」「沖縄から日本を変えていきたい」と表明し、「辺野古基地建設阻止が唯一の普天間問題の解決である」と強調。ただ、具体的にどのように解決につながるかということについては述べられませんでした。翁長知事が終始「本土の人にはわからない」ということを強調していたことも印象的でした。

辺野古移設反対派の間違い(1)移設反対は「圧倒的民意」ではない

今回の大会についてのポイントをお伝えします。

先の県知事選での得票率は僅差だった

大会が始まってまもなく、「圧倒的民意を発信」との見出しを記した琉球新報の号外が会場でも配られました。そしてまた、この大会の最中にも壇上で挨拶をした人から「先の沖縄県知事選で圧倒的な民意を受けて、選挙で選ばれた」と翁長知事について形容する場面がありました。しかし、先の県知事選の得票率をみると翁長知事は51%、そして基地移設に前向きな候補2人の合わせた得票率は47%に及びました。つまり基地移設問題に関しては、実は数字的には僅差だということです。

地元の辺野古では、圧倒的多数が基地移設に賛成

ザ・ファクトでたびたび採り上げているとおり、実は辺野古新基地移設に賛成している沖縄県民は、決して少なくありません。前回の報道、沖縄の民意は本当に基地移設反対?オール沖縄を銘打った活動は卑怯!にもあるとおり、辺野古の方は、圧倒的多数が基地移設賛成でした。にもかかわらず、そういう基地移設賛成派の声を圧殺し、「沖縄県民全員が基地反対なのだ。オール沖縄なのだ」という言い方は、民主主義に反した態度、全体主義であるといえるでしょう。今日の大会に参加した方は「民主主義を守れ」といっておりましたが、現実には民主主義ではありません。間違いなく全体主義です。

取材拒否をしながら民主主義を唱えることの矛盾

今回、ザ・ファクト取材班は大会事務局から取材を断られました。何度も言いますけれども、今日の大会参加者からは、何人もから「民主主義を守れ」という言葉が出ました。その民主主義を守る大切な手段の一つが、言論の自由、表現の自由です。にもかかわらず、大会事務局が私どもの取材を拒否したこと自体、私は民主主義を守れという資格はないと思います。

辺野古移設反対派の間違い(2)中国の脅威についての認識がない

さらに今回、大会で壇上に上がった方の中からは、残念ながら沖縄戦の「感情論」と言えるような言葉しか出ませんでした。現実に中国の脅威が増しているという問題について、真剣に論じた方は皆無だったのです。現実に南シナ海で危機が高まり、さらに沖縄県の尖閣諸島周辺で中国の領海侵犯、領空侵犯が絶えないという状況に今あります。これは沖縄県民を守るためにも、そしてひいては日本のシーレーンにかかわるこの沖縄の地位、あるいはアジア全体における沖縄の地政学的な位置を考えた時に、沖縄県でNOと言って、はたして沖縄に防衛的空白を作っていいのでしょうか。沖縄からアメリカの基地がすべて撤去されれば、それで解決がやってくるというものではありません。安倍首相におかれては、粛々とこの辺野古新基地移設を進めていただきたいと思います。