2016年1月21日 記事を修正・加筆しました。

2014年2月、国連人権委員会は
北朝鮮の人権侵害に関する報告書を発表。
そのなかで、4つの政治犯強制収容所に
8~12万人が拘束されている
という実態が明らかになった。

北朝鮮強制収容所

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10年間、強制収容所に囚われていた男

カンチョルファン

姜哲煥(カン・チョルファン)1968年北朝鮮平壌生まれ。
元強制収容所収容者、脱北者。
北朝鮮人権問題運動NGO団体「North Korea Strategy Center」代表、朝鮮日報記者。

9歳から10年間、北朝鮮の強制収容所に囚われていた
カン・チョルファン(姜哲煥)氏。
在日朝鮮人だったカンさんの祖父は
京都に住む資産家だった。
1960年代、朝鮮総連は、北朝鮮を「地上の楽園」と
喧伝して、在日朝鮮人に帰国を勧めていた。
熱心な共産党員だった祖母は「帰国運動」に賛同し、
カン氏の祖父母と父親は北朝鮮に渡る。

帰国運動、北朝鮮に行く人たち

北朝鮮に還った後、
祖父母らは平壌で裕福に暮らし、
そこでカン氏も生まれた。

しかし、カン氏が9歳の時、「商業管理所」の
副所長だった祖父が「民族と祖国に反逆した罪」で
突然逮捕されてしまう。
北朝鮮では、連座制が採られており、
政治犯は本人だけでなく、家族も政治犯として
罪を背負わされる。
カン氏一家が送られたのは、
強制収容所(第15管理所)の中の、
在日朝鮮人集落だった。

以下はカン氏のインタビューの内容です。

強制収容所での壮絶体験

強制収容所内の在日朝鮮人集落

カン 収容所の中には在日朝鮮人4000~5000人を
囲い込んだ村がありました。
そこには日本人妻もいました。
夫は別の場所に送られ、
残された妻と家族が収容所に送られたのです。
私は20人ほどの日本人妻を覚えているが、
実際はもっといたはずです」

骨と皮ばかりの子供たち

カン 電気は通っていましたが、水や薪は自力で
調達しなければなりません。
食料はトウモロコシと塩しか
与えられなかったですね。
子供たちには耐えがたいような
肉体労働が課せられ、
収容所に入ったら
今にも死にそうな骨と皮ばかりの
子供がたくさんいました。
自分もまもなくそうなりました。

食糧不足で3割の人が3カ月で死ぬ

カン 収容所に送られると、
約3割の人が最初の3カ月の間に死にました。
それまで良い暮らしをしていた年配者は、
適応できずに死にました。
生き延びるためにはネズミ、ヘビ、ミミズ、
何でも捕って食べなければなりません。
その習性を身につけるまで、
半年ほどかかりました。

画像4

公開処刑の様子

画像3

食糧不足のため、豚の餌を食べる囚人たち

安明哲アン・ミョンチョル

「ネズミは貴重なタンパク源となった」


3点の画は全てアン・ミョンチョル(安明哲)氏による。
アン氏は元強制収容所の看守で、現在はカン氏と同じNGOの事務局長。
自身が見た強制収容所の様子をイラストに描き、収容所での過酷な体験を伝えている。
アン・ミョンチョル氏のインタビューはこちら

公開処刑をはじめとする残酷な仕打ちの数々

カン 「公開処刑」はおぞましいものでした。
絞首刑をした上に、さらに石をぶつけさせ、
その死体を間近で見させるとか。
親しい人が飢え死にし、
その死体を埋めるときが一番つらかったです。

誰が公開処刑されるのか?

カン まず、脱走者は無条件に処刑されます。
次に看守に反抗した者。
それから例えば穀物を大量に盗んだとか、
異性と肉体関係を持った場合は、
見せしめに処刑されます。

学校での体罰で狂う子供

カン 何度も殴られて死ぬ子もいれば、
狂ってしまう子もいます。
学校で頭を叩かれすぎて、
きなり変なことを口走ったり、
教室中を歩き回ったりするので、
「ああ、狂ってしまったな」とわかります。

収容所から釈放されたカン氏が国際社会に望むこと

カン氏は19歳の時、運よく強制収容所から釈放される。
その後、カン氏は中国国境の鴨緑江を越えて脱北。
中国を経て、韓国への亡命を果たす。

現在、カン氏は新聞記者として働きながら、
韓国で北朝鮮の人権問題を国際社会に訴える活動を続けている。
しかし、カン氏の妹と叔父は未だに北朝鮮に残されたままだ。

北朝鮮に残された家族たち

カン 北朝鮮には妹と叔父がまだいます。
妹が行方不明になってしまいました。
国連を通じて所在確認を求めましたが、
北朝鮮は「我が国に対する謀略だ」と言って
まともに回答しません。

国際社会に望むこと

カン 国際社会に望むことは外の情報に触れさせて、
北の人たちを目覚めさせること。
それから北朝鮮の指導部を人権問題で
強く攻撃すべきです。
昨年発行された国連による
北朝鮮人権問題報告書においても、
北朝鮮に渡った在日朝鮮人の扱いは小さいし、
北朝鮮を一時訪問して
そのまま抑留された人たちの問題も
埋もれています。
これらも拉致問題として解決をもとめ、
人権状況の改善を促すべきです。



以上が、カン氏のインタビューである。

北朝鮮・強制収容所では、現在もなお、
こうした人権蹂躙が行われ続けている。
しかし、この実態はまだ国際社会では十分には知られていない。
こうした状況が根本的に解決するためには
北朝鮮の体制そのものの変革が必要だろう。

しかし、その前にできることとしては、
まず、一人が「事実」を認識すること。
そして、その「事実」を広く伝え、
その改善に向けての国際世論を高めていくこと。
北朝鮮の人権問題の解決のためには、
遠回りに見えるかもしれないが、
こうした地道な努力が必要だと考える。

今後も、ザ・ファクトは
自由と民主主義のために戦う人々を応援します。

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