山本優美子氏(「なでしこアクション」代表)と
及川幸久氏(幸福実現党外務局長)の
対談第3回をお届けする。
今回は、山本氏の活動をはじめたきっかけや活動に対する思いについて。
また、「世界に正しい歴史認識を発信する日本人」であるお二人が感じている、
海外在住の日本人とアメリカ人の意識の変化とは?

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なでしこアクションを立ち上げるきっかけ

里村 山本さんは、もともとそういう活動家でいらっしゃったんですか。

山本 今でも昔も普通の人ですよ。

里村 お仕事とかは、特別な何か。

山本 別にスパイでもエージェントでも何でもない。普通の人です。
でも、この慰安婦問題というのは、日本から始まってますよね。
日本の中に慰安婦を支援する女性団体というのがあります。
だから女性団体がメインになって、「慰安婦に謝罪しろ」と。
もちろん、慰安婦の方をいたわるのはいいんですよ。
私も大変なことで、お気の毒なことがたくさんあって、
大変だったろうなと思います。それは同じなんです。
ただ、だからといって、日本がこんなひどいことをして、
だから日本が謝れとかというのはおかしい。
事実関係もおかしい。
あちら側が女性団体がメインになっているので、
「おかしいぞ」と声を上げるのも女性のほうがいいでしょう。
男の人より。

及川 言いにくい。

山本 「女の人をいじめるのか」と言われちゃうでしょう。
だから、それで女性が声を上げたほうがいいと思って。
この問題について、怒っている女性は多いんですよ。
ひどいことをしたと教えられたけど、
よく調べてみたら全然違うじゃないか、という女性は結構多い。

里村 そういう方は、もともと山本さんのまわりに多かったんですか。
それとも、例えばいろいろなことを発信していたら、
どんどん集まってきたんですか。

山本 もともといましたよ。
これはおかしい問題だよねというのは。それは結構多かったです。

海外に向けての活動を始めた理由

里村 特に、そういう活動が日本国内で、
日本人はたしかにはっきり言って、自分で火をつけて大きくしている面がある。
「挺対協の問題」もありますけど。
海外に向けてというのは、どの辺から始めたんですか?

山本 ニュージャージーに最初に慰安婦記念碑ができた時ですね。
抗議したいと思ったんですが、どうしていいか、まったくわからなかった。
いろいろ考えて、これは皆さんに呼び掛けて、
メールや手紙を送る運動をやってみたらいいんじゃないかと思って、
皆さんに呼び掛けてメールアドレスを調べて、
ここに抗議したらどうですかと。
あと、英文のテンプレートをいくつか置いて、
それは海外のアメリカ在住の女生と協力して作ったんですね。
そうしたら、やっぱり私みたいに、
「何か抗議したいけど、どうしたらいいかわからない」という方が多かったみたいで、
私がなでしこアクションのサイトで呼び掛けたメール先とか、
テンプレートの英文を利用して、メールを送ってくれたんたんです。
特にグレンデールの時、これは慰安婦像が建つぞという時、
本当に皆さんも「これはまずい」ということで、
いっぱい抗議のメールやお手紙がいきましたね。
そうやって、だんだん。
あちら側も、やりすぎっていうのもあるんですよね。
韓国系団体がアメリカでやり過ぎたのが、
もういい加減、日本にも知れ渡るようになって、
皆さんが賛同して抗議をしてくれるようになった。

山本きり


海外在住の日本人が政治活動を始めた

里村 山本さんたちの、なでしこアクションさんの動きとか、
それに呼応するように、
例えばカリフォルニアでもずっと現地にいらっしゃる日本人の方々が動き始めたり、
ニューヨークでも日本人のビジネスマンの方々が集まって、勉強会を始めたと。
そういう動きは、前はなかったですね。

山本 なかったです。
たぶん政治的なことで日本人が集まるということは、なかったみたいですね。

及川 ないですね。

山本 文化交流会、日系人会みたいなものは各地にあったそうですが、
こういう問題が起きた時に、海外の女性とかが、
これについて何か抗議しなきゃ、
立ち上がらなきゃと思って日系人会に持ちかけても、
「いや、政治的なことはできませんので」と。
一緒にやってくれる団体がいなかったんですよ。
結局、自分たちで仲間を募って、現地で立ち上げるということが、
グレンデールもニューヨークも、オーストラリアでもカナダでも集まりました。

及川 そのきっかけを作ったのが山本さんですね。
私もアメリカに住んでいたんですが、
日本人って横のつながりを持たないんですよ。

山本 よく言えば、現地にとけこんでいる。

里村 チャイニーズもコリアンも、
すぐ自分たちのコミュニティを作りますが。

及川 アメリカにいる韓国人は教会がコミュニティなんです。
この反日で動いている人たちも、教会出身ですね。
だけど日本人は教会に属しているわけではないし、
ほとんどの人は宗教はないですから、バラバラなんですよね。

日本人には政治に対するトラウマがある?

里村 その辺、私も前からなぜなんだろうと思っていたんですが、
アメリカには日本から移民の方がたくさん行かれて、
最初はアメリカでも喜んで受け入れられましたよ。
「日本人はよく働く」と。
ところが、だんだんその働く日本人が脅威になってきて、
いろいろな形で排日移民法ができたり、
戦時中、唯一、日系人は収容所に入れられました。
ドイツ系もイタリア系もなかったのに、日系人だけです。
だから、政治的な問題にかかわると
不利益を被るというトラウマになってしまったのかと思ったんですが、
そういうことはないんですか。

里村2


及川 日系人の収容所の時代と、
今の日本人はアメリカにおける立場は違います。
また、あまり知らないですよ。
今のアメリカにいる日本人は、そういうことは。
でも、どちらかというと、日本という国がいい国なので、
日本に住んでいる日本人のほうが多くて、
そんなに積極的にアメリカに出て行こうとはしないんです。
アメリカに出ていく人たちは、
何らかの自分の目的を持った人たちばかりで、
どちらかというと個人主義。

里村 自分のことで精一杯。

及川 あまり日本の国についての誇りだとか、
そういうことはあまり考えたことがなかった。
やはり自虐史観の影響もあるんでしょうけど、
日本というものでくくられることがなかったところに、
この慰安婦問題が起きたというのも、不思議な偶然だったと思うんです。

山本さんを突き動かす思いとは?

里村 そうすると、やはり山本さんたちが起こしたアクションというのは、まさに殻を破るような。

及川 そう。日本人としての意識を目覚めさせたんですよ。
でも、どうしていいかわからないところに、
山本さんが「こうすれば、誰でもできますよ」というのを示してくれたので。

里村 でも、やはり主張するというのは、当然、いろいろなリアクションがある。
普通はそれを考えると億劫になって、
「まあ、いいか」「やめておこうかな」となる。
山本さんを突き動かしたものは、何なんですか。

山本 私も本当は気が弱くて、
何もしないでいるのが一番楽なんですけれども、
この誤解は解かなきゃ、と。
海外の女性が一番関心があるんですね。
お子さんが現地の学校に通って、当然ですよね。
だって教科書に載っているところもあるし、
いじめられたり、学校でいやな思いをして。
それはだめでしょう。
私たちの子供や孫だって、これから海外に行った時に同じ思いをし続ける。
だからこれは今、この世代で終わらせなきゃと、皆さん、思いませんか。

山本でれ


里村 現地の日本人が動き出したというのは、大きな変化ですね。

山本 そうだと思います。政治的なことでは。

及川 初めてですよね。でも、山本さんがそういうふうに、自分の問題として感じて動き始めた。
まさにアクションを始めたわけですね。この行動に出るか出ないかが、すごく大きな違いです。

アメリカのメディアで発信を始めたきっかけ

及川さんTV出演



里村 及川さんも、一昨年、アメリカのテレビやラジオに出て、
一生懸命に慰安婦問題や南京事件、原爆の問題について発信されてきました。
アメリカの方からは非常に反発を受けやすいテーマで話をされましたが
そのきっかけは?

及川 最初に慰安婦の碑ができたのを聞いて、そのあとニューヨーク州にできて。
私はニューヨークに住んでいたものですから、
「えーっ」と思ったんです。
それに対して自分に何ができるだろうと。
まず、自分にできる行動を起こしてみようと思ったのがきっかけです。
その行動というのが、
この慰安婦の碑を作って日本を批判している韓国系のアメリカ人に、
実際に会ってみようと思って、会いに行ったのが最初のきっかけです。

里村 韓国政府のオーダーを受けた、在米の韓国人ロビイストが、
慰安婦問題で動いていたんですね。

及川 そうです。
ニューヨークにある韓米公共政策委員会というロビイストの協会で、
そこにいる韓国系アメリカ人のプロのロビイストですね。
そのあと日韓合意が発表された直後に、
この人はすぐ「すばらしい。大歓迎です」という声明を発表していました。
要するに、この人は政府系なんですよ。韓国の政府とつながっている。
それ以外の団体、グレンデールに慰安婦像を造った団体などは、
今回の日韓合意に全部反対しています。
同じ韓国系でも違うんですよ。

里村 この問題をずっとカードとして使おうとしている人たちは反対しているけど、
政府のオーダーを受けて動いていたロビイストは、よかったと。

及川 予定どおり、ちゃんと目標が達成できたということですね。

里村 これまでアメリカで
他の民族が歴史問題で国益をかけて動くということはあったんですか。

及川 ほとんどの民族は、アメリカで自分たちの国の国益をかけて動いています。
ユダヤのロビイストは、アメリカ最大のロビイストと言われています。
あの小さなイスラエルを守るために、
ものすごいお金をアメリカの世界で使っています。

里村 要するに、戦後、憲法9条とかにがんじがらめになって、
日本人は悪いことをしたんだと言われて、だからもう動くなと。
勝手なことをするなと言われた日本人だけが、アメリカにおいても。

及川 世界の中では例外的な存在です。

里村 国益のために動くことはなかったわけだ。

及川 日本人だけですね。他はみんなどこもやっている。
ただ、他は国益のためだったら、
歴史の事実を曲げてでも、都合のいい話を発信するわけですよ。
これはこれで問題で、
やはり日本人としては事実に基づいて正しいことを言うべきだと思うんですね。
その正しいことすら、言わないというのが、今の日本人の問題です。
間違ったことが世界中に出回っているのに、
それも指をくわえてただ見ている。

及川2


アメリカで発言し続けたことで感じる、アメリカ人の意識の変化

里村 それに対して、テレビやラジオに出演して、
及川さんは発言されて、何か変わったことはありましたか。

及川 ラジオ出演といっても、最初はアメリカは国が大きいですから、
各州の中心的な町にある人気番組に出るんですけど、
それだって聴いている人はその町だけですよ。
全米の人がいっぺんに聴いているわけじゃない。
全米ネットというのも多少あるんですが、滅多にないですね。
だから一個一個出るしかないんですね。
最初に出始めた時に、代替50~60回は出ないとだめだよと言われたんです。
「50~60回か……」と、気の遠くなるような思いがしたんですが、
今、70回ぐらい出ていて、やっと実感が出てきたというか、
変化が感じられるようになってきました。

里村 どんな変化ですか?

及川 アメリカ人が、聞く耳を持つようになってきた。

里村 普通ですと、歴史修正主義者というレッテルを貼って、一切聞く耳を持たない。

及川 第1次安倍内閣のときに、安倍さんが最初にこの慰安婦問題について、
「政府の関与があったという証拠はないんだ」ということを言ったんです。
それ以来、「安倍は修正主義者だ」となったわけですね。
その流れというのは、ずっとあったんです。
しかし、幸か不幸か、オバマ政権になってアメリカが弱体化した。
これをアメリカ国民もマスコミも、みんな感じているんですよ。
そうなると、こっちもなんか言いやすくなったんですね。
アメリカがやってきたこと、ちょっとこの辺は違うんじゃないですか、と。
さっき里村さんが紹介してくれた原爆のこと、真珠湾攻撃のこと、
大東亜戦争そのもののことを、ちょっと押すと、
「えっ、もしかしてそうかもしれない」という。
私は学生の頃からアメリカにいますが、こんなことは初めてですね。

(第4回に続く)

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