今回から4回にわたって、
「世界に正しい歴史認識を発信する日本人」であるお二人、
山本優美子氏(「なでしこアクション」代表)と
及川幸久氏(幸福実現党外務局長)の対談をお届けする。
第1回は、昨年末の「日韓合意」について。
合意の中で述べられていた「軍の関与」とは
何を指すのか?
この言葉への説明不足が、国際社会で大きな誤解を招いている。

3


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世界に正しい歴史認識を発信する二人の日本人

里村 今日は海外に向けて、正しい歴史認識を発信しているお2人にお越しいただきました。
なでしこアクションの代表、山本優美子さんと、幸福実現党外務局長の及川幸久さんです。
どうぞよろしくお願いいたします。

山本・及川 よろしくお願いいたします。

里村 さて、山本さんは2011年はじめから、慰安婦問題を自分たちの世代で終わらせるために、
このなでしこアクションを開始されたと。
各国の慰安婦像設置反対など、いろいろなメディアにも
なでしこアクションが採り上げられていますね。
昨年7月には、国連女子差別撤廃委員会のプレセッションに参加して、
慰安婦問題について発信されました。
これについては、また後ほどお伺いしたいと思います。

山本2

里村 そして、及川さんは一昨年11月から、全米のラジオ・テレビ番組に70回以上出演。
昨年末に生放送で一度、及川さんに出演していただきまして、
少し話を聞きましたが、アメリカ人に向けて正しい歴史認識を発信されておられます。

及川さんTV出演

里村 日本人は海外に向けての発信をあまりやっていません。
それはもちろん、言語の問題もあるでしょうが、そもそも日本人はあまり主張しない。

山本 そうですね。ただ、慰安婦問題については、もともと間違った認識が世界に広まっているのを、
「これじゃいけない」と思っていた人は多かったはずなんですよ。
だけど、じゃあ、どこに何をどうやって訴えていいんだろうという、その方法がわからなかった。
もちろん、英語とか外国語の壁もあります。
幸い、今メールなどがありますので、メールはできますのでね。
インターネットで調べれば、どこどこ市役所の誰々のメールアドレスはこれだよということは、
もうわかりますので、それでメールで直接伝えましょうという運動を、
私がこれまで何回かやってきたんです。
私自身も、一番最初ニュージャージーのパラセイズ・パークという所に慰安婦記念碑が建ったよと
知ったときに、いや、これは何か言いたいなと思ったんですよ。
でも、その時は自分はどうしていいか、わからなかった。

里村 思っても行動に移せる方と、思うだけで終わってしまう方。
むしろ日本人はそちらのほうが多いのですが、
ぜひ今日はその辺のお話をお伺いしたいと思います。

「日韓合意」をどう見たか?

里村 まず、昨年末、皆さんもご存じのように、
日本と韓国の間で慰安婦問題について、日韓合意がなされました。
安倍総理がお詫びの手紙を送るとか、あるいは10億円を拠出して韓国が新しい財団をつくり
、日本がお金を出してそれを支えていくというような合意がなされました。
海外に向けて発信するという活動をされているお2人は、
今回の日韓合意をどうご覧になったか、評価するかについてお伺いしたいと思います。

外務省発表による「日韓合意」の骨子

外務省

1
(1)岸田外務大臣による発表 
ア 慰安婦問題は,当時の軍の関与の下に,多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり,
  かかる観点から,日本政府は責任を痛感している。
 安倍内閣総理大臣は,日本国の内閣総理大臣として改めて,慰安婦として数多の苦痛を経験され,
  心身にわたり癒しがたい傷を負われた全ての方々に対し,心からおわびと反省の気持ちを表明する。

イ 日本政府は,これまでも本問題に真摯に取り組んできたところ,その経験に立って,
  今般,日本政府の予算により,全ての元慰安婦の方々の心の傷を癒やす措置を講じる。
  具体的には,韓国政府が,元慰安婦の方々の支援を目的とした財団を設立し,
  これに日本政府の予算で資金を一括で拠出し,日韓両政府が協力し,
  全ての元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復,心の傷の癒やしのための事業を行うこととする。

ウ 日本政府は上記を表明するとともに,上記(イ)の措置を着実に実施するとの前提で,
  今回の発表により,この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する。
  あわせて,日本政府は,韓国政府と共に,今後,国連等国際社会において,本問題について
  互いに非難・批判することは控える。

(2)尹外交部長官による発表
 ア 韓国政府は,日本政府の表明と今回の発表に至るまでの取組を評価し,
   日本政府が上記1.(1)(イ)で表明した措置が着実に実施されるとの前提で,
   今回の発表により,日本政府と共に,この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する。
   韓国政府は,日本政府の実施する措置に協力する。

イ 韓国政府は,日本政府が在韓国日本大使館前の少女像に対し,
  公館の安寧・威厳の維持の観点から懸念していることを認知し,
  韓国政府としても,可能な対応方向について関連団体との協議を行う等を通じて,
  適切に解決されるよう努力する。

ウ 韓国政府は,今般日本政府の表明した措置が着実に実施されるとの前提で,
  日本政府と共に,今後,国連等国際社会において,本問題について互いに非難・批判することは控える。

2 なお,岸田大臣より,前述の予算措置の規模について,概ね10億円程度と表明した。

3 また,双方は,安保協力を始めとする日韓協力やその他の日韓間の懸案等についても短時間意見交換を行った。
(※強調はザ・ファクトによる)

韓国による「慰安婦問題」の政治利用を訴える機会

山本 日本はこれまでもさんざん謝って、さんざんお金を出しているのに、
またかと思ってがっかりされた方が多いと思います。
私ももちろん、すごくよくわかります。
この文章を読むと、どう読んでも「日本が悪いことをしたから謝った」となっちゃいますよね。
ただ、これは私が今から変えるわけにもいかないので、もともと韓国側で慰安婦を支援している団体、
挺身隊問題対策協議会などもこれには反対していますよね。
思い切り反対していただいて、韓国が困った状況に追い込まれるのがいいんじゃないか。
というか、そういう方向にあるんじゃないかと思うんです。
この文章を読むと、「当時の軍の関与の下に、女性の名誉と尊厳を傷つけた問題です」と
日本の外務大臣が言っていますね。これだと、軍がひどいことをしたと思いますよね。

里村 そうですね。「軍の関与」と、はっきりと言っています。

山本 ただ、これはお互いに政府同士はもう非難しあいませんと言っていますが、
我々は政府ではなく民間なので、例えば民間で「軍の関与とはどういう関与だったんですよ」
ということを発信しなければいけないと思ったんです。
たぶん、慰安婦問題というのは、女性の人権問題だと信じ込んでいた人たちが
海外では多いと思いますが、こういうふうに「合意」といって
アメリカも関わってきて国際問題になった場合、これはただの人権問題じゃないなと。
これは何か政治・外交問題で、何か裏がありそうだと思ってくれる方もいると思うんです。
そういう方に、「軍の関与はこういう関与だったんですよ」と、
これから発信していきたいと思います。
決して、そこにいるお姉ちゃんたちを引っ張って来て、
トラックにボンと押し込んだわけじゃないですよね。
それをきちんとこれから発信するいいチャンスにしたいと。
この合意に対して、怒りはあるんですけれども、ただ、決まったことには、
我々はそれを利用してもっと発信すべきだなと思いました。

海外メディアはどう報じたか?

及川 今、山本さんが言った「軍の関与」というところが、私も最大の鍵だと思うんです。
アメリカで即日報道された内容は、その「関与」の内容は何と報道されていたかというと、
例えばニューヨークタイムズは明確に「日本軍がアジアの女性たちを
“sex slave(性奴隷)”にした」と書いたのです。
“sex slave”にしたということを、日本政府が認めましたというのが、
最初のリード文なのです。他のアメリカやイギリスBBCの報道も、全部同じです。
その「関与」の内容は、性奴隷にしたということであり、
Kidnapping(誘拐した)、強制連行したと。
それを全部、日本政府が認めたことになっているんです。

2015年12月30日ニューヨークタイムズ社説より

NTT記事

タイトル:Coming to Terms on Japan’s Wartime Sex Slaves
(日本は戦時中の性奴隷をしぶしぶ受け入れ始めている)

The landmark accord announced Monday between Japan and South Korea
over the use of sex slaves by Japan’s army before and during World War II
is unlikely to end all debate over Japan’s horrific behavior at the time.
(月曜日に発表された「第二次世界大戦中の日本軍による性奴隷」についての画期的な日韓合意では、
戦時中の日本の蛮行に関する論争は終わりそうもない)

Under the agreement, Mr. Abe expressed “sincere apologies and remorse
to all the women who underwent immeasurable and painful experiences
and suffered incurable physical and psychological wounds as comfort women,”
Japan’s euphemism for sex slaves.
Japan also promised $8.3 million to provide care for the 46 women still living.
(この合意の下、安倍首相は「慰安婦として数多の苦痛を経験され,
心身にわたり癒しがたい傷を負われた全ての方々に対し,心からおわびと反省の気持ちを表明する」。
慰安婦とは「sex-slave(性奴隷)」の婉曲表現である。
また、日本は10億円を46名の存命中の(元慰安婦)女性たちのケアのために提供すると約束した。)

Historians say that at least tens of thousands of women were lured or coerced
to work in brothels that served Japan’s army from the early 1930s until 1945.
Many of the women were Korean but some came from the Philippines, China,
Indonesia and other Asian countries.
(歴史学者は「少なくとも数万の女性が1930年代初頭から1945年まで甘言によって、
または強制的に売春宿で日本軍に奉仕させられた。
女性たちの多くは韓国人だが、フィリピン、中国、インドネシアなど
他のアジア諸国出身の女性もいた」としている)

「軍の関与」の中身を説明するべき

里村 政治外交のそういう時の合意文書というのは、
両国が納得するように、非常に多義的に受け止められるような文章になりがちです。
ところが、見事にその間隙を突いて、海外メディア、例えば欧米系のメディアに
完全に主犯格に仕立てられた感じですね。

及川 そのとおりです。

山本 これまでもそうだったんですけどね。あらためて、またそれを強調されてしまっている。

里村 日本ですと、見出しは「慰安婦問題合意」となっていますが、
“sex slave(性奴隷)”というのが全面に来るんです。

及川 「関与」の内容を国際社会に説明しなきゃいけないんですよ。それを政府がやっていない。

文書

文書2

山本 それを政府がちゃんと言った上で、
「こういう軍の関与だった」と、「でも謝るよ」というのなら、まだいいんですけど、
その軍の関与というのは、例えばアジア女性基金というのがありますね。
そこの資料集に軍の関与のアメリカの国立公文書館に公文書がこんなにあるんですよ。
たぶんアジア女性基金の当時の人たちが、行って調べたんでしょうね。
関与はいっぱいありますが、どこにも、そこら辺のお姉ちゃんを引っ張ってきた
とは書いていないんですよ。
ラバウルとかマニラとかミャンマーなど、結構広い範囲で調べていますね。
当時の慰安所はどんなだったか、日本軍に尋問して聞いている尋問書もあって、
よくあるミートキーナの韓国人の慰安婦の尋問書も、もちろんあるんですけれども、
こうやって広い範囲でいくら調べてもないんですよ。
だから、これを私はこれから海外に向けて宣伝しなきゃいけないと思っています。

里村 もともと、トラックに次から次へと捕まえて乗せたというのは、
一昨年、朝日新聞が誤報を認めた吉田清治さんぐらいでしょう。
「私は慰安婦でした」と言っている人たち自身も、
親とは言わないけどそういう所連れて行かれたと。
だから、全然実態はない訳じゃないですか。

山本 そうなんですよ。だから「性奴隷だ」とリードで書いてあるメディアは、
何をもって言っているのか。

及川 それも、世界のニューヨークタイムズであり、CNNでありBBCです。
本当のポイントは、事実に基づいた正義かどうかなんですよ。
(これらの海外の報道は)事実に基づいていないんですね。

山本 イメージが固定されてしまっていて、それを覆すのは大変なんですが。
でも、これはアメリカがこうやって報告書を書いているので。
アメリカも言っていることなんですよ。

(第2回へ続く)

参考:「軍の関与」とは? なでしこアクションホームページより

なでしこページ

1945年11月15日、連合軍翻訳通訳部局(ATIS)というところが
「日本軍のアメニティー(娯楽、便益)について」というリサーチレポートを作成しました。
その中に慰安所の項があり、マニラの慰安所に関する日本軍の規則(1943年2月制定)を
英訳掲載しています。

その規則を読むと、慰安婦の意志を尊重し、慰安婦や兵士の健康を気遣い、
現代、否現代以上に、衛生面の管理、慰安所におけるマナーが求められていたことがわかります。
たとえば、慰安所設立について事業主は軍の許可を得なければなりませんが、
その際慰安婦の履歴書の添付が求められています。
これにより、慰安婦の年齢の確認や前職等経歴が判明し、
規則にある未成年者の雇用の原則禁止の適則性や
慰安婦就業の意志確認がなされていたことと思われます。

又、慰安婦が過重労働で病気になった場合には、その治療費は事業主が7割、
慰安婦が3割の負担をすることが規定されています。
(これは慰安婦供給が不足し、過重労働になりがちであったことが背景にあるのかもしれません)

定期健診、避妊具の使用、消毒剤等の備付、日々の入浴の勧め、部屋の清掃、
果ては部屋の十分な換気や採光にいたるまで規定されています。

兵士側に対しても、避妊具の使用はもちろんのこと、
兵士の尊厳にふさわしい行動(騒いだりしてはいけない等)が求められています。

ATTSは次の通り、「結論」としてこれらの厳格な規則は、
マニラだけでなく慰安所のあるところではいずれの地域にも
適用されていたことが記されています。

「当時の軍の関与のもとに、多数の女性の名誉と尊厳を守る努力した」のではないでしょうか。

※つまり、「軍の関与」とは上記のように慰安所に対する規則順守を求めたことを指す。
 「軍が女性を拉致・監禁し、強制的に『性奴隷』した」ということではない。

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