※この記事は、いじめ解決率9割!「いじめから子供を守ろうネットワーク」とはの中で紹介した体験談のロングバージョンです。


少年少女時代の多感な時期に受けた「いじめ」は心に深い傷を残す。
不登校、PTSD、リストカット、自殺・・・。
「そんな体験をする子供たちを一人でもなくしたい」
「いじめを根絶したい」
そのような思いから、THE FACTでは
独自取材したいじめ事件を紹介しながら、
シリーズで「いじめ解決のヒント」をお伝えする。

こちらもお読みください

いじめ解決率9割!「いじめから子供を守ろうネットワーク」とは
いじめ事件ファイル②「担任が小学生に土下座を強要」

いじめ解決率9割の「いじめから子供を守ろうネットワーク」

2007年の設立以来、
5000件を超えるいじめ相談の9割を解決に導いた
「いじめから子供を守ろうネットワーク」。
http://mamoro.org/

これから紹介するいじめ事件は、
「いじめから子供を守ろうネットワーク」が
実際に解決に導いた事例である。

HP

いじめはこうして始まった

Bさんの長女Cさんは、中学3年のとき
同級生5人から暴力によるいじめを受けるようになった。
いじめは、ほんの些細なことから始まった。
Cさんの壮絶な体験を母親のBさんに聞いた。

Bさん

Bさん 娘が中学3年生のときのことです。
毎年クラス替えがあるんですけども、3年生になったときに
2年生のときに仲良かった友だちと全員離れてしまって、
新しくクラス分けされた教室で、前と後ろと斜めの席に座った子がたまたま不良グループの子で、
でも娘は彼女たちが不良グループだなんてこと知りませんから仲良くなってしまって。

ある日、娘が学校の数学のプリントを5枚、同じものを持って帰ってきました。
問題を解いた後、全部写していたので、「何やってんの?」って聞いたら、
「友だちの分やってあげてる」って言ったんです。
そのとき娘は、友だちが喜んでくれるからというスタンスだったと思うので、
本人はそれがいじめの始まりだとは考えてもいなかったと思います。
このころから宿題なんかも全部娘がやったのを写させてあげたり、
不良グループに、いいように使われてた感じです。

ただ娘が受験しようと思って、これから本格的に勉強しようと思ったときに、
「この友だちといていいのか」と、やっぱり本人悩んだんでしょうね。
それで6月くらいから少しずつ遊びに行こうといわれても、
「ちょっと今日は家で用事があるから」とか「今日はお母さんが家にいるから」とか言って
一緒に遊びに行かないように、少しずつ距離を取り出したんです。
そうしたら、その不良グループたちが気がついて、
「最近付き合い悪いじゃん」って言うような感じで。
そして、事件の日に至るというような感じだと思います。

次第にエスカレートしていく「いじめ」

Bさん 事件があった日、
学校は午前中、プールの授業がありまして。
娘は体操服を着て授業を見学していたのですが、プールの授業が終わったあと、
プールの脇で娘は、頭の上からバケツで水をザーっとかけられました。
やったのは例の不良グループです。

全身がズブ濡れになったところを保健体育の先生に見つかったのですが、
先生は娘に「何やってんの、早く着替えてらっしゃい」と言って娘を叱りつけたんです。
その先生に後から聞いた話ですが、先生は友達同士がふざけてじゃれあってただけという認識だったそうです。
先生が立ち去った後、不良グループは娘に、「続きはじゃあ放課後」と言ったそうです。

午後の授業が終わって、掃除の時間が始まったとき、
不良グループから「廊下に来い」と言われて、娘は廊下に連れ出されました。
廊下にはロッカーがあるんですけれども、そこにドーンって押し付けられ、
「最近付き合い悪いじゃないか、抜ける気なのか、裏切り者」
みたいな感じで胸倉をつかまれていました。

そのとき、階段から用務員のおじいさんが上がってきたんですが、
首を廊下に押し付けられているとき、娘は用務員さんと目があったそうなんです。
用務員さんは、チラッと娘の方を見たんだけども、そのまま踵を返して降りていっちゃったそうです。
娘は、「あ、誰か先生に言いにいってくれたのかな」と思ってたんだけども、
不良グループは「用務員に見られた」といって、
娘を今度、生徒があんまり使わないトイレに連れて行きました。

「いじめ」を見て見ぬフリする教師

Bさん 不良グループはそのトイレで、娘を10何発だったか、殴る蹴るして。
そのときに顔を殴ると親にバレるとまずいからといって、お腹を中心に。
娘はメガネをかけていたんですが、メガネは傷つくとすぐバレるからといって娘にはずさせて、
それで殴っていたそうです。

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そこに保健体育の先生が、なんかガチャガチャやってるので
「何やってるの?」って入ってきて、
「何やってんの?もう下校時間過ぎてるのよ。
問題を起こすなら、校門の外でやりなさい」って怒ったそうです。

何やってんの?

娘は仲間には聞こえないように先生にだけ聞こえる小さい声で、
「助けて」って言ったんですが、先生は娘のほうを見て、
「後で職員室へ来なさい」って言い残して、そのまま出て行っちゃったんです。
他の5人は娘をそのまま職員室へ行かせるわけもなく、今度は娘を外へ連れ出しました。

校門の外へ

今度、娘を校門の外へ連れてって、
一時間半くらい殴る蹴るをされてたそうです。
娘はそこにしゃがみこんで頭を殴られないように両手でこう・・・かばっていたのを、
主犯の子が主に蹴ったり殴ったりしていました。
とにかく何百発か知りませんけども、
「生意気」とか「許さん」とか言いながら殴っていて。

アタマをかばう

そのとき主犯の子が「何だか殺したくなってきた」って言って、
「誰かタバコかライター持ってない?」って聞いたんですけども、
誰も持ってる子がいなくて、
「あれば押し付けてやるのに」って言ってたそうです。

外で殴る蹴る

そのとき学校は下校時間でした。
娘の話だと数十人の生徒が横を通り過ぎていて、
娘がリンチされているところを見てるんです。
何人かの生徒は先生に言いに行ったそうです。
でも先生は、「それは校門の外だから行かなかった」ということを後で仰ってました。

全治3週間の大怪我

Bさん その日、娘が家に帰ってきて、友達に殴られたって言って泣いたんです。
で、「どうしたの」って言って、ちょっと見せてごらんって制服を脱がせたら、
もう左腕が全部色が違うんです・・・。
左腕が青というか紫というか緑というか、もうすごい色になっていまして。
顔にもいくつかあざがあって、口の中も血だらけなんですよ。

そこで私は骨が心配だったので、一番近所の整骨院に連れて行きました。
そしたら整骨院の先生が、「これは中学生の女の子のすることじゃない。診断書を書くから今すぐ警察へ行きなさい」と言い、
診断書を書いてくれました。

その日はもう夜遅かったので、家に帰ったんですが、
娘はその日はもう食事もできずショックで何回か吐いて、
お風呂もシャワー浴びたら痛いって言ってすぐに出てきてしまって、
夜全く娘は寝れなかったです。
一晩中私の横に来て寝れないって言って、私一晩中なでてました。

翌日の午前中、警察へ行き、二人の警察官から事情聴取を受けました。
事情聴取の中で、娘の怪我を警察官に見せたのですが、
「これはあまりにひどい。接骨院の診断書ではなく、外科の診断書をもらってほしい」って言われました。
外科の診断書があれば、暴行罪ではなく、もう一つ上の傷害罪で立件できるんだそうです。

そこで、警察の帰りに外科に寄って、頭のレントゲンを撮ったんですが、
打撲だけじゃなくて脳挫傷もあったということがわかって。
全治3週間って言われました。

いじめを隠蔽しようとする担任

Bさん このまま娘が学校へ行かなくなってしまうことはどうしても避けたかったので、
数日後、娘を学校に行かせようとしたのですが、またいじめに遭うといけないので、
娘に携帯電話を持たせて学校へ行かせようとしました。
もし何か危険なことがあったとき、携帯電話の発信ボタンを押せば、
私がすぐに学校へ飛んで行けるようにするためです。
でも、校則で学校に携帯を持っていくことは禁止されていたので、
私が担任に直接、特例で携帯を持っていけるように説得しました。
すると担任は、携帯をカバンの中から出さないことを条件に
携帯を持っていくことを認めました。

そのとき、担任と今回の事件について話をしたのですが、
担任は、「お母さんのお怒りは本当によくわかりますが、どうか穏便に」と言ったんです。
私は「娘は被害者なんですけど」といったのですが、
「娘さんにも非がある、やったほうだけじゃなく、やられたほうにも責任があるんだ」っていう言い方をされたんですね。

その日の夕方、娘が帰ってきて「どうだった」って聞いたら、
朝のホームルームの後、担任が娘と主犯格の子を二人廊下に呼んで、
「握手しなさい、これで全部終わりね」って言って二人を返したそうです。

学校の対応にあきれて「いじめから子供を守ろうネットワーク」に相談

Bさん 娘はその日は、暴行を受けるというようなことはなかったそうですが、
包帯を巻いた姿をみた不良グループが、影でコソコソと
「大げさだ」とか、「被害面しちゃって」とか言っていたそうです。

娘が帰ってきてその一連の話を聞いて、「これは娘は今、学校で地獄だな」と思いまして、
「いじめから子供を守ろうネットワーク」の井澤代表の名前だけ存じ上げていたので、相談することにしました。
そうしたら、井澤代表が「とにかくそれはひどい、学校が動かないなら教育委員会に連絡したほうがいいです」といって、
わざわざ私が住んでる地域の教育委員会の電話番号を調べてくださったんですね。

井沢さん

翌朝、教育委員会に電話をして顛末を説明しました。
電話をしてすぐに、娘が通っている中学校の校長から電話が来て、「4時に校長室に来てほしい」といわれました。

夕方、校長室に行ったんですが、
そこには校長、教頭、学年主任、担任、娘、主犯の母と私、の七人がいました。
学年主任は、「自分はいじめられてることには全く気がつかなかった、ふざけてるだけだと思った」と言いました。
担任は、「自分はあと4~5年で恩給がもらえるので、それまではどうか穏便にしてほしい。
何とか加害者も被害者も両方とも受験生だからクラスもそんなことが公になるとクラス自体の空気が乱れてしまうので、とにかく穏便に頼む」と。

その日、学校側の誰からも「申し訳なかった」「止められなかった」という言葉もなく、
「私は知りません、私はわかりません、気がつきませんでした、知りませんでした、もう問題ないから大丈夫だから穏便にして」と、
そんな言葉しかなかったんです。
私は、その時点ではまだ警察に被害届けを出すつもりはなかったんですが、
学校の対応に怒りを覚えて、被害届を出すことを決意しました。

事件は警察沙汰に発展

Bさん 被害届が受理され、夏休みに入る直前ぐらいから、警察の現場検証が始まりました。
現場検証が始まってまもなく、主犯の子の両親が本人を連れて、家に菓子折りを持って謝りに来ました。
先方の両親は、面と向かって謝らせたいと言いましたが、
うちの娘は「もう嫌だ、友達には戻れない」と言って、謝罪を受けようとしませんでした。

8月に入って現場検証も終わったころ、主犯の子が警察に捕まり、鑑別所に入りました。
鑑別所に入った二日後くらいの早朝、他の4人の親が子供たちを連れて家にやってきて、
とにかく娘さんに謝れせてくれと言ってきました。
でもその4人の中には見ていただけの子もいて、謝りたくないわけですよ。
そうしたら親が、「ここで頭下げて謝らなかったら、あんたたちも鑑別所行きなんだよ」と脅したら、
子供たちが、渋々「ごめん」って謝りました。

「いじめから子供を守ろうネットワーク」に相談したことがターニングポイントだった

Bさん その後、いじめはなくなりました。
でも娘には卒業するまでずっと、携帯を持って学校へ行くようにさせました。
私も携帯が鳴ったらいつでも駆けつけられるように、
パートをやめて、娘を守ることに専念したんです。

いじめがパタッとなくなったのは、
「あの子をいじめると親も警察も動く」というのが怖かったんじゃないですかね。
本人にとってはちょっと思い知らせるくらいで殴ったつもりが、
3ヶ月も鑑別所に入る羽目になるとは思わなかったと思います。

当時私は教育委員会に相談すれば、学校が動くということを知らなくて。
たぶんそのときに井澤さんのことを存じ上げてなかったら、
担任の胸先三寸で事件はなかったことにされて、忸怩たる思いをしてると思います。

無事に娘も学校に行けるようになって、受験もうまく行って卒業して今も元気に学生やってますけども、
それができたのも、事件があってすぐに「いじめから子供を守ろうネットワーク」の井澤代表に電話して、
道を示していただいたのが、一番のターニングポイントだったと思います。

解決率9割のいじめ解決法

「いじめから子供を守ろうネットワーク」が独自に開発したいじめ解決法は
7つのプロセスからなる。

解決法

1.いじめの兆候を発見する

いじめ解決の第一歩は、
親が子供のいじめの兆候を発見することから始まる。
「家に帰ってくるなり部屋に閉じこもって泣いている」、
「朝、頭が痛いと言って学校をよく休む」という状況から調べたら、
「いじめられている」ことがわかったという事例もあったという。
こうした兆候を見逃さないことが、
最悪の事態を防ぐことにもなるのだ。
Bさんのケースでは、娘のCさんが、友だちの分まで宿題をやっていたことが、
いじめの兆候だった。

2.「私が守る」

いじめの兆候を発見したら、
次に親として考えなければならないのは、「私が守る」と決心すること。
「わたしなんかが校長先生に、こんなにいじめられてますって言っていいんですか」という保護者も多いが、
まず子供を守るためには親としては、なりふり構わないっていう決意をする必要がある。
井澤氏によると、
子供に親としての姿勢を見せてあげないと、子供が今度親を信用しなくなるのだという。
そういう意味でも、まずはこの決意、決心ということが必要なのだ。
Bさんの場合も、ご自身がパートを辞めて娘さんを守ることに専念したことが、
親子の信頼関係につながっている。

3.いじめの被害事実を記録する

次に、具体的に学校に対していじめを辞めさせてもらう手段として、
どういったことがあったのかを明確にする、いじめの被害事実を記録する。
「いじめから子供を守ろうネットワーク」では、近年
学校にICレコーダーを持っていって録音することを推奨している。

4.いじめの事実を訴え、担任に相談

意識が高い教師であれば、この段階で大体解決するが、
中には、「それはいじめではありません」とか、
「私はいじめを見ておりませんので」という教師も多いという。
この、担任の段階で埒が明かない場合、
次に、校長に相談することになる。

5.校長を交えて相談

担任に相談しても解決しない場合、校長に相談するのであるが、
井澤氏の経験、担任がいじめを認めない場合は、大抵の場合、校長も認めないケースが多いという。
その場合、教育委員会や警察、マスコミなどの外部機関に訴えるという方法を勧める場合もある。
今回のケースは、「いじめから子供を守ろうネットワーク」に相談した時点で、
担任に相談したが埒が明かない状態だった。
そこで、井澤代表は、教育委員会に訴えることを勧めている。
Bさんが語っているように、ここがいじめ解決のターニングポイントになった。

6.加害者に謝罪させる

大人が思っているよりも、謝罪には大きな効果があると井澤氏は言う。
実際、いじめられている子が、被害者の子が謝ってくれたことで、
一年間不登校だった子が、次の日から学校にいけるようになったというケースもあったという。

7.学校に再発防止策を作成してもらう

最後に、謝罪させるだけでなく、このようないじめが二度と起こらないよう、
学校側に再発防止策を作成してもらうことが重要である。

この一連のプロセスによって、
「いじめから子供を守ろうネットワーク」は
9割のいじめを解決してきたのである。

いじめにお悩みの方は是非ご相談を

現在、いじめにお悩みのお子さん、保護者の方は、
是非、「いじめから子供を守ろうネットワーク」の相談窓口にご連絡ください。

電話 03-5719-2170
メール kodomo@mamoro.org(東京事務局)
HP http://mamoro.org/