立候補者15名のなかでひときわ注目を集める細川元首相

2014年1月23日、東京都知事選が告示され、15人の方が立候補しましたが、候補者の一人である細川護煕(ほそかわ・もりひろ)元首相を、一部のマスコミがあからさまにかついでいる様子がうかがわれます。
そこで今回のザ・ファクトでは、同氏の街頭演説の印象を含め、いくつかのポイントを、演説の行われた渋谷ハチ公前からお伝えします。

演説自体が、盛り上がりに欠けた無責任な印象

高い注目度にもかかわらず拍手はまばら

まず気になったのは、渋谷ハチ公前が人で埋め尽くされるほど高い注目度であったにもかかわらず、驚く程、聞き手からの拍手がまばらだったことです。拍子抜けするほど盛り上がらないものに終わりました。

2人の元首相に見られる対照的な姿勢

細川候補の応援演説には、小泉純一郎元首相が駆けつけました。小泉元首相は、細川候補の演説中、有権者に一生懸命手を振って、サービス満点の様子。ところが細川候補は、小泉純一郎元首相の演説中に手を振るどころか、まるで他人事のようにボーッとしていたのです。自分自身の選挙だとの認識が果たしてどれほどあるのか、一抹の疑問を抱かざるをえない印象でさえありました。

街頭演説内容のポイント

ポイント(1) 豊かな経済が前提になければ「心豊かな社会」は机上の空論

細川候補は「経済成長主義を捨てて、心の豊かな社会を作るんだ」との展望を語っていました。しかし言うまでもなく、心が豊かな社会を作る前提には、経済的に豊かであることが必要です。この部分を捨てて「心の豊かな社会」とだけ述べることは、抽象的な空想論でしかないのではないでしょうか。

ポイント(2) 「簡素なオリンピック」では日本の飛躍につながらない

また、細川候補は「簡素な東京オリンピックにするんだ」と明言していました。しかし、これまで長らく続いた不況、東北大震災の影響などから日本が脱して、もう一段の飛躍をするためには、東京オリンピックをきっかけにこれからの未来の構想、日本の構想を掲げるべきです。その時に簡素なオリンピックというのは、まったくもって情勢に逆行したビジョンです。

ポイント(3) 勉強不足の「原発ゼロ」発言

さらに、細川候補が代替案の全くない状態で原発ゼロを主張しているということが、改めてよくわかりました。同氏は昨日の記者会見においても「原発を続けることは犯罪的行為だ」と話していましたが、今、原発が止まって節電が呼びかけられ、電力料金も上がっている中で、暑さ寒さのために何百人もの方が亡くなっている状況です。どちらが犯罪的行為なのかを問いかけたいと思います。
さらにある新聞記者の話によると、細川元首相は、細かいことは知らないので討論会にあまり出たがっていないとのこと。これが本当ならば、原発ゼロの主張が本当に自分の信念として、勉強を重ねたうえで言われているのか、疑わしいと言わざるをえません。

いずれにしても、この東京都知事選は、東京だけでなく日本全体に大きく影響する選挙です。これからも、しっかりとこの選挙に注目していきたいと思います。