日本時間の4月30日未明、安倍総理がアメリカ上下両院合同会議で日本の総理として初めての演説を行い、「日米同盟の更なる強化」や「先の戦争の反省」などを述べました。

これまで日本は敗戦国だから総理大臣が招かれてこなかった

この合同会議は1941年12月、フランクリン・ルーズベルト大統領が、戦争への参加を議会に求めた演説をした場所として有名です。また、その後も各国の元首クラスがたびたびこの場で演説を行ってきましたが、日本の総理が招かれたのは今回が初めて。これまで招かれることなくきた理由は、やはり日本が敗戦国だからというのが実情です。戦後70周年の今年、やはりエポック・メイキング(画期的)な出来事の一つと言えるでしょう。

演説が好意的に受け止められた背景にはアメリカ側の事情も

46分間にわたった英語による演説の中で、安倍総理は自身とアメリカとの関わり、先の戦争の反省、今日本は「クオンタム・リープ(量子的飛躍)」の中にありアメリカとともに世界の繁栄に貢献していること、そして日米同盟のさらなる強化などを述べました。スタンディングオベーションが10回に及ぶなど、おおむね好意的に受け止められたようです。今回の安倍総理の訪米は、日米新ガイドラインの合意や、中国の海洋進出に対する日米の安全保障体制強化の確認など、成果があったと評価できるでしょう。しかしその背景として、ダッチロールに入りつつあると言われるオバマ政権が、ある意味で日本に助けを求めたというアメリカ側の事情もありました。この点を忘れてはなりません。

今回の演説では歴史観に関して安倍総理の限界が見えた

また今回の訪米には、ある意味で安倍総理の限界が見えた面がありました。それは、歴史観に関する部分です。今回の演説の中で安倍総理は「侵略」「植民地支配」「お詫び」などの言葉は使わなかったものの、「反省」を口にし、歴代の総理の認識を引き継ぐことを表明いたしました。しかし、侵略を認めた村山総理などの認識を引き継ぐというのでは、安倍総理の言う「クオンタム・リープ(量子的飛躍)」などは望めません。なぜならば、先の戦争が侵略ではなく、日本の自衛とアジアの植民地解放のための戦いであったという認識を持ってはじめて、日本はリーダーとして世界の平和と繁栄に貢献していく自信が生まれてくるからです。その自信がもとになってはじめて日本の量子的飛躍というものが実現されるのです。

安倍総理には、8月に予定されている「安倍談話」に関して、ぜひともこの歴史観の部分についての考えを、いま一度練っていただきたいと思います。