中国は今、「南京大虐殺」と「従軍慰安婦」に関する資料をユネスコ記憶遺産へ登録しようという動きを進めています。今回のザ・ファクトでは、ユネスコ本部に反論文書を提出してきた幸福実現党の釈党首と、今年4月に「南京大虐殺」に関する4つの資料をスクープした月刊「ザ・リバティ」綾織編集長に話を聞きました。

登録申請されている「従軍慰安婦」資料の不備

幸福実現党の党首釈量子氏は「従軍慰安婦」に関する反論文書を提出。以前ザ・ファクトがお伝えした記事「証拠価値ナシ!中国の提出したユネスコ記憶遺産登録申請の資料が発覚」では、「南京大虐殺」の申請書の問題点を取り上げましたが、今回の「従軍慰安婦」の申請書類にも、問題点が多いことがわかっています。

著作権を虚偽申請 無断で写真を使われた遺族の訴え

ユネスコ本部に反論文書を提出してきた、釈党首に話を聞きました。
「『従軍慰安婦』の資料として登録申請されている写真について、『父の撮った写真が無断で使われている。許可した覚えはない』『これは上海の民営の慰安所の写真だ』と、福岡県博多区にお住いのご遺族が訴えておられます。中国側はこの写真を自分たちのものだと主張していますが、これは著作権を虚偽申請していることになります。ご遺族の家にあった写真のネガ、写真の正当性について訴えるお手紙、そして他にも「中国側が提出した資料には正当性、真実性があるのか」について訴える資料をまとめて提出しました」

ユネスコに提出した反論文書には多数の賛同者

今回の反論文書には多くの著名な方が賛同しています。渡部昇一名誉教授、それから長谷川慶太郎さん、茂木弘道さんなど、各界から45名の方々が賛同者として名を連ねています。また、その中の一人「史実を世界に発信する会」の茂木弘道事務局長は「これほどの虚偽情報をユネスコに遺産登録することを考えること自体が、人類に対する犯罪行為である」と2015年6月10日日本外国特派員協会で述べています。

ユネスコが中国側に資料の追加提出を求めた

ユネスコ側も中国側の提出した資料に疑問を持ち始めている

今年4月に「南京大虐殺」に関する4つの資料をスクープした、月刊「ザ・リバティ」綾織編集長に話を聞きました。
「先日、記憶遺産の南京大虐殺に関する資料について、『ユネスコが中国に資料の追加提出を求めている』というのが、弊社の取材でわかってきました。これは4月に幸福実現党が反論文書を提出したことを受けての動きといえます。同党はこれまで何点か、反論・抗議をしていて、ユネスコ側も『本当に中国が持っているものなのか』『オリジナルのものなのか』と中国が提出している資料の信頼性に疑念を持ち始めています。既に中国は、『自分たちが持っている物を提出しなければならない』というユネスコのルールに明確に反しています。これは不正行為と言ってもいいと思います」

資料には「女性の権利が守られていた」様子が明白

また、綾織編集長は「もう一点、この『従軍慰安婦』の資料の中身の問題もあります。中国側は、『日本軍が強制連行をした』『性奴隷のような扱いをした』という主張をして資料を提出しているわけですが、実際にこの資料を一つひとつ見てみると、『女性たちに暴力をふるった兵隊さんを取り締まった』ということが書かれていたり、『男女の自由恋愛みたいな形で恋愛関係になって、兵隊さんが移動して行く所に慰安婦の女性が追いかけていった』ということも書かれているので、かなり自由で、かつ、女性たちの権利は守られていたということがわかります。日本軍としても極めて法律を守った形で、慰安所との関係が保たれていたと言ってよいでしょう」とも話しています。

密室審議で記憶遺産登録されてしまうおそれも

中国は『提出した資料を中国として公開しなければならない』というユネスコのルールにも反しています。公にして、一般の学者などの目にさらして検証を経なければならないということなのですが、中国は一切、自分たちが提出した資料を公開していません。ユネスコ記憶遺産は、人類共通の遺産です。本件が正式に登録されるかどうかについては、秋に決定される予定ですが、形式的にも内容的にも問題の多い資料が、非公開のうちに、密室審議で登録されてしまう危険性があります。これについて大きな問題があるのではないでしょうか。

文化遺産と記憶遺産で異なるスタンスになっている日本の対応

日本政府は今、長崎の軍艦島などを文化遺産として登録しようという動きを進めています。

文化遺産登録には積極的な姿勢を見せる日本政府

この動きに対し中国や韓国から一部反発が起きていますが、日本政府としては副大臣が審査委員の国に行って反論するなどしています。世界文化遺産についてはこのように極めて積極的に活動をやっています。ただ、私たちが今問題にしている記憶遺産については、政府はほとんどまったく反論活動ができていないというのが実態です。つまり、文化遺産と記憶遺産では対応がまったく違う状態になっているのです。「河野談話」「村山談話」というものを踏襲すると(歴代総理が)言っていますので、これに縛られて歴史問題で政府として表立って反論することができない状態になっています。

中国側の申請が通ってしまったら誰の責任になるのか

今、ユネスコを舞台に外交的にも、歴史認識をめぐるさまざまな戦いが繰り広げられている状況になっています。釈党首は、「ユネスコ戦争と言ってもよいのかと思います」と表現。加えて、「中国側の申請が通ってしまったら誰の責任になるのでしょう。政府の責任なのか、どうなのか。やはり私たち日本人末代までの名誉にかかわってまいりますので、志ある方々は自分の問題として何とかしたいという方々が、一緒に立ち上がっていただくしかないのだなと感じています」と警鐘を鳴らしています。

歴史認識の誤った談話が強制連行の証拠にされている

「従軍慰安婦」強制連行の証拠として、韓国やアメリカ人の団体から「河野談話」が最大の証拠だと言われてしまう現状があります。この記憶遺産に関しても、「河野談話」と「村山談話」が日本側の大きな手かせ足かせになっているということです。人類共通の記憶遺産として、将来日本の子供たちが「日本人・兵がこんなにひどいことをやったのだ」ということを学びつづけるという自体は、避けたいものです。そうした意味で、「河野談話」「村山談話」を白紙撤回することができなければ、ほかにもさまざまな問題を引き寄せてしまうことになりかねません。

今度、日本はどうしていくべきか

来年は韓国が「従軍慰安婦」の資料を提出する予定

綾織編集長は、この問題は、戦後70年だけの問題ではないと明言。来年はいよいよ韓国が、「従軍慰安婦」について、記憶遺産の資料の提出をし、その審査は2017年まで続くとのこと。今回の中国にしても、次の韓国にしても、延々と資料が出てきます。この戦いはかなり長い戦いになると考えてよいでしょう。今回だけ一時しのぎの対応をするのでは厳しく、やはり最初の時点でこれを阻止する活動を、日本政府・国民で全力を挙げてやっていかなければならないと述べました。

「河野談話」「村山談話」の白紙撤回を

幸福実現党は「河野談話」「村山談話」の白紙撤回を求めて、全国で署名活動をしています。8月15日に安倍談話が出るか、という話もありますが、やはり過去の2つの談話を何とかしなければなりません。安倍総理は先日のアメリカ議会演説をはじめ、さまざまな場面で「未来志向」という言葉を口にしていますが、過去についてもきちんとした対応を求めたいところです。民間がいろいろ声をあげてはいますが、日本政府、そして安倍首相の意思表示が必要です。最後に釈党首は「やはり国民の認識を変えていく必要があります」「この運動は私たち一人ひとりの国民の認識を変えていく運動でもあるかと思っております」と語りました。