7月16日午後2時過ぎ、衆議院本会議で、いわゆる「安保法案」が与党主導のもとに可決されました。可決直後の国会前には、今回の安保法案に反対する方々、そしてこれを強行採決だと言って反対する方々が多く集まっています。「戦争させない」「9条を壊すな」などと書かれたプラカードが並んでいます。

中国の軍事的台頭、北朝鮮の核武装が進んでいる

確かに戦争は絶対してはなりませんし、平和を守ろうという気持ちは非常に大切です。しかし、現実というものを見たときに、今、この東アジアを中心とした日本を囲む安全保障情勢というのは大きく変化しております。すなわち、中国の軍事的台頭であったり、北朝鮮の核武装であったり、この国会で審議に時間がかかっている間、こうしている今も中国の南シナ海での埋め立て工事は進み、北朝鮮の核武装も進んでいるのです。この中にあって、やはり国民の生命・安全・財産をいかに守るか、日本の独立を守るかということは、政治の責任においてしっかりと進められねばなりません。

立憲主義・法治主義だからといって平和が保たれるわけではない

今日のこの法案の可決において、ポイント2点お伝えします。1点目は、「立憲主義」「法治主義」についてです。可決後の国会前でも「立憲主義に反する」「法治主義を冒涜するものである」という言葉が多く聞かれました。しかし立憲主義・法治主義に則っていれば、平和で安全が保たれるのかというと、そうではないのです。有名な例としては、ヒトラー政権がワイマール憲法の下に成立し、そしてあのユダヤ人虐殺、第二次世界大戦へと走った。ああいうものを見たときに、結局肝心なことは、法を作り、法を運用する人の心だといえるでしょう。私たちは、立憲主義・法治主義を唱えていれば安全・平和であるという幻想に陥ってはならないのです。

憲法によって国民を守れないなら憲法を改正するべき

そして2点目。「憲法違反である」という声も、国会前で多く聞かれました。今回の安保法案と憲法との兼ね合いについて、多くの憲法学者が発言し、違憲であるとの声も存在しています。しかし、今の日本国憲法には、実はもっと大きな矛盾があります。それは、憲法9条において、事実上、「軍隊の不所持」がうたわれていながら、自衛隊があるという問題です。この問題に関しては、戦後、根本的な議論はされないままできました。それに比べれば、今回の安保法案というのものは自衛隊の運用程度の問題であると言えるかもしれません。いずれにしても、現実に今の憲法が私たち日本国民を守り、日本の独立を守ることができないなら、私たちは筋として、日本国憲法を改正することも考えねばならないと思います。

これからどうやって平和を守るか、独立を守るか――。日本は今、大きな岐路に立っています。私たち日本国民は、一人ひとりの力で正しく考え、そして行動せねばなりません。