昨年全米で70本のテレビ・ラジオ番組に
出演し、歴史認識問題について発言した
及川幸久さん(幸福実現党外務局長)は、
ここ20年ほどでアメリカ人の意識が
変化したことを肌で感じた。

及川1ショット

「アメリカ人が『歴史認識問題』に関して
聞く耳を持つようになってきた」――。
これは80年代、90年代のアメリカでは
考えられない現象だったという。
なぜ、このような変化が起きているのか?
(昨年12月24日ニコニコ生放送
「なぜトランプ候補が人気なのか?
アメリカの歴史認識は」を記事化したものです)

(第1回目はこちら)
「アメリカの歴史認識」――いま、アメリカ人の考え方が変わりつつある。米国2016最新事情①

(第3回目はこちら)
なぜ、大統領候補ドナルド・トランプが人気なのか? 米国2016最新事情③

アメリカは自己反省に入っている?

及川里村



里村 先ほど、ウォール街で働いている時だったら、
「ルーズベルトが真珠湾攻撃を仕掛けさせた」など
といった話はできなかったと言っていましたが、
やはりアメリカが変わってきているわけでしょうか。

及川 これは戦後70年経って、アメリカという国が
自信を失ってきた現れの一つなのかと思うんですよ。
というのは、私がウォール街にいた80年代、
90年代は、アメリカはまだ自信満々でしたよ。
世界一の国としての自信を持っていた。
だから、そのアメリカが原爆であろうと、
真珠湾であろうと、日本が何かいちゃもんを
つけてきたら、とてもじゃないけど
聞いてくれるような雰囲気じゃなかったですよ。
この番組でも採り上げた戦後50周年の時、
ワシントンのスミソニアン博物館が
原爆展をやって、アメリカ人が原爆の真実を
語ろうとしたわけですよね。
だけどそれが全米の反対を受けて、
つぶされたわけしょう。


(中止されたスミソニアン博物館の原爆展についてはこちら)
「原爆投下と南京大虐殺の関連を徹底解明!
『ザ・レイプ・オブ・南京』を生み出した米中の意図」



及川 実際に当時はそういう雰囲気でしたよ。
でも今は変わりましたね。
やはりいい意味でも悪い意味でも、
オバマ大統領がアメリカの誇りを
ものの見事に破壊してくれたというか。
アメリカ人は、ちょっと自己反省に
入っている感じがします。

里村 「ザ・ファクト」でも、アメリカの学者が
原爆投下には正当性はないという主張を
紹介しています。
以前だと、そういうことを言うとすぐ
「修正主義者」というレッテルを貼られて、
アメリカの学会にいられなくなる。
それが、結構堂々と言えるような感じになってきた。

及川 それはありますね。
ただ、例えば私も慰安婦の問題も、
アメリカのラジオで最初に言い始めた時は、
番組のホストから結構強烈な反発がありました。
番組のホストも、私が慰安婦問題について語る、
コメントするとは知っていても、
まさか全面否定するとは思っていなくて。
実際に番組が生中継で始まってみたら、
「まったく慰安婦なんて韓国の嘘なんだ、
バックについている中国の陰謀なんだ」と話し始めるので、
番組のホストが「おい、ちょっと待ってくれ。
とんでもないゲストを呼んじゃったな」みたいな
雰囲気になってくるんですね。
番組が終わったあとに、その番組のホストのブログを読むと、
「今日、私の番組にユキ・オイカワという
とんでもない日本のナショナリストを出してしまった。
こんなやつが最近出ているので、
皆さん気をつけてください」って(笑)。

里村 (笑)イエローカードというか、
レッドカード(笑)。

及川 そうです。やっぱりそうは言っても難しいなと。
私もちょっと反省したのは、やっぱり言い方ですね。
言い方に気をつけないといけないと思いました。
別にアメリカに喧嘩を売る気はないんですよ。
アメリカは同盟国なんでね。
やはり大事なのはアメリカとの信頼を
作ることだなと。
今、私はこの1年でラジオだけだと
70回ぐらい出ているんですけど、
そのうちの何局かは、もう3回、4回、5回と
出ているんです。

及川さんTV出演

及川 その局では、イレギュラーなんだけどよく出る
ゲスト」になっていて。
例えばフロリダの局とか、オハイオ州の局だとか、
カリフォルニアの局とか、そういう所では
もう5回も出ているので、少し知られてきています。
まずは日米関係に関して、アメリカ人にとって役に
立つような話をして、そこからだんだん信頼を得て、
「ああ、彼の言うことだったら耳を傾けようか」と
なれば、いろいろ聞いてくれます。
特に真珠湾は、アメリカ人にとっては
やはり非常にセンシティブな問題なんですよ。

「南京大虐殺」への見解の変化

里村 そういえば先日、12月13日、
中国が「南京大虐殺」の紀念館の行事をやったと。
あれをロイター通信が報道したときに、
「日本の学者や保守系の言論人の中には、
『南京大虐殺』を否定する人もいる」という
一文をつけた。
つまり、完全にみんなが「南京大虐殺」を事実として
認めているわけではないと、
ロイター通信も示したということがありました。

nannkinn

南京大虐殺記念館



及川 これは、ちょっと我田引水というか、
自画自賛に聞こえるかもしれないけど、
アメリカでも「南京大虐殺」については
歴史的な事実として、ここ1~2年の間は
確立していたんですよ。
中国側からの情報があまりにも一方的に
多かったので。
それに日本政府だって認めてますから。

里村 そうなんです。

及川 安倍政権だって認めている。

里村 はっきり、今年認めちゃったんですよ。

及川 ですよね。

里村 国会で人数はわからないが(虐殺は)あったと。

及川 しかし、「いや、そうじゃない」という本を
うちの党総裁の大川隆法総裁がアメリカで
英語版で出して、「こういう本を出しています」と
いうのを私はラジオで言いまくったんですよ。
それはやっぱり反応が結構ありました。
「えっ、そんな意見があるんですか」と。

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幸福の科学出版刊 英語版『天に誓って「南京大虐殺」はあったのか』


「アメリカ」のやることはすべて正しい?

里村 逆に、今まで日本がいかに言わなかったかと
いうことの表れなんですけどね。
先ほど、アメリカ人の変化という話があった。
原爆投下が正しかったという人が、
最近、世論調査で、それでもまだ56%の人がいる。
これをどう見るかですが、アメリカという国は
歴史もありません。建国神話がない。
伊邪那岐命とか、あるいは天之御中主神、
天照大神といった神々が日本をつくった。
こういう神話がないので、アメリカ人は常に
自分たちは神の側に立っているのだ、
神の正義を行使する側なんだということを
確認したい国民なのかなと思うんです。

及川 「アメリカ」という国の理念自体が宗教だと
思うんですよ。
その「アメリカ」という宗教を支えているものは、
いま、言われた「神の国」という信念なんですよ。
アメリカは「約束された土地」でなければ
いけないんです。
よく日本では「日本教」と言いますけど、
アメリカこそ宗教だと思います。
だから、やはり世界ナンバーワンでなきゃいけない。
アメリカのやったことはすべて正しいんです。
原爆であろうと何であろうと、やはり正しい。
だけど、そろそろ本当に正しさは何なのかというのを
冷静に見る時じゃないですか、というのが、
我々の主張です。

里村 なるほど。それでオバマ大統領の、
ある意味でダッチロールの中で、
アメリカ人自身も「アメリカって何なんだろう」と
考え始めたり、よくいえば多元的なものの見方を
アメリカ社会がするようになった。
その中には、同性愛の結婚を認めるとか、
我々からすると簡単にはうなずけないものも
あるけど、とにかくいろいろな見方があるんだという
ことは、随分アメリカでも認めるようになってきた。

及川 
それはありますね。
ある意味では、
その流れの中で私みたいな日本人が出てきて、
日本の立場を勝手に言い始めて。
でも、そういうのを聴くようになってきた。
それはいろいろな意見を、とりあえず聴こうという
「聴く耳」ができましたよね。
前は聴く耳はなかった。

(第3回目へつづく)
なぜ、大統領候補ドナルド・トランプが人気なのか? 米国2016最新事情③

(第1回目はこちら)
「アメリカの歴史認識」――いま、アメリカ人の考え方が変わりつつある。米国2016最新事情①