2月12日(日)に人気女優・清水富美加さんが
宗教法人「幸福の科学」に出家することを発表し、
日本中が話題騒然となっている。

その清水富美加さんが、17日
告白本『全部、言っちゃうね。』を幸福の科学出版から発刊した。

今回、THE FACTでは
この話題の渦中にある幸福の科学広報担当専務理事であり
THE FACTメインキャスターでもある里村英一氏に、
番組プロデューサー奥津貴之が、インタビューを行った。

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奥津

ブリーフィング‗完成

2月12日に清水富美加さんの出家に関するマスコミ向けブリーフィングを行う里村英一氏(右)

渦中の里村英一・幸福の科学広報担当専務理事に直撃インタビュー!

奥津 今回はいつもとスタイルを変えて、
私の方から里村さんに質問させて頂く形で進めさせていただきます。
というのも、今回里村さんは幸福の科学の広報担当専務理事
として矢面に立っている、いわば当事者でもあります。
マスコミ報道では出てこない「清水富美加さんの出家の真相」について
語ってもらいたいと思います。

里村 今、奥津プロデューサーから矢面に立っていると言われましたが、
矢面に立っている時もありますが、
自分自身が矢となって逆に自分の方から突っ込んだりもしています。
と申しますのも、THE FACTはこれまで
マスコミが報道しない事実を報道するということを標榜してきて、
今まで北朝鮮、中国、あるいは韓国、いろんな問題を取り上げてきたんですけど、
意外や意外、我々のお膝元の日本の芸能界、芸能マスコミの中に「大きな闇」「報道しない事実」が
あったということを今回発見したので、
当然、THE FACTでもやはり取り上げなければいけないと思いました。

ギリギリの状況で書かれた告白本『全部、言っちゃうね。』

里村 今回、清水富美加さんご自身、
この本『全部、言っちゃうね』が緊急発刊ということで、2月17日に発売されました。

『全部、言っちゃうね。』表紙‗完成

2月17日に発刊された清水富美加さんの著作『全部、言っちゃうね。』(幸福の科学出版刊)

里村 この本の中には、彼女が出家に至った経緯、
芸能界で8年間、どういうことを考えていたか、
7年間死にたかったけど7年間死ねなかった。
事務所の対応に関して何が辛かったのか、本人の悲痛な魂の叫びを事務所が
受け止めてくれないというあたりが、本人でないと語れないという部分がたくさん出てきて、
彼女のツイートにもありましたが、
「守ってくれたのは事務所じゃなかった」「幸福の科学だけが最後の砦だった」と、
色んな形で語っています。

奥津 私も読ませていただきましたけど
これを読むとまさに幸福の科学が「現代の駆け込み寺」として
彼女を守ったのかなと思いました。

里村 簡単に言うと清水富美加さんは今回の出家に至るまで、
苦しくて苦しくて仕方がなかったんです。
でも事務所からの仕事は断れない。
元気を装ってやってたけど、もうこれ以上やったら死ぬという所まできて、
それでも事務所は働けと言ったんです。
それで倒れてしまい、幸福の科学に駆け込んだと言っても過言ではないような内容が書かれています。
医師から二通診断書が出ていることからもわかりますが、働きたくても働けない状態であった。
そんな中で救いは幸福の科学しかなかったというのが真相だったんです。

マスコミに意図的に削除される事実

清水さんが追い詰められていたという事実が欠けさせられている

奥津 この本の中にも「なぜ今なのか」という問いに対して、ご本人が、
「今じゃないと生きていられないから。死んでしまうかもしれないから」、
と書かれていましたね。

なぜ今なのか02‗完成

今、やめないと生きていけないと著書の中で語っている(『全部、言っちゃうね。』より)

里村 そうなんです。でもその点が、意図的にマスコミ報道から落とされているんです。
何が問題かというと、そういうことを全部落として、
単純に「清水富美加のわがまま」みたいな図式にはめようとしているのが今のマスコミ報道なんです。
でもそれは違うんです。
清水さんは、契約上も、もうやらなきゃいけない状況に追い込まれていた。
事務所は「契約なんだからやれ!」って言っていました。
私も実際に事務所側の文書見てますけど、そんな状況下で、「これ以上続けたら死ぬ」
っていうところまで来ていたんです。
このままだと、体のほうが持たなくなる状況だったんです。
それなのに、清水さんがそこまで追い詰められていたっていう、
この部分がマスコミ報道から欠けている。
いや、欠けているんじゃなくて、意図的に欠けさせられてるんです。

奥津 追い詰められたっていうのであれば、休職するなり、やめるなり・・・ 

里村 大変ですよ。いま電通の事例でね、
過重労働をやらせたらいろんな役所が入ってくるから、
今どこだって、どの企業だってナーバスに従業員の健康を守ろうとしています。
ところが芸能界という特殊な契約関係の中には、そのような配慮はないんです。

告白本、スピード出版の真相は?

これまでも幸福の科学出版は霊言収録翌日に書籍を何度も緊急出版している

奥津 この書籍は、昨日2月17日に発刊されたんですけど、
このスピード発刊に対して、ネットなどでは、「出家が決まってから1週間足らずで
本が出せたということは、そもそも出家を含めて前から周到に用意されていたんじゃないか?」
またもう一つ、
「本を書けるくらいの元気あるんじゃないか?」というような
コメントを目にするのですがいかがでしょうか。

里村 まず清水さんの体調に関してお答えします。
私はご本人とも会っていますが、いま極めて体調厳しいです。
その中で、ご本人なりに、やはり関係者、ファンの皆様に少しでも話したいと、
ご本人のアカウントでツイートをし始めたのが2月11日。
この日あたりから自分の言葉で説明したいということで、喋ることがはじまって、
ツイートと同時に幸福の科学出版の編集部の方が彼女の話を聞いて、書き起こすというような状況でした。

もちろんですね、体調が極めて悪いんで、医師指導のもとに体調の良い時を選びながら、
4回に分けてインタビューが行われました。
その後に一気に2日くらいで編集して、印刷して17日に発刊っていう流れです。

幸福の科学出版ではいつも、この2日くらいで発刊っていうのを普通にやっています。
一番早いのが、わかりやすい事例で行くと去年、北朝鮮が水爆実験やったときは、
その翌日にこの水爆実験やった霊的背景を探る霊言が行われた。
そしてその翌日に本が発刊されてますから。
 

水爆経典‗完成

『北朝鮮・金正恩はなぜ「水爆実験」をしたのか』(幸福の科学出版刊)は霊言収録の翌日に書店で販売された

里村 だから、皆さん驚かれているけど、
我々のスピード感覚から行くとごく当然、普通のことなんですよ。
で、一番肝心な点は、彼女、千眼美子さん自身が
「マスコミとかでいろんなこと言われているから一日も早く皆さんに知らせたい」という強い希望から
この書籍の発刊につながったということです。
彼女の気持ちがまずあったんだということです。

それがマスコミ報道で非常に事情がわかって書いてるマスコミもありますけど、
一方的な事務所からの情報に基づくもので書いているものが多かったので
まあ彼女としても死力を振り絞って書いたと。

奥津 ご本人も直筆でまえがきに、
「日々様々な疑問や情報、憶測や意見が飛び交っているのを目の当たりにし、
それらにお答えしたくすべてのことを遺書を書く思いでこの本に全託しました」
とありますよね。
まさにその思いで発刊された書籍だということだったんですね。

まえがき02_完成

遺書を書く思いで著書を発刊した(『全部、言っちゃうね。』まえがきより)

里村 その通りなんですよ。だからもう、読んでない方は
「1ヶ月前から準備したんだ」とかいろんなこと言いますけど、
読んでいただくと、全部、今起きてることに対して話をしているんです。
だから決して、前々から準備してできるものではないということをわかってほしいし、
もう一つ宗教が持つ駆け込み寺、もうだめだっていう時に駆け込むわけですよ。
そしたらお寺側は全力で守る。
これはもう宗教として当然ですけど、そういう中でご本人の口から語られたのがこの本です。

清水富美加さんへの主な批判を検証

奥津 いまマスコミ報道なんかで、様々な意見出てますけど、
そのなかで批判に当たるようなコメントだったり、記事だったりというのを散見するんですけども、
それをちょっと代表的なものをフリップにまとめてみました。
これについて里村さんにお話をお伺いしたいと思います。

フリップ完成02


批判① 「契約満了まで働くべき」

ドクターストップが出るまで、「やれ!」と言い続けた事務所

奥津 まず、この「契約満了まで働くべき」
という批判についてはどうでしょうか。

里村 この『全部、言っちゃうね』を読んで頂ければ一番わかると思うけど、
清水さんは働ける状態じゃなかったんです。
やはり病気だから仕事をすることができない。
できないにもかかわらず事務所は「やれ!」と言う。
そんな彼女に残されたのは出家しか無かったんです。

具体的にいいますと、
当初は清水富美加さんサイドは、2月末で契約解除を申し出ました。
これは契約のあり方、解釈によって違うんですけど、
清水富美加さんはレプロ側と実質的に雇用関係にあって
実質的には労働者だったんです。
民法で定められている権利で、
2月の頭に申し出て2月の末に解除、
これは法律的にできるということで2月末に解除を申し出ました。
その中で事務所サイドと話して、
じゃあ仕事を整理していく方向でやっていきましょうっていうことになったんです。
だから清水富美加さんは今撮影中の映画、
ちょうど2月いっぱいまで撮影完了のときで、
最後までやるつもり持っていました。
先方にもその意志を表明してました。
でも、そのかわりどうしてもできない仕事がある。
それが例えば『●●女子』のPRの仕事だったんです。
これが彼女にとって一番イヤな仕事だった。
撮影は終わったけどどうしてもPRだけはできないと。
要するに彼女の心が受け付けないわけです。
しかし、それに対して事務所が「契約なんだから、やれ!」と言ってきたんです。
事務所は「彼女の気持ちを忖度して」、といっていますが、
実は「全部やれ!」と言っていただけなんです。
で、その中で彼女はできませんという中で、
急激に心身の状態が悪化して、
それでお医者さんのところに行ってドクターストップがかかりました。
契約云々言っても働ける状態じゃなかった。
で、ここが肝心なのですが、
そこまで追い込んだのは事務所の責任です。

奥津 確かに、この本を読んでも
里村さんの話を聞いてもそうですけど、ギリギリの状態だったんですね。

里村 芸人さんとかね、仕事、業界の方から、
「最後までやるのがプロだろ」とか、
「芸能界のしきたりなんだ」とか言う方がいるけど、
彼女は役作りのために居酒屋でハエを捕まえてそれを食べちゃう
っていう話が本にも出てきます。
もう衝撃なんですけど、そこまでやる人だったんです。
ものすごい仕事に没頭するがゆえに、心の傷が大きい。
そういう非常に真面目な方だったんだって。

虫を捕まえて食べた02_完成

役作りのために居酒屋でハエを食べたという(『全部、言っちゃうね。』より)

事務所が同意しないと実質的に契約解除できないという「奴隷契約」

奥津 そもそも5月20日の契約満了で、彼女は円満にやめることができるんですか?

里村 できないんです。
ところがこれがこの業界が使っている統一契約書によると、
契約満了でやめることができないようになってるんですよ。
これテレビで出てるタレントさんみんな知ってるはずなのに、
みんな嘘言ってるんですよ。
実はこれ奴隷契約たるゆえんなんですけれども
契約が解除されても一年間は事務所がオプションとして
そのまま拘束できるっていう条項があるんです。
つまり契約解除のためには
3か月前に契約解除しますっていう意思を示さないといけない、
しかもそのあとに一年間のオプションがある。
15か月は確実に拘束されるんですよ。
しかもその間に、事務所側が振ってきた仕事をやらないと
事務所側は契約不履行として、一年にプラスしていくんです。
実はこれをやられているらしいのが能年玲奈さん。
事務所側の仕事をやらないからと言って、
オプション期間を過ぎてもどんどん、
この仕事をやらなかった期間があるからと言って、
永遠に足抜けできない状態にあるんです。

奥津 能年さんは今もレプロに所属している?

里村 レプロのHP見てください。
いまだに所属タレントに能年玲奈さんが出てきます。
本人が辞めたいといっても、事務所はやめてないぞと。
ずっと最後まで足を洗わせないんです。
信じられませんが、こんな世界が現代日本にあるんです。


批判② 「月給5万円は芸能界では当然」

奥津 月給5万円は芸能界では当然ということですが、
これは、1ヶ月ずっと休みがなくて睡眠時間3時間で月給5万円ということですよね。
そういうの当然なんだというコメントよく耳にします。

仕事が入るようになった途端、歩合制から月給制に切り替えさせられた

里村 よく言ってますよね。
まずそもそも大前提として
彼女はデビューして当初は歩合制だったんです。
つまり仕事が入ってやって、それでギャラが入るという契約だった。
でもこの業界の常なのかわかりませんが、
だんだん仕事が入ってくるようになると途中で、
事務所が月給に切り替えたんですよ。
それで事務所が月給に切り替えた途端に、彼女に入ってくる収入が、
ガクンと落ちたんです。

奥津 歩合制でも売れてないときは
そもそもお金も入ってこないんですけど、
お金が入ってくるようになったら今度は給料制に切り替わると。

里村  だから事務所からすると、
これはレプロさんがとかじゃなくて一般的に言うと、
事務所からしたらだんだん稼げるようになったら
月給にしたほうが実入りが多くなる。

月給制に異議を唱えた直後、事務所に干された

里村 また、清水さんの衣食住を全部事務所が見ていたって言う話もありますけど、
彼女は実家で、仮面ライダーフォーゼに出てた頃って実家からですから、
事務所からは食費も、それから住居費も出ていませんでした。
それから月給制なのに残業代や休日出勤手当はありません。
これは専属契約、請負契約という契約形態を取っているからなんです。
彼女は当時、未成年でしたから
お父様と一緒に月給制は困るんじゃないかと言ったんですが、
その直後、事務所から干されたんです。
出演が決まっていたNHKの仕事が来なくなったり。
事務所からはNHKから断られたと聞かされていたようなんですが、
後日NHKのプロデューサーに聞いたら、断ったのは事務所の方だったそうです。
それを聞いて本人もびっくりしたと、この本にも書いてあります。

奥津 そこで初めて事務所が断ったってことを本人も知ったんですか?

交通費も出ないので、深夜にヒッチハイクして帰宅していた

里村 そうなんです。
だからこれ、能年玲奈さんのケースでも
経費はちゃんと会社が持つんだけども、
早朝から深夜まで働く中で、経費を精算する時間もないという状況で、
能年玲奈さんは下着がなくなって、
買うお金もなくなったって報道もありましたけど、
清水富美加さんの場合も同じで、
彼女の場合は深夜に撮影が終わって、
電車もお金もないので、ヒッチハイクして帰っていたそうです。 
高校二年から。
すごいことですよ。
この話も『全部、言っちゃうね。』には生々しく出ていますが、
「経験から営業車のほうが安全だとわかった」って、
ちょっとすさまじいですね。
真夜中にタレントの女の子が、ヒッチハイクって。
「事務所は何やってたんだ」って思いました。
送り迎えを付けないんですよ。
奥津 せめて深夜になるんだったら
タクシー代出すとかそういう気遣いがあるべきですよね。

ヒッチハイク02‗完成

月給5万円の時代は深夜の帰宅のためヒッチハイクをしていたという(『全部、言っちゃうね。』より)

事務所の取り分は9割、タレントの取り分は1割

里村 だから、もちろんだんだんと、少し上がって、
例えば、NHKの朝ドラ「まれ」で
清水富美加さんは一躍ブレイクしたわけですけれども、
『全部、言っちゃうね』に出てるように、
「まれ」のころで12万円月給。
去年は確かに1000万円だったっていうんです。
でも年収1000万円って言っても、月給は25万円です。
つまり月給だけだと年収300万です。

あとの700万円は、事務所側から恩恵としてボーナスが与えられていたそうで、
この合計で年収が1000万だったそうです。
でもこのボーナスというのは、労働者じゃないから
確実に出ると約束されたものではないんです。
そんな非常に不安定な状況の中で、去年は1000万だった。
これに対して彼女のマネージャーは、
「清水さんは去年、1億円以上稼いだよね」、と言ったそうなのですが、
これが本当だとすれば、
会社が9割取って本人が1割だったと。
ものすごい取り方です。

だから一部マスコミ報道の中に誤解があるんですけど、
「私も駆け出しのころは月給5万円で過酷な労働環境の中にいました」
という人がコメントしていますが、
金額の多寡が問題ではないんです。
金額の多寡が問題というよりも、
どれだけ事務所がはねてるかということが問題なんです。
そこまで事務所の言うとおりに働かなきゃいけないのかと。
しかも本人には仕事を選ぶ選択の自由すらない。
これを私は12日のブリーフィングの時に奴隷契約という風に言ったんです。
「年収1000万円もらって奴隷契約はおかしいじゃないか」って
いう声もありますが、違うんです。
本来ならもっともらってもおかしくない人、
あるいは事務所の強力な拘束下にあるという意味で、
これを奴隷契約と呼びました、

契約解除しても本名すら自由に使うことができない

里村 さらに極め付きは、契約を解除しても
一生、本名を自由に使えない契約になっているんです。

奥津 それは事務所側は、本名は使えるって言っているそうですが。

里村 いやいや、違うんです。
事務所はですね、「本名を使うのは禁止してない」っていうんですけど、
この専属契約には一点「本名の使用には、事務所の同意を得る」っていう
文言が入ってるんです。
だから彼女は事務所の同意がないと自由に使えないんです。
自分の名前なのに。
だから能年玲奈さんは本名を使えず、
今「のん」という名前で活動しているんですよ。
だからこれ、自分が自分の名前を自由に使えない契約なんて、
こんなのが現代の日本で存在するのかって、びっくりしました。

奥津 清水さんもこの契約だと清水富美加という本名を使えないってことになるんですか。

里村 いや、これは清水富美加さんの代理人の弁護士さんたちが言ってますけども、
そもそもこの契約条項、
契約解除後も本名自由に使えないというのは
これはもう公序良俗に反する項目なので、
これは無効であるという考えなんです。
だから我々は決して、
幸福の科学の方は名前が使えないから千眼美子という名前にしたのではなく、
出家してそれなりに活躍が期待される彼女に対して
法名が与えられたということなんです。
より大きな使命を持っているだろうということです。
しかし、これとは別に彼女が本名を使えないっていうのは
大変な問題だと思ってます。


批判③ 「賠償金は誰が払うのか」

「賠償金10億円」という金額はどこから出てきた?

奥津 3つめですけど、賠償金は誰が支払うのかという話があります。

里村 これはもうまことしやかに十億円だとか・・・。

奥津 あの額ってどこから出てるんですか?


里村
 まああの、これは私の推測ですけど
どこから出るかって言ったら、出る場所は一つ、
先方の事務所さんからですよね。
レプロさんから以外に考えようがないです。
色んな仕事があって全部入れると、彼女にいくら、
たとえばCMだったらいくら彼女の出演料が入ってくるのか、
それがわかる人じゃなかったら計算できませんよね。
そういうものを一切合切含めてこれくらいになると。
だからもうこれは事務所ですよ。
まず我々がいいたいのは、彼女の健康が悪化したという事実。
これに対して監督責任を持っていたのは事務所です。
これは注意義務違反、安全配慮義務違反です。
こういうふうな言葉で言ってもいいと思いますけど、
これを事務所が、タレントは法律上の「労働者」じゃないんだ。
雇用者と被雇用者じゃなくて、
お互いに業者と業者が契約してるのが、この専属契約なんだと言うんですよ。

奥津 専属契約というのは雇用契約じゃないんですね。

里村 そうなんです。

奥津 要するにタレントさんは個人事業主で、
そのマネジメントを委託されているのが事務所ということなんですね?

里村 そうです。
ところが事実上、いつ休み、あるいはいつ仕事しなきゃいけない、
どういう仕事しなきゃいけないって言うのを
事務所側からタレントさんは言われている。
これ、完全に、その指揮命令が一貫しているんです。
一方向の場合、これ自体がすでに労働関係にあるといえるんです。
つまりタレントさんが労働者と認められる。
そのように専属契約であっても、
実質労働契約であるという判例が最近増えているんです。

過重労働の違法性~東京労働局の見解は「労働の実態で判断する」

里村 専属契約なのか、労働契約なのか。
このかなり専属契約という名目のもとに
かなり無理なことが行われていますが、
労働局としてどうですかって言ったら
非常に注目すべき答えで、
「契約条項ではなくて、労働の実態で判断します」と、
このように東京労働局答えたっていう記事が出ていました。

つまり、建前の契約だけを見るんじゃなくて、
どうやって働かされていたか、
ここが問題であるっていう見解を今回出ました。
これが非常におもしろい、面白いって言ったら失礼ですけど、
今回注目すべきコメントだとおもいます。

つまり、彼女は健康が悪化して、仕事ができなくなったわけです。
その結果として出家したんです。
そうすると、まず健康悪化歴をみれば、
彼女の健康を配慮していなかったのがどこかと言ったら事務所なので、
賠償金は誰が払うのかと言ったら「事務所が払って当然」ということになります。
これがまず1点あります。

それからですね、今10億円という話有りますけど、
もしそれが例えば事実だとしたら、
彼女の去年の年収が1000万。
1000万円の年収の22歳の女性に10億円払えって言ったら
これはまさに死ねと言わんばかりです。
これがまさに事務所の言うことを聞かなかったら干すぞ、
巨額の賠償金をふっかけるぞという脅しなんです。
だから事務所を抜けられないんです。
あるいはこの仕事はできませんって言うことができない。
これ実は、賠償金の話に、
レプロの体質、あるいは芸能プロダクションがもっている
大変な問題体質が現れているんですね。
まさに「奴隷契約」ですね。

昔あったような、借金のカタに取られた娘が逃げようとしたら
「お前にはこれだけの金がかかってるから逃げれないんだぞ」
と言って死ぬまで働かせるという。
現代の日本に、こんな奴隷契約が存在したのか、
こんな状態があったのかと、本当に今回驚きました。

レプロの契約はもはや「人権問題」

奥津 そうしますと、今回の話というのは、もう人権問題にあたる話ですね。

里村 大変な人権問題です。
人権侵害が日常的に行われているのが芸能界であり、
そして本人がそれを喜んでいるように見せなきゃいけない。
こんな本人の表現の自由、あるいは職業選択の自由、あるいは幸福追求権、
こういうものを否定して憲法が禁じてる苦役を強いるという、
これは許されてはならないです。


批判④ 「本人が嫌がる仕事をさせたことはない」

奥津 今の話と重なるところがあると思うんですが、
「事務所の仕事として本人が嫌がる仕事をさせたことはない」とありましたけど。

嫌だといっても強制的にやらざるを得なかった水着・ブルマ撮影

里村 これに関しては、今回のこの『全部、言っちゃうね』にはっきり出てます。
水着の仕事について嫌だと言っていたにも関わらず
衣装合わせの日程が、もう明後日だと。
で、それから、写真集なんで、スクール水着やブルマを履かなきゃいけない。
これが一番嫌だと言って、
それでも強制的にやらざるを得なくなって
それで沖縄に連れて行かれましたっていうのが書籍の中に記載が有りますけど、
もうこういう感じなんです。
それでもう事務所側が、いつも本人に強制はしない、
任せますっていうんだけど、事実上それができないんです。
それを受けなかったら干されるんです。

奥津 ご本人もまさに今のところを書籍の中で、
「事務所側の言い分として本人は前向きでやる気のある姿勢だったから
仕事を強要していないというのをすごく強調されていますけど、
確かにそう思われても、言われても仕方ないところはあると思います。
でも実際はそういうふうになっていたんじゃなくて、
そういうふうに見せなくてはいけなかったというのが本心のところで、
夢を叶えたいんだったらこっちの指示に従えっていう無言の圧力がずっとあって、
従わないと干される。」という生々しい記述もありますね。

無言の圧力02‗完成

従わないと干されるという「無言の圧力」におびえていた(『全部、言っちゃうね。』より)

里村 それで水着でもなんでもブルマでも、
これって今の社会ではパワハラとか、セクハラとかって言われて大問題になる話でしょ。
であの、彼女はそれを最近のツイートの中でも
「怖い大人の力を見せつけられたら、若い子はニコニコしながら頷くしかありません」
という趣旨のツイートしてますけど、ほんとにその通りなんですよ。

sengen777_TW「守ってくれたのは事務所じゃなかった」‗公式

千眼美子(本名・清水富美加)のツイッターより

レプロとタレントの関係は「いじめ」の構図と同じ

里村 それでそういうのが積み重なって去年の夏以降ですね、
彼女の思ってることとは逆の、人間を食う役とかですね、
映画名はこれから上映になりますから言いませんけれども、
本人のそうした宗教的な感情、それから思想信条と非常に違うものをさせられた。
だけど彼女も言ってますが、
「一生懸命、事務所のみんなが仕事をとってきてくれるから、
頑張らなきゃと思って」と、まさにプロ根性ですね、
自分の心と体に鞭打って、現場ではニコニコしてたけど、
実はそれがもう次の限界に来る大きなステップだったと私は思いますね。

だから、本人が望んでるんだからっていう言い方は、
これはいじめの構造とそっくりなんですよ。
実際ファクトでもいじめ問題取り上げたことありますけど、
イジメ事件があった時によく学校の先生は、
「子どもたちは喧嘩してるだけだ」と言うんですよね。
あるいは先生が本人を呼んで、「いじめじゃないよね」って聞くと、
子供たちは「いじめじゃないよ」って言うんです。
「仲がよくてちょっとふざけてただけです」って言うんです。
このいじめの構造とまったく同じことが、
今回の事務所とタレントさんの関係においても現れてるんです。

まあ例外的に、「何でもやります」っていうタレントさんもいますけど、
別にそれを悪いとは言いません。
逆にそれはその人の個性だと思いますので。
しかし、やはり「できません」という人がいれば、
それを尊重しなかったらだめだと思います。

事務所は、「大きな投資をあなたにしてきたんだから
あなたはやらなきゃだめですよ」って言いますが。
これは新入社員に大きな投資をすることなど、
芸能事務所に限らず、どの会社も同じじゃないですか。
新入社員は普通給与に見合わない働きしかできない。
どこの会社だってやってることを、あたかも芸能界に特殊な事情ということにして
これを脅しに使うのが芸能界なんです。

奥津 なかなかこの体質は、根深いものがありますね。

今回浮き彫りになった芸能界の「闇」

芸能人の間でも見方が変わってきている

里村 今回ある意味で今回の清水富美加さんのこの問題はですね、
芸能界の闇を浮き上がらせて、
結構芸能人の間でも、見解が変わってきてますよね。
大物芸能人で、例えば司会者で清水さんのことを「無責任」だとか、
「やめ方が悪い」と言う人がいます。
でもそういう悪いやめ方にならざるを得なかったんですよ。
だから彼女はちゃんと謝っています。
でも、そういうところを理解せずに一生懸命批判する人もいれば、
昨日あたりも深夜放送で古舘伊知郎さんは、
「本人の事情もわからずに関係ない人が勝手なことを言うのはおかしい」
とおっしゃっていました。
続けて、「お釈迦様だって王子という立場で奥さんが妊娠してるにもかかわらず
出家した」っていう発言もされていました。
ほかにも、「一斉に芸能界がそうやってルールを破ったといって叩くのは異常だ」、
「気持ち悪い」という風に伊集院光さんなんかもコメントもしています。
そういう意味で、今回の清水富美加さんの行動は一石を投じたと思います。
つまり、「業界のルールだから、そこに従わなきゃ生きていけないんだ」
という隷属状態にある人達に、
「それは違うんじゃないか、我々も声を上げていいんじゃないか」という
そういう機会を与えたと思います。
これがひとつ。

多くのマスコミが芸能事務所の意向に沿わない事実を黙殺している

里村 それからもう一つ私は今回、
これは皆様に本当に申し上げたいんですけど、
タレントさんが出てきてくれてナンボのもんだという、
テレビ局やあるいはスポーツ新聞などでは、
芸能プロダクション側の意に沿わない報道をしたら
タレント出さないぞと脅されます。
しかも、しばしば業界が結託するんですよ。
そうするとテレビ局や番組の製作者の方から、
そのプロダクションの言うとおりになるんです。
ですから芸能+マスコミ、
この芸能マスコミの世界において、とんでもない、
芸能プロダクション側の言い分に従わなければ、存在をなかったコトにされる、
まあ干されるっていうんですけどね。
すごい「黙殺権力」が存在しているんです。
日本の芸能マスコミの世界がそういう売れっ子を抱えている
芸能プロダクションの支配下であると言っても過言ではない状態が
今回よくわかりました。
ですから私たちは病気が一番大きな理由で
仕事を止めざるを得なかったと言っても
そこを全部落として「勝手に出家と言ってやめた」みたいな、
こういう報道をするんです。
ここは正していかなければならないと思いました。

奥津 そういう報道をするメディアもありますけどまあもう少数ですからね。

里村 まあ嬉しいことに幾つか経済系のメディア、
あるいはかなり社会派の番組を作る、どこの局とはまだいえませんけど、
そういうところが今回、
これは本質的に人権問題であり、労働問題だということで、今動き始めています。
こういうことを見ると、まだまだもちろんやはり、
芸能マスコミの世界にも良心があって、
今そういう人たちがこれから行動するかもしれない。
発言するかもしれない。
そういう意味では我々はなにか
少しでも芸能マスコミがいい方向に行く一助になれば幸いだなと思いますね。

いまのところは清水富美加さんという1人の女優さんを巡る問題ですけど、
業界全体がある意味で、全部が悪いとは言わないけど、
悪しき体質を持っているんで
THE FACTとしても今後しっかりリポートしていかなければならない、
たいへん大きなテーマだと思っています。