アンコールワットなどの世界遺産で知られる東南アジアの国・カンボジア。今、カンボジアでは親中派のフンセン首相によって中国化が着々と進められているという。中国軍が海軍基地を使用する密約や、巨大リゾート施設にインフラ施設、巨大国際空港の軍事利用の懸念も。親中政権のカンボジアでは今民主派の弾圧、中国化の脅威が進んでいる。

在日カンボジア人による抗議デモ

今年10月23日、東京にある中国大使館前で、在日カンボジア人による抗議デモが行われた。主なアピール内容は、「カンボジアに中国の軍事基地を作るな!」、そして「中国はカンボジアの海軍基地を使用するな」である。

事前スピーチ①

事前スピーチ②

大使館前(歩き)

大使館入り口

大使館前(アップ)

独裁政権が民主派政党を強制解散

アンコールワットなどの世界遺産で知られる東南アジアの国・カンボジア。

アンコールワット

カンボジア周辺地図

今、カンボジアでは親中派のフンセン首相によって中国化が着々と進められているという。フンセン首相は2017年に、野党第一党だったカンボジア救国党の党首ケム・ソカー氏を国家反逆罪で逮捕し、政党を解散させた。

フンセン

ケムソカー

これにより、55議席あったカンボジア救国党は議席を失い、2018年の総選挙で、カンボジア人民党による一党独裁政権が誕生した。

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中国大使館前で抗議の声を上げるハイ・ワンナー氏はこのカンボジア救国党を母体とする「カンボジア救国活動の会」代表を務める。

ワンナーさん公園_名前入り

今ですね、カンボジアという国は一番大変なことは、フンセン首相があまりにも国民と国の利益のために動いていないんですね。一番私は心配しているのが、自分の政権を守るために中国の方に行っちゃってますね。今、カンボジアのコッコン州の中にダラサコルというところに大きな空港をつくってるんですね。それは将来的にはもしかしたら中国の軍事のために利用する予定もあります。もう一つはシハヌーク州というところでカンボジアの海軍基地の中に中国軍が入っています。それはとっても大きな問題ですね。ですから我々は中国の存在は認めない。カンボジアから中国の軍を撤去してもらいたいです。(ハイ・ワンナー氏/カンボジア救国活動の会)

公園インタビュー①

中国によるカンボジアの軍事利用の懸念

年々増加する中国の対カンボジア投資

現在、中国は広域経済圏構想「一帯一路」の元、アジア・アフリカをはじめ世界各地でインフラ投資を行っている。カンボジアに対する投資額も年々増え続けており、2012年から7年間で、10倍以上に増加している。

一帯一路

対カンボジア投資グラフ

広大な土地の利用権を中国へ譲渡

首都プノンペンから200キロ離れた海岸の町、ダラサコルでは、中国企業が、約4万ヘクタールの土地を99年間運営する権利を獲得し、巨大リゾート施設を建設している。この場所には、リゾートホテルのほか、浄水場や発電所、巨大な港湾や国際空港が建設中で、中国による軍事利用が懸念されている。

プノンペン・ダラサコル

ダラサコル上空

ダラサコルリゾート

ダラサコル空港

カンボジアの海軍基地を中国に30年間使用させる密約?

中国によるカンボジアの施設の軍事利用の懸念はこれだけではない。ダラサコルの南に位置する、リアム海軍基地。2019年、ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、中国政府とカンボジア政府の間で、この海軍基地を30年間使用する密約が結ばれたと報じられた。

リアム海軍基地地図

リアム海軍基地

この報道に対し、中国・カンボジア両政府は即座に否定したが、中国によるアジア諸国の軍事利用はカンボジアに始まったことではない。

インフラ投資と称してアジア諸国の港を奪う中国

中国が進めるインド洋での海上交通戦略「真珠の首飾り作戦」。この作戦に基づき、中国はインフラ投資としてアジア諸国の政府に巨額の資金を融資。支払えなくなると港の利用権を取り上げるという手口でこれまでにも、パキスタンのグワダル港、スリランカのハンバントタ港、バングラディッシュのチッタゴン港、ミャンマーのチャウピュー港を手中に収めてきた。そして今回のカンボジアのダラサコルとリアム海軍基地も正にこの「真珠の首飾り戦略」の道の上に存在しているのである。

一帯一路

真珠の首飾り

日本の国会議員に惨状を訴えるワンナー氏

10月1日、ハイ・ワンナー氏は衆議院議員会館で行われた集会で、元防衛大臣をはじめとする与野党の国会議員を前に、アジア地域の中国化を食い止めるため、支援を呼びかけた。

議員会館会場

議員会館議員たち

まさにカンボジアのフンセン強権政権が中国の野望である巨大経済圏構想、一帯一路を手助け、ASEAN、アジア、世界の平和・共存を脅かしていることは、決して認めてはいけないことであります。さらに南シナ海の問題にも、ASEAN首脳会議の共同声明文の中に中国の一方的な現状に変更を不当な海域拡大、所有権、軍事基地建設に対する中国の批判・批難の文面を取り入れないような動きも、現カンボジアのフンセン独裁政権が役割を果たしました。皆様、世界の平和・民主主義・人権尊重・共存共栄の世界のため是非根本である、中国共産党長期一党独裁体制の野望を断固として食い止めましょう。必ず勝ち取ります。(ハイ・ワンナー氏/カンボジア救国活動の会)

議員会館スピーチ

※10月1日に行われた集会についての記事はこちらをご覧ください。

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中国政府の人権弾圧に苦しむ人々が日本の国会議員に「魂の叫び」【ザ・ファクト】
https://thefact.jp/2020/2528/

日本人と日本政府に対して支援を呼びかけるハイ・ワンナー氏

日本人の皆様に理解してほしいのは、今カンボジアの政府はまともな政府ではありません。日本の政府にお願いしたいのはカンボジアの国民を助けてもらいたいんです。フンセン首相と話し合いして、もう一回公平な選挙を行って(解散させられた)カンボジア救国党を選挙に出られるように助けてもらいたいんです。(ハイ・ワンナー氏/カンボジア救国活動の会)

公園インタビュー②

親中政権による中国化。日本も他人事ではない。

プラカード持って立ち