バイデン大統領誕生で、これからのアメリカはどこに向かっていくのか?政治学者のロバート・エルドリッヂ氏に「経済」「民主主義」「政界再編」の3つの視点から、アメリカのこれからについて聞きました。

11.20 eld

【ロバート・エルドリッヂ氏】
エルドリッヂ研究所代表。政治学博士。
1968年米国生まれ。
神戸大学大学院法学研究科博士課程修了。
元在沖縄米海兵隊政務外交部次長。
東日本大震災の「トモダチ作戦」の立案者。

今回の大統領選をどう見ているか

里村英一幸福実現党政調会長(以下、里村)
まず お伺いしたいのがアメリカの大統領選が 一応決着がついたということでバイデンさんが大統領は確定したという形になってます。最後に議場の占拠だとかいろんな混乱も起きたということで大きな話題になりましたけども、エルドリッヂさんは今のアメリカについてどのようにご覧になっているのか、まずその辺から話をお伺いしたいと思います。

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今回の大統領選は民主党によるクーデター

エルドリッヂ氏
まず、やっぱりはっきり言えるのは、今回はまず「民主党によるクーデター」だと思っています。今、里村さんは決着がついたと仰ってたんですけれども、それに対して異論が若干あるんですけれども。決着に至るまでのプロセスがかつてないほど大混乱だったので、この後のアメリカの社会がどう受け止めるのかが、むしろポイントになります。アメリカの民主党はバイデンが次期大統領になったことは大変喜んでいるようですけれども、これから与党として政権を担わないといけないことになるので、本当にその約束を守れるか、国民の不満をどう対応するのかが大きな課題だと思ってます。

里村
ほんとに これから見てみないと、まだ決着と言えるかどうか分からないということですね。
例えば 今 エルドリッヂさんがおっしゃった国民の不満不満というのは 例えばどのようなものが あるんでしょうか?

アメリカ国民を圧迫する生活事情とは?

メディアが「トランプのせい」で、片付けようとしている

エルドリッヂ氏
以前の番組にも申し上げているんですけれども、やっぱりメディアがアメリカが直面している問題に対して、「全部トランプのせい」で片づけようとしているんですけど、そもそもトランプが誕生した理由は国民に不満があったからです。何が不満であるかというと、やっぱり「経済不況」です。普通に生活しようとしてる人たちが、ますます圧迫されてる状態です。

コロナ禍で国民の三分の一が社会保険を失った

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例えば 国民皆保険というのが一つの例ですけれども、いわゆるコロナ禍の中でたくさんの会社が倒産したり、あるいは、家が破産したりしている状態ですけれども、そこで保険を失ってしまう。国民の3分の1ぐらいが十分な保険がない、保険そのものがない状態です。そうすると病気してしまうと死んでいくとか、あるいは家計の大きな負担にもなります。

一般的な家庭の約8割が最大10万円しか貯金がない

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一般的な家庭の約8割が約10万円くらいの貯金しかありません。10万円以上の何かの危機があった場合、例えば 医療の危機とか、あるいは車の修理が必要なときがあったら払えない家庭が非常に多いのです。さらに、家賃が払えない、ローンの返済ができない、学生ローンの返済ができないなど、アメリカ国民にはたくさんの不満があります。今、学生ローンの話をしたんですけれども、学生ローンを理由に破産したという申告はできません。その法律をつくったのはバイデン氏だった。だから、バイデン氏の民主党が国民よりの政党と思われてるんですけど、本当はとんでもない政党です。

里村
それは要するにバイデンさんが上院議員のときに作った法律なんですね。

エルドリッヂ氏
今年から事態はますます悪くなります。なぜなら、今までローンの返済とか家賃は、特別にある程度免除されていました。それがちょっと延期になったんですけれども、バイデン政権が誕生した10日後には、その免除がなくなるのでそこで大混乱になります。家を失う人たちがたくさん出ます。真冬にホームレスになる人たちが爆発的に増える大変な状態がアメリカが今後直面する問題です。

機能不全に陥っているアメリカの民主主義

メディアによって民主主義が悪用されている

里村
今までも、例えば アメリカの歴史上このような大統領選って今までもあったことなんですか?

エルドリッヂ氏
特に建国のときは いろんな大混乱が、実際にはあったんですけれども、今は、私は残念ながらそこまで民主主義には期待できなくなってきています。なぜなら民主主義が悪用されています。ITを使って情報操作・印象操作したり、そこで民主主義が成り立っているのは、健全なメディア、公平で客観的なメディアの存在が絶対の条件ですけれども、それはあると思いますか?ないでしょう。主要なメディアがプロパガンダになっています。そして 政党がルールを守ること、規範を守ることは大きな前提ですけれども、それを特に民主党がやっていません。例えば 規範を守らない一つの事例としては、予備選のときに前大統領がものすごく介入したことです。今までほとんどなかったんですけども、さらにドナー(寄付者)たちの権限というか、力が非常に強いです。そのお金は、どこから来てるのか、何のために使ってるのかがますます見えない状態です。

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国民の意思を反映した議会運営がなされていない

また、国民の要望と議員の投票行動を見るとまったくずれていることが分かります。だから 議会も政党だけでなく、議会も国民の要望を反映して、投票行動、立法をするのは前提ですけど、それも果たしていないとか。あと憲法が守られているんですけども、今の監視社会では憲法が守られていない状態です。一番悲しいのは、情報格差によって、分かってる人と分かってない人がいれば、この分かってない人たちがいつ気づくのかが保証がないので、いくら情報とか説明しても、受け入れない人たちは山ほどいるので、この利権・利害関係を壊さない限り、民主主義の修復・回復はないと思います。

里村
なるほど これは非常に重要なお話を今日頂いたと思います。つまり、今 日本のメディアなんか中心に、トランプ氏がアメリカの民主主義を壊したみたいな言い方をしてますけど、そうじゃなくて、ある意味でアメリカの民主党によって、あるいはアメリカのメディアによって、背景にいる人たちによって民主主義っていうのがすでに壊されてきたということですね。そこに目を向けない限り、私たちが望む、真に正しい効果のある、民主主義は得られないんだと。それは 当然 メディア・政党、また国民も常に目を開いてものを見てなければ、あっという間に民主主義から健全性が失われ、それがすぐに 衆愚政治、さらにいえば 専制政治、あるいは独裁政治になってしまうということですね。私たちはそのような教訓を今回のアメリカの大統領選から得なければならないことだと私も思いました。その上で 最後にアメリカについて今後 アメリカ どのようになっていくかをお伺いしたいと思います。

バイデン氏の大統領就任でアメリカはどこに向かっていくのか

これからアメリカの政界再編が行われる

エルドリッヂ氏
以前に これから3つの政党が、アメリカで誕生する政治再編が起こると申し上げていたんですけれども、私はそういう方向になっていくと思います。今、共和党の中では大混乱になっていますので、どんどん離脱していくと思います。民主党とくっつくことが十分あり得ると思います。また、民主党の中にも反発もあります。これが1月3日に下院議員の議長ににあたるペロシというとんでもない人が再任されました。

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そこで 進歩的革新系の人たち2016年に選ばれた人たち、あるいは2018年に再選された人たちがペロシの再任に反対するだろうという期待はあったんです。なぜなら 彼女は革新系ではないから反対するだろう。そこで 彼女に対していろんなプレッシャーをかけて、例えば、国民皆保険とかを議論させる場をつくる圧力をかけることだったんですけども、協力しませんでした。結局、その人が再任された革新系の人たちはペロシに対してすごく不満があるのです。そこで新しい政党を作っていくと思います。昨年の夏に すでに第三の政党として、党の大会が開かれました。これから中間選挙に向けて革新系が政党化していく状態です。だから、革新系のものと民主党のもの、そして本来の共和党のものが誕生します。ちなみに 本来の共和党と意見の近いのはリバタリアンという政党ですが、彼らもたぶん合流すると思います。もし、本来の共和党になった場合、そこで 少なくとも三つの政党が誕生します。これが政治のほうで起きることです。

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アメリカ国民は民主党への不満を高めていく

そして、下のほうで 国民がどんどんどんどん圧迫され、民主党はまったく答えになってないことが気づいて、どんどん国民の不満が高まると思います。さらに、民主党が2016年の選挙でいろんな不正を繰り返していたんですが、バレてしまいました。
今回は いろんな不正をしてバレたんですけれども、メディアが隠蔽しました。4年後の選挙では、ものすごく不正を行ってバレないように、そして、仮にちょっとバレたら一層隠蔽する状態になります。だから ますます 選挙の意味がなくなっていくのです。

里村
本当に2021年 世界のいろんなことが、これから起きてくると思いますけども、やはり 大きなコアの一つとしてアメリカの動きから 私たち ますます目が離せない状況だと思います。今日は誠にありがとうございました。

エルドリッヂ氏
ありがとうございました。

米大統領選2020~ロバート・エルドリッヂ氏インタビューシリーズ

米大統領選はバイデン支持派の「クーデター」!?【ザ・ファクト×ロバート・エルドリッヂ氏】

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https://thefact.jp/2020/2796/

【米大統領選】誰がなぜ不正選挙を企てたのか?【ザ・ファクト×ロバート・エルドリッヂ氏】

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https://thefact.jp/2020/2800/

「もしバイデンが大統領になったら…」政治学者がシミュレーション【ザ・ファクト×ロバート・エルドリッヂ氏】

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http://thefact.jp/2020/2802/

親中それとも対中強硬?バイデン新政権は台湾を守ることができるのか?【ザ・ファクト×ロバート・エルドリッヂ氏】

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http://thefact.jp/2021/2982/

バイデン大統領就任後の「尖閣問題」はこう動く!国際政治学者が語る尖閣防衛戦略【ザ・ファクト×ロバート・エルドリッヂ氏】

サムネイル_尖閣

http://thefact.jp/2021/2988/

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ドキュメンタリー映画「ドラゴンに乗って:バイデン家と中国の秘密 (原題: RIDING THE DRAGON: The Bidens’ Chinese Secrets)」【日本語字幕版】