中国による台湾軍事侵攻の危機が高まっている

いま、台湾で中国による軍事侵攻の脅威が高まっている。今年3月、アメリカのアキリーノ太平洋艦隊司令官は中国による台湾への軍事侵攻について「非常に間近に迫っている」と警鐘を鳴らした。

総統府

司令官

この発言を裏付けるかのように、4月12日には過去最多となる25機の中国軍機が台湾の防空識別圏に侵入。アーミテージ元米国務副長官らの訪台を前に中国が激しい動きを見せている。

中国軍機

(中国の戦闘機「殲16」)

轟6K

(戦略爆撃機「轟6K」)

運8電偵機

(中型輸送機「運8電偵」)

今回、ザ・ファクトでは、台湾の国際政治系シンクタンクの研究員、林彦宏氏にインタビューを行い、台湾に迫る中国の危機、そして日本へのメッセージについて話を聞いた。

【ゲスト:林彦宏(リン・イェンホン)氏】

林彦宏氏02

バイデン政権の対中政策と就任以降高まる中国の脅威

林彦宏氏:
台湾の視点からバイデン政権になって中国の危機がどれぐらい高まっているかというと、1月20日にバイデンが就任した後に、中国がまず空軍、人民解放軍の爆撃機かあるいは戦闘機が台湾のADIZ(防空識別圏)に南西諸島・台湾の西南部から入ってきて、船の方も、宮古海峡・東シナ海・あるいは南シナ海の方でもかなり中国の船が出てきていますから。台湾政府の対応としては戦闘機が飛んでくると台湾も必ずスクランブル(戦闘機の緊急発進)。だからかなり台湾人にとって危機感は高まっています。

軍機グラフ

バイデン政権になってアメリカの対アジア政策はどれくらい変わってくるかはまだ2か月半ちょっとくらいですから、はっきり大きなビジョンはまだ見えませんが、一つ確信できるのは、アメリカの国会の中では共和党と民主党は、おそらく中国は大きな脅威だと考えている。それは間違いない。しかしながらトランプとバイデンの政権どこが違うというのは、方向は一緒ですね。このパンチの重さ。おそらくバイデンはちょっと弱ってくるかもしれませんね。

台湾に迫る目に見えない中国の脅威

林彦宏氏:
台湾の中で見えない危機感あるいは脅威はたくさん存在しています。一つ例を申し上げると、両岸関係を解放してから中国人と結婚した人はおそらく台湾で40万人くらいいます。その中でも中国との関係を持つ人たちは、台湾に対していろんな活動をして、台湾の人々の考え方を変えようとしています。またマスメディアも我々の見えない力で今、民進党政権の政策の批判をしたりとか、フェイクニュースを出たりする。中国に対する侵略については、我々マスメディアで、なぜか国民…。脅威を感じているのは、まず、中国からの圧力。見える圧力と見えない圧力。だから、見えない圧力というのは、日常生活の中でいろんなことを洗脳されたりします。

林彦宏氏06

中国は台湾侵攻を実行するのか?

林彦宏氏:
台湾と中国、台湾海峡がございます。ものすごく一番近いところが120~130キロ。海上民兵は船を使って東シナ海あるいは南シナ海出てくるわけですから。万が一侵入してくるとすると、私の考え方私見ですが、たぶんまず東シナ海から出てきて、続けて南シナ海へ出てくる。両方でやると思うんですね。

台湾海峡

中国は習近平政権になって、7つの軍区を5戦区に変えました。華北・華東・華南、その3つの戦区から出てくる軍隊は、実は衛星を見ると動きがすぐわかっちゃうので、この台湾海峡は30万あるいは50万の兵士が渡ろうとすると、3か月以上の準備が必要になってくる。だから海上民兵を使ってあるいはグレーゾーンね。要は沿岸部の船をたくさん出す。例えば先週もフィリピンに200隻くらい中国の船が来ました。尖閣諸島も毎日出てきているわけですから。

華北・華東・華南

東沙諸島と太平島は台湾から遠いので、それを盗ったら金門・媽祖・澎湖諸島も同じ、台湾の人々はもっと反感を持ちます。でも東沙諸島と太平島はそんな簡単に手に入らないですね。何故かというと、南シナ海と東シナ海は常に米軍の軍艦・イージス艦・大きな空母、空母はほとんど西海岸、西太平洋側ね。台湾の東部を通って、南シナ海を巡航したりするわけですから。もちろん日本の海上自衛隊もやっているわけですから。そこを船で通ろうとしたら、それほどの力じゃないとなかなか難しいのが私の判断でございます。

馬祖・金門・澎湖

東沙・太平島

もし中国が台湾を侵攻したら、そのとき台湾は?

林彦宏氏:
各国の軍事予算。まず台湾は去年105億から110億ドルくらい。中国は2,800億ドルくらいですね。公表された数値です。公表されてない数値は、我々もう調べようもないくらい、かなり大きな差があります。厳密に計算するともう28~30倍くらいの差。人数的にも中国は陸軍だけでも260万人。台湾は陸海空、全部合わせて20万人。戦闘機も中国は2,000機くらい、台湾は4~500機くらい。だから英語で言うと、”asymmetric warfares”、「非対称的な戦争」ね。絶対勝てないです。絶対勝てない。先週台湾の立法院で新しい国防部長(国防大臣)がある国会議員からの質問を受けて答えました。「中国から攻撃されたらどれくらい台湾持ちますか?」と。「もう一兵卒まで戦います。全力で台湾を守ります」と国防部長が言いました。新しい国防大臣がそういう台湾を守るという勢いを見せるのは我々心強いですよね。

国防部長

台湾の国防もそれに合わせて船を自国で造ったり、空軍の新しい戦闘機をアメリカから買うとか、それをいろんな戦略、戦術も変えつつそれを対応できる。だからこんなに中国と格差が出来ているんですが、自分自身も自分の国を守らない限りは、これだけの力の格差によって、台湾の人々の恐怖感が表れているので、だから一兵卒までも戦わなければいけないという力を持たないと、台湾の人々は安心は暮らせない。
台湾人はおそらくこの政権交代も二回も行ったことによって、民進党が何故そんな(史上最多となる)817万票取れたのかという理由はそこにあると思うんですよね。台湾人は「これ支持しないと台湾はなくなっちゃう」と思ったからだと、私は考えています。

台湾を中国の侵略から守るために日本に望むこと

林彦宏氏:
台湾だけで中国と戦うというのは、まず力が足りません。だから同じ東アジアの地政学上から見ると、我々の上は日本、南はフィリピン、日本とアメリカも日米同盟がございまして、だからこそ台湾海峡で万が一、戦争あるいは衝突があるときには、日本とアメリカは絶対欠かせない存在だと思います。だから台湾とアメリカと日本。ご存知の通り、蔡英文政権もまず海の安全保障から一緒にやろうと。その一方、日本も徐々にこれを台湾の海峡の危機は台湾だけではなくて、日本にも関連するだろうというふうに日本国民も考えていただかないと、本当に万が一のことが起きたときでは遅いと思うんですね。台湾と日本、運命共同体、それは間違いない。

林彦宏氏05

日本版の台湾関係法を提案をしていただいている先生方には、私はものすごい感謝しています。でもそれをやる前に、例えば台湾と日本の海上保安みたいに、いわゆる人道救助、海上の支援と、いろんな、まず海から連携していただいて、同じ地域の海上の平和・安全を守っていけば、日台のまず最初の一歩になるわけですから、いきなり日本版の台湾関係法をつくるとしたら、おそらく厳しいと思う。ですから、幸福実現党の代表がもし日本でいろんな活動していただく際に、例えば日本と台湾の関係は、民間のレベルは今、既にいろんなレベルは達しているんですが、海の方、まず海上保安庁と台湾の海巡署で、東シナ海でいろんな連携活動を。軍事演習いきなりやるとしても、いろんなハードルが高いから。
一方、台湾とアメリカはいろいろな訓練をやっていまして、台湾と日本はいまだに、軍事レベルはもちろんないですから、警察のレベルだけでも最初はやっていただいて、日米・日米豪・日米印のQUADの4つの国も年中、いろんな軍事演習を行っています。実は台湾と日本は軍事演習は一回もやったことがないので、いきなり日本版の台湾関係法を作るとしたら、日本国内、あるいは中国からいろんな圧力が出て来るのではないかと私は思っています。
だからできるだけ、民間のレベル、警察のレベルだけでも最初にやっていただいて、そのあとは、台湾の軍事演習はアメリカが主導ですから、他の国、日米台・フィリピンとかインドネシアとかベトナムとか、そういった国との連携をやれば、この東アジア、特に東シナ海・南シナ海の安全を守っていくだろうという風に私は思っています。だから、日本のみなさん、台湾のために是非いろんな力を貸していただいて、この地域の安全・平和と守っていきましょう。

林彦宏氏03

THE FACT台湾取材シリーズ

国交なき親日国・台湾~地方からの日台友好【ザ・ファクトREPORT】
https://youtu.be/T6EgEpWANWM

さむねいる01

元陸将がシミュレーション~中国の台湾侵攻で日米戦争も【ザ・ファクト×元陸将・用田和仁氏】
https://youtu.be/vgDVisOllfc

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【日台同盟待望論】新型コロナに勝った台湾、次は共産主義国家・中国を変える!【台湾取材レポート】
https://thefact.jp/2020/1794/

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【向中國說再見】コロナウイルスの抑え込みに成功した台湾の「自由」と「民主主義」(專訪:范世平國立台灣師範大學政治學研究所教授)【ザ・ファクトREPORT】
https://youtu.be/DXK3AnJNTSw

サムネイル

「中国は世界の民主国家を破壊するモンスター」中国の危険性に気付き始めた台湾の若者たち~なぜ台湾の若者は政治に関心が高いのか?【ザ・ファクトREPORT】
https://youtu.be/_pZ3HDW-k5c

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現地取材報告!台湾が新型コロナウイルス感染を阻止した理由は「脱中国」【ザ・ファクトREPORT】
https://youtu.be/Di-pcL5R1v8

脱中国サムネイル

【追悼】李登輝元台湾総統が「信仰」を語る~幸福実現党へのメッセージ【ザ・ファクト】
https://thefact.jp/2020/2368/

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「水の革命」の英語版・中国語版!

「中国の十四億もの人たちを、不幸の真っ只中に、置き続けることはできない。」
4千万人超が被災したといわれる中国の大規模な水害は、
神話の時代より中国を護ってきた女神・洞庭湖娘娘が下した天罰だった――。
聖なる怒りで立ち上がった女神から、アジアに平和をもたらすべく戦う人々へ、
正義と勇気のメッセージが込められた力強い楽曲。

『水の革命』
作詞・作曲:大川隆法
〔The Water Revolution〕
歌:恍多-kouta-
〔水的革命〕
歌:梅蘭朵-Merade-
中国語翻訳:幸福の科学

◆ダウンロード・サブスク配信中!
https://linkco.re/8mUE3adx

◆収録内容
1.The Water Revolution
2.水的革命(The Water Revolution[Chinese Ver.])
3.The Water Revolution(Instrumental)
4.水的革命(The Water Revolution[Chinese Ver.])(Instrumental)

◆定価 1,320円(税込)

◆発売・販売
幸福の科学出版株式会社