中国共産党によるチベット軍事侵攻、人権蹂躙

インド・ダラムサラには、チベット亡命政府をはじめ、亡命した6000名ほどのチベット人が暮らしています。「1959年から彼らはおよそ200万人を殺しました。2009年からは(抗議のために)129人のチベット人が焼身自殺しています」等、亡命者の口からはチベットの痛ましい状況が語られます。
1950年、中国共産党は解放の名の下に、独立国だったチベットへ軍事侵攻を開始。その後、中国共産党はチベットにおいて、思想、表現、信教の自由などの完全否定、チベット語、歴史教育の禁止、漢人による経済的・人種的差別など、さまざまな人権蹂躙を行ってきました。チベット出身の政治学者ペマ・ギャルポ氏は、「今、中国はチベットに対して、昼は公案警察、夜は武装警察と、事実上24時間監視しているような状況です。そして獄中で裁判も受けられないような状況のまま拷問をかけられて死んだ人も、それは何万人といるわけです」と語りました。
実際に刑務所で拷問された経験を持つチベット人によると、電気棒で刺され、意識を失いながら取り調べを受けたと言います。

スペインが中国の元国家元首に逮捕状を発行

2013年11月19日、スペインの全国管区裁判所は、江沢民ら5名の中国共産党首脳に対し、チベットにおける大量虐殺、拷問、人道に対する罪による逮捕状を発行。2014年2月10日にはICPOに国際手配を要請しました。この告訴の中心人物であるバレンシア大学国際法教授、ホセ・エリアス氏は「全国管区裁判所は(チベットで起こったことを)大量虐殺と認めました。被害者であるチベットの人々は、彼らが受けていた拷問・虐待・耐え難い苦痛を、裁判官に対して訴える機会を、人生で初めて得られたのです」と語ります。
スペインが中国の元国家元首を訴追できるのは、大虐殺や人道に対する罪に関して当事国以外の国が罪を問える「普遍的管轄権」という考え方に基づいています。
今回の告訴にかかわった弁護士のマイテ氏によると、スペインの司法管轄権は普遍的正義の原理そのものに由来するものであり、この原理は様々な国際条約、協定により熟慮され採択された原理とのことです。

元国家元首に発行された逮捕状の無効化を画策する中国

しかし、中国はこの逮捕状を無効にしようと、中国の持つスペイン国債の20%を盾にスペインへの内政干渉を行いました。バレンシア大学国際法教授ホセ・エリアス氏によると、2013年12月12日、中国の議員団が首都マドリッドの国会を訪れ、すべての国会議員を集めたうえで、「チベット問題にこれ以上関わるな。さもなくば中国の持つ20%のスペイン国債がどうなると思うか」と脅しをかけたそうです。これは中国による内政干渉以外の何ものでもありません。中国は自国民に対して明確に独裁国家の姿勢を貫いていますが、外国に対しても独裁的に振る舞っていることがうかがえます。
今、スペイン議会は司法権組織法という法律の改正を進めています。この法改正でスペインの裁判所は、事実上、海外で起こった虐殺を扱えなくなり、江沢民らへの逮捕状は無効となるのです。ホセ氏らは、この法改正がスペイン憲法に違反していると主張、最高裁へ上告すると言います。力によって正義を曲げてまで自国の主張を通そうとする中国は、いったいどこへ向かうのでしょうか。

大川隆法 法話「希望の復活」より

銃口から革命が起きると言ったのは、中国の毛沢東です。現在の中華人民共和国の創立者です。しかし、このような考え方はいつまでも続いていいわけではありません。中国の民衆は、敵ではありません。我々の仲間です。彼らにも信仰する自由を与えるべきです。彼らに複数の考え方を持つ自由を与えるべきです。国家の政策に対して、間違っていると思うなら、それを批判する自由をも与えるべきです。我々はもっと平和で友好な世界に生きる権利と義務があるのです。世界の人々はもっと友好に生きることが可能なのです。

法話「希望の復活」は幸福の科学の精舎・支部にて動画が公開されています。

取材後、私たちザ・ファクト取材班はチベット人亡命者から「日本に頑張ってほしい」「中国に対抗できるのは日本だけだから」と告げられました。許されざる中国の人権弾圧について、日本は糾弾し、強く立ち上がるべきではないでしょうか。