4回に分けてお届けする「米国最新事情2016」。
第1回のテーマは、「アメリカの歴史認識」。

昨年、戦後70年の節目の年、
及川幸久さん(幸福実現党外務局長)は、
アメリカ人に正しい歴史認識を知ってもらうために、
全米各地で70本ものラジオ、テレビ番組に出演した。

及川さんTV出演

そこで及川さんが語ったのは、
「ルーズベルトは事前に真珠湾攻撃を知っていた」
「アメリカが広島、長崎に原爆を投下する
必要はなかった」
「従軍慰安婦は性奴隷ではない」
というアメリカではあまり知られていない事実。
そんな及川さんの言葉に、アメリカ人は
どんな反応をしたのか?
(昨年12月24日ニコニコ生放送
「なぜトランプ候補が人気なのか?
アメリカの歴史認識は」を記事化したものです)

(第2回目はこちら)
オバマ政権が「アメリカの自信」を失わせた? 米国2016最新事情②

(第3回目はこちら)
なぜ、大統領候補ドナルド・トランプが人気なのか? 米国2016最新事情③

アメリカのラジオ・テレビ番組70本に出演

及川里村

里村 さて、及川さんは2014年の11月から
一年ほどで、アメリカのラジオやテレビに
70本ぐらい出演し、
アメリカ人が聞きたくない歴史認識問題について、
様々に発信していたそうです。
アメリカの番組に出演して、こうしたことを英語で
発信している日本人の方は他にいるんですか?

及川 いま、日本人でアメリカのメディアに出て、
英語で日本の立場を言っているのは
たぶん私一人じゃないかと思います。
きわめてユニークな立場に立っています。

里村 そういう意味でいうと、今、アメリカでも
日本のスポーツ選手、アスリートが活躍しているし、
かつてはジャイアント馬場がアメリカに武者修行に行ったとか、
空手家の大山倍達さんがアメリカ人の
度肝を抜いたということがあったわけですが、
現代においてはそれを言葉の伝道師として……。

及川さんラジオ

及川 まだ、そのレベルにはいっていませんが(笑)。
ただ、アメリカのラジオではもう1年やっていまして、
私はアメリカでは国際政治コメンテーターの
「ユキ・オイカワ」というのですが、
「ユキ」という名前はちょっと知れ渡ってきました。

アメリカのメディアの雰囲気

里村 基本的にはライブ、アドリブで?

及川 ええそうですね。台本も何もなくて、
その場で番組の司会者から出る質問に対して
答えてやりとりするので、結構緊張する。

里村 日本でもつい先日、テレビ朝日系の
報道ステーションキャスターの古館さんが
降板を記者会見で発表して「12年間不自由だった」
という発言で注目を浴びましたが
アメリカの番組に出る時に、事前に局の側から
「こういう発言はするな」とかはあるんですか?

及川 まったくないです。
そのかわり、事前にプレスリリースを出すんです。
このユキ・オイカワという人間が日本の立場から、
例えば、慰安婦問題についてとか、
中国の問題についてとか、今年は戦後70年なので
原爆投下についてとか、こういうテーマについて
こういう観点で話します、とプレスリリースを
出すんです。
それを番組側は見て、その上で
「ああ、こいつはおもしろい」という時に
呼ばれるんですね。

里村 あとでも話に出るかと思いますが、
例えば原爆投下や日本人強制収容所の話など、
アメリカ人にとってもすごくナイーブなテーマも
結構多いですよね。

及川 ああ、ありましたね。
また、そういうテーマをこちらからあえて拾って、
プレスリリースでこういうことを発言しますよ、と
出しているので、ラジオ局やテレビ局もわかった上で
私が出ますからね。
でもそのかわり、番組が始まったら、
もう何を話すかはまったく自由です。
あとは番組の司会者とのやりとりになりますね。

及川さん

里村 日本でも政治系のディスカッション番組は
増えていますが、アメリカのディスカッションは
ちょっと先へいっている感じがありますか。

及川 日本と違って、人間と人間との
カジュアルな会話なので。
だから、立場の違いというのは
常にあるじゃないですか。
例えば、日本でいうと保守と革新だとか、
アメリカでいうと保守とリベラル。
この立場やイデオロギーの違いはあったとしても、
とりあえず意見は聴くというのは前提として
あるわけですよ。
だから意見を聴くということ自体、
ちゃんと聴いてくれるし、
また、ラジオはやりとりなのでね。
私が一方的に話すというよりも、
話したことについてやはり反応が来るんですよ、
司会者から。
その反応もこっちも聴かなきゃいけない。
そういう意味では、よりお互いに自由な立場で
話せますよね。

なぜ、米メディアで歴史認識について発信を始めたのか?

里村 なるほど。及川さんはそもそもなぜ
アメリカのメディアに出演して
意見を言おうと思ったんですか?

及川 実は3年ぐらい前に、
いわゆる「従軍慰安婦問題」というのが
アメリカで広まり始めた頃、
まだ日本ではそれほどメディアに出ていなかった。
ネットメディアにちょっと出ているぐらいの時に、
アメリカの各地で「従軍慰安婦」の碑が
造られ始めたわけですよ。
アメリカに住んでいる韓国系のロビイストたちが、
ニューヨークだとかニュージャージーだとか
カリフォルニアに、石碑を造り始めたわけですね。

慰安婦像

これはいったい何が起きているんだろうと、
まずニューヨーク郊外に石碑を造った
韓国系アメリカ人のロビイストに直接会いに
行ったんです。
会って、彼と2時間ぐらい議論したんですよ。

私はそもそも「従軍慰安婦」は存在しない
という立場なので、その立場で話したんですけど、
全然平行線ですね。
だけどその時に、私が話したのはデビッド・リー
という男なんですけどね。
デビッドが言っていたのは、
「そんなこと言ったって、そもそも従軍慰安婦を
認めたのは日本政府じゃないか」と。

里村 ああ、河野談話ですね。

デビッドリー氏

及川 そのとおりです。
河野談話をよく知っているんですよ。
「河野談話で日本政府、あなたの国の政府が
認めたんじゃないか」というところで、
そこに行き当たると、もう何もこっちも反論しようが
ないんですよ。

里村 本当にそうですよね。

及川 でも、それに対して韓国側、
彼はもうアメリカ人になっていますけど、
韓国系アメリカ人は大量の「韓国側の立場」を
アメリカ社会に英語で流しているわけです。
でも、日本政府が認めた立場になっているので、
日本からは何も反論が出ていないんですよ。
やはりアメリカという国際社会の中心で、
英語で何か言わないと、
これは事実がどうかということではなくて、
やっぱり情報量が多い方向にいっちゃうんですね。

里村 それはそうですね。

及川 それで、何か発信しなきゃいけないと
思い始めたのがきっかけです。
だから、慰安婦問題がきっかけなんです。

里村 そうなんですか。
日本人だと、あえて黙っているところが
美徳ととらえることもあるのですが、
アメリカだと、「主張しない」ということは、
要するに、認めているとなっていっちゃう。

及川 そのとおりです。
やはり声を上げなきゃいけない。
どこでどうやって声を上げようかと
思った次のきっかけが、
私の党の総裁の大川隆法総裁が
2014年2月に出した『正しき心の探究の大切さ』と
いう本でした。
そこでアメリカ人も歴史認識を見直すべきだと
書かれあって、その本はすぐアメリカでも
発刊したんですよ。
まずは党総裁がアメリカ人に対して本を通して
そういう発信をし始めたんです。
「あっ、これは機会だ」と思った。
もうここから反撃開始。
アメリカのメディア、特にラジオ。
アメリカというのはラジオ社会なので、
ラジオに出てこの発言をフォローする。
党総裁の発言をフォローして、
去年(2014年)の秋から始めました。
そこからもう約1年数カ月、結構出ましたね。

正しき心の探究

「正しき心の探究」の大切さ<幸福の科学出版>



里村 なるほど。
「従軍慰安婦」という話が出ましたが、
どんな内容を話したんですか?

及川 「従軍慰安婦」に関しては、
実はアメリカのメディアは結構知っているんですよ。
特に私がゲストに出てそれを話題にするとなったら、
事前にやはり番組ホストも相当調べているんですね。
結構細かいいろいろな情報を質問してきます。
だから基本的には、その質問に対して
打ち返すことですね。
例えば、「河野談話」について、質問してきます。
「河野談話」では日本政府が「従軍慰安婦」の存在を
認めている、と一般には思われています。
だけど、「河野談話」の内容を細かく読んだこと
ありますか?と言うと、
読んだことがある人はほとんどいないんですね。
「河野談話」にはこういうふうには書いてあるけど、
こういうふうには書いていないよということを
答えるんですね。
そうすると、それは意見ではなくて事実なので、
「えっ、そうなの」という話になるんですね。
そこから次にどんどん話が展開します。

「真珠湾攻撃の真実」をアメリカ人はどう受け止めたか?

里村 他にも、ルーズベルト大統領が
真珠湾攻撃を知っていた、という話は
アメリカの方のどんな風に受け取るんですか?

及川 真珠湾攻撃は、ちょうど今月(昨年12月)に
私はアメリカに行って、アメリカ時間で12月7日、
日本時間で12月8日が真珠湾の日ですよね。
その日にたくさんのラジオ番組に出たんですよ。
1日に10局ぐらい出たんです。
そして、当時の大統領、
フランクリン・ルーズベルトが、
実は真珠湾攻撃を陰で日本に起こさせた。
ルーズベルトによって引き起こされたのが
あの真珠湾攻撃なんだという話をしたんです。

私は学生の時にアメリカに留学して、
社会人になって最初に入った会社は
アメリカのウオール街の投資銀行でした。
その当時、真珠湾のことで日本人が定説と
違うことを言うなんて、とてもじゃないけど
許される雰囲気じゃなかったんですね。
だけど今回、「変わったなあ」と思ったのは、
まずそういう私の話を素直に聴いてくれる。
それに対する反応も、
「そんなことがあったんですか」と。

つまり、真珠湾攻撃の前に
アメリカのルーズベルト政権は
日本に対して、石油の輸出を禁止したんだと。
当時の日本は、石油の8割をアメリカから
輸入していたんだと。
今は中東から輸入していますが、
それと同じように、その8割を止められたら、
もう日本はアウトじゃないですか。
そんなことがわかっていてやったんですよ
という話をして。
なぜかというと、ルーズベルトは日本から先制攻撃、
最初の一発目を撃たせたかった。
撃ってくれないと、アメリカが当時ヨーロッパで
起きていたナチスドイツとの戦争を
始められなかった。
だから、その計画があって、
あえて日本を追い込んでいったんです、
という話をしました。
これは、ほとんど知らなかった。

里村 今、私たちも「ザ・ファクト」で今まで、
いかに日本が戦争に追い詰められていったか。
そして、自衛とアジアの植民地解放のために
立ち上がったか。
これをいろいろなテーマで採り上げてきました。
及川さんにもアメリカの著述家の方に
インタビューしていただいたこともありましたが、
こうした見解は決してアメリカの人の、
いわゆる一般常識ではないですね。

及川 ごく一部の知識人や学者は研究を通じて
事実を知っています。
彼らは本にも書いているし、雑紙にも記事を
書いていたり、いろいろ発表はされているんですよ。
だけど、アメリカに住んでいる3億人の人たちは
知らないですね。
それを知らせるためには、やはりマスメディアに出て、
こっちから言わなきゃだめだなと、
すごく実感しました。

なぜ全米に「慰安婦像」が建ったのか?

里村 (ニコニコ生放送のコメントで)
「なぜアメリカに慰安婦像が建ったの?」という
コメントをいただきました。
なぜああいうものが、
アメリカに建っているんでしょうか?

及川 先ほど話したデビッド・リーという
ニューヨークにいる韓国系のロビイストに会った時、
私もまったく同じ質問をしました。
彼は、韓国でいうと保守なんですって。
保守に分類される人なんですよ。
慰安婦問題は、90年代から日本と韓国との間で
ありましたね。
彼はアメリカにいて、「どうせ韓国の左翼が
日本と何かやってるんだな」と思っていたと
いうんですよ。
しかし、頼まれてるんです、彼は韓国政府から。
韓国政府から頼まれて、こういう活動をしてくれと。
彼自身は大物ロビイストで、
米韓FTA協定を結んだ時の立役者です。

里村 つまり、慰安婦像を建てることが、
韓国の国益にかなっていると。

及川 そのとおりです。
これはもう国家プロジェクトだったんです。
だけど、韓国がいくらアメリカに慰安婦の碑とか
慰安婦像を建てようと思ったって、
私有地に建てることはできるけど、
公共の土地には勝手に造れないじゃないですか。
彼らは公共の土地に造りたかったわけですよ。
そこでこういう力のあるロビイストを使って、
このケースだとニューヨークの州議会に法案を
提出して、法案を通してるんですよ。
そのためには、日本軍が先の大戦中、
20万人の若き女性たちを強制的に連行してレイプし、
最後は殺して残虐行為を行ったのだということを、
バーッとニューヨーク州の州議会で
そういう情報を流したんです。
州議会には上下両院の二院あるんですけど、
上院と下院の両方で、日本に対して
「なんてひどいことをやったんだ」ということで
批判決議をしたんです。
里村 ちょっと待ってくださいという感じですよね。
要するに、韓国は国が関与して、
そういうものを建てているわけですか。

及川 デビットというその韓国系アメリカ人
ロビイストは、はっきり言っていましたよ。
「私が韓国政府と安倍さんの間に入るから、
私に安倍さんを任せてくれればいいんだ。
そうしたら悪いようにはしない。
そんな大したお金はいらないんだ」と。
ちょうど今、日本と韓国の間で……

里村 外相会談がありますね。

及川 来週行くでしょう。
3億円ぐらい出してくれればいいみたいな話も
出てるけど、ちょうどそんなことを
3年前に言ってましたよ。
「もうそんな大したお金じゃなくていいんですよ。
日本はお金持ちなんだから。
その間を自分が取り持つから」と言っていました。

里村 例えばテルモピュライの戦い。
ペルシャの100万の大軍とスパルタ、アテネが
戦ったことを私たちが知ってるのは、
そこに碑が建っていたからです。
あれからもう二千何百年たっても
私たちはそれを知っているわけですよ。
慰安婦碑がニューヨークの公園、
あるいはカリフォルニアの公園、
そんな所に建っていたら、二千数百年後、
日本人は何をやったんだということになります。

及川 そのとおりです。
アイゼンハワーパークという名前の大きな公園が
あって、そのど真ん中にアメリカの過去の戦争で
国のために命を捧げた、その地域の人たちの記念碑、
慰霊碑があるんです。
そこに、その地域出身の人で第二次世界大戦、
日米戦争、朝鮮戦争、こういうところで国のために
命を捧げた英霊が祀られている所なんです。
日本でいうと靖国神社の分社みたいなものですね。
そのすぐ横にデビッド・リーたちは
「慰安婦の碑」を造ったんですよ。
そこに造ったというのが、彼の自慢なんです。
アメリカのために命を捧げられたアメリカの英霊と、
「従軍慰安婦」と関係ないじゃないですか。

里村 見事に歴史が作られ始めていると。

及川 そのとおりです。

政府が動かないなら、「国民」がやるべき

里村 ある意味、そういうものをてこにして、
今、日韓外相会談が行われる。
また、さらに日本から何か譲歩を引きずり出そうと
している。まあ、はめられてるという感じがする。
今(ニコニコ生放送の)コメントにもありましたが、
黙っている国が悪い、黙っているほうが悪いと。

及川 そのとおり。
これは、確かに政府がやるべきことだと思うんですね。
だけど、日本の政府はやらないので、やはり、国民が
声を上げるべきだと思うんです。
この国の主権者は「国民」じゃないですか。
例えば、「なでしこアクション」の山本優美子さんがいるじゃないですか。
今年(2014年)も山本さんは国連の人権理事会で
発言しましたが、いろいろな動きはあるわけですよ。
それをやるのは、やっぱり民間だと思います。
この国は、民間が動かないとだめですね。

里村 実際に私も今まで、「ザ・ファクト」の取材で
政府関係者、あるいは代議士の方にもいろいろ話を
聞いたんですが、基本的にはしゃべれない。言えない。
波風を立てないでくれ、みたいな感じが強くて。
やっぱり民間人がまずはやらなきゃいけないし、
でも政治家も勇気を持ってやらなきゃいけないですよね。

及川 そうですね。
政府が悪いとか外務省が悪いと言うのは
簡単なんだけど、だけどそんなこと言ったら
日本の誇りがいつのまにかなくなっちゃいますよね。
だから、私は日本の国の主権者の一人として、
声を上げているんです。

(第2回目へつづく)
オバマ政権が「アメリカの自信」を失わせた? 米国2016最新事情②

(第3回目はこちら)
なぜ、大統領候補ドナルド・トランプが人気なのか? 米国2016最新事情③