来年2022年に開催が予定されている北京冬季五輪開催を巡り世界中で開催是非を問う動きが広がっています。果たして、北京2022年冬季五輪は開催すべきなのか。日本でも森会長の「女性蔑視発言」で揺れるオリンピック問題をザ・ファクトが取材しました。

記者会見登壇者

記者会見全景

※以下、写真左から

日本

石井英俊氏(自由インド太平洋連盟 代表)

チベット

小原カルデン氏(在日チベット人コミュニティー代表)

東トルキスタン(ウイグル)

于田ケリム氏(日本ウイグル協会 会長)

南モンゴル

チメド・ジャルガル氏(南モンゴルクリルタイ 副会長)

香港

ウィリアム・リー氏(Stand with HK@JPN 代表)

中国

王戴氏(民主中国陣線 副主席)

声明文(全文)

人権弾圧下の北京における2022年冬季オリンピック開催に抗議する共同声明文

2022年の北京冬季オリンピック開催が1年後に迫っています。平和とスポーツの祭典が 成功裏に開催され、選手たちが祖国や共同体の名誉のために競い合う雄姿に出会う日を、多く の人々が待ち望んでいます。

しかし、残念なことに、オリンピック開催が予定されている北京を首都とする中華人民共和 国においては、オリンピック精神とはかけ離れた人権弾圧が繰り広げられています。

オリンピック憲章によれば、オリンピックの目的は「人間の尊厳を保つことに重きを置く平 和な社会の確立を奨励すること」「いかなる差別をも伴うことなく、友情、連帯、フェアプレーの精神をもって相互に理解しあう」ことであることが明記されています。

現在、中華人民共和国においては、新疆ウイグル自治区において、数百万ともいわれるウイ グル人が再教育センターという名のもとに、事実上の強制収容所に入れられています。内モンゴル自治区においては、学校教育の現場から、母語であるモンゴル語教育を受ける機会が奪われています。チベット人の住む地域においても、かつての文化大革命時代同様の仏教寺院の破壊と宗教弾圧が続いています。また、香港においては民主活動家や議員に対する不当な逮捕が相次ぎ、国際公約であったはずの一国二制度はすでに形骸化しています。中国国内の民主活動家や、法輪功修練者への弾圧は一向に改善されてはいません。

このような人権弾圧が継続する中国において北京オリンピック冬季大会が開催されることは、オリンピック憲章の精神に反するものとみなさざるを得ません。かつて、ナチス・ドイツの首都ベルリンで開催されたオリンピックは、ナチス政権の正統性を高め、その独裁体制と人権弾圧、民族差別政策を隠すために利用されました。また2001年、中国政府は夏季オリンピック開催地選考において、「オリンピック開催で人権状況は向上する」と公約して、2008年北京夏季オリンピックを招致しましたが、公約は無視され、治安維持の口実で多数の人が弾圧され、オリンピックは共産党独裁体制の国威発揚に利用されてしまいした。これらの歴史的教訓を世界は忘れてはなりません。

かつて、アフガニスタンを侵略したソ連の首都、モスクワで開催されたオリンピックに対し、 多くの自由民主主義諸国はボイコットをして抗議の意思を表明しました。この歴史を思い起こしつつ、私たちは独裁政権に弾圧されている人々の救援のために、また、オリンピック憲章の精神を護るために、中国政府並びに国際社会に以下の3点を呼びかけます。

1.中国政府は、オリンピック憲章の精神にのっとり、チベット、ウイグル、南モンゴル(内モンゴル)、香港における人権状況を改善するとともに、民主活動家や法輪功修練者への弾圧を即時停止せよ。また、強制収容所の撤廃、政治犯の釈放を行い、言論、表現、信仰、結社の自由を保証せよ。

2.中国政府は、2022年冬季北京オリンピックに国際社会が協力し選手を参加させるため の前提条件として、中国国内の人権状況改善を確認するための国際調査団の派遣を受け入れよ。

3.日本政府並びに各国政府、国際社会及び各国オリンピック委員会は、自由、人権、民族自決権の中国における実現、並びにオリンピック憲章の精神を護るために、人権状況の改善なき場合は2022年北京冬季オリンピックをボイコットすることを宣言せよ。

2021年2月4日

共同声明署名人
小原カルデン(在日チベット人コミュニティー代表)
ツェリン・ドルジェ(Students for a Free Tibet Japan代表)
于田 ケリム(日本ウイグル協会会長)
チメド・ジャルガル(南モンゴル・クリルタイ副会長)
ウィリアム・リー(Stand with HK@JPN代表)
王戴(民主中国陣線副主席)
石井 英俊(自由インド太平洋連盟副会長)
三浦小太郎(評論家)

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