オバマ米国大統領が「イスラム国」に関する声明を発表

2014年9月10日、オバマ米国大統領は「イスラム国」に関する声明を発表しました。そこでは「我々の目的は明確だ。すなわち、包括的かつ持続的な対テロ戦略を通じ、『イスラム国』を弱体化し、最終的には壊滅させることだ」と明言されています。この演説のポイント、そしてアメリカと「イスラム国」との関係について、中東問題に詳しい幸福実現党の城取良太氏に話を聞きました。

同氏は今回の演説についてポイントを2つ挙げ、1つ目は「アメリカの空軍力を最大限使うが地上部隊は派遣しない」という点、2つ目は「地上部隊の戦闘に関しては、反政府勢力や周辺のパートナー国によって行い、アメリカはあくまでもその支援にとどめる」点としています。

間接的に「イスラム国」を生み出してしまったアメリカ

1年前、アメリカが「世界の警察官」を降りた経緯

今回の演説のちょうど1年前にあたる、2013年9月10日、オバマ大統領はシリアへの軍事介入を延期した際の演説で「アメリカは『世界の警察官』ではありません。恐ろしいことが世界中で起こっています。アメリカがすべての誤りを正すことは分不相応です」と述べています。当時シリアでは、2011年からアサド政権と反体制軍との内戦が続いていました。そのシリアに対し2013年8月、オバマ大統領は大量破壊兵器である化学兵器を使用したとして一度は介入を宣言。しかし、国民や議会、イギリスの反対やロシアの提案を受け、一転、軍事介入を取りやめました。

アメリカの介入が遅すぎたため「イスラム国」が台頭してきた

「イスラム国」の台頭について、アメリカが「世界の警察官」から降りたことが大きな要因になっている、と城取氏は話します。実際、サウジアラビアのアブドラ国王は「アメリカが早い段階でシリアの内戦、反政府勢力の穏健派に対して大きな支援、軍事的支援をしなかったことが、今回の混乱や『イスラム国』の台頭を許した」と言っています。歴史に「if」は禁物なのかもしれませんが、去年アサド政権が化学兵器を使用した段階でアメリカがシリアに本格的な介入をしてアサド政権を打倒し、事態が収束を見せてシリアが国として生まれ変わっていたら、今のように「イスラム国」のような武装組織が勢力を伸ばすことはなかったでしょう。この意味で、間接的に、アメリカの遅すぎた介入が「イスラム国」という怪物を生み出したといえる、と城取氏は指摘します。

アメリカがシリアに介入してこなかった理由

アメリカの中東政策の3本柱が根底から崩れてきている

冷戦時代、アメリカの中東外交には3つの目的がありました。1つ目はソ連の封じ込め、2つ目は石油の確保、3つ目はイスラエルを守ることです。しかし時代が変わり、ソ連がなくなり、米国ではシェールガス革命が起きてエネルギー面で中東に依存する必要性は減ってきました。またイスラエルに関しては、今世紀に入ってから特に守る必要性を疑問視する議論も出はじめました。

また、シリア介入によって、反米イスラム国家を生み出してしまう危険性があったこと、さらにアメリカの大幅な軍事費削減という懐(ふところ)事情や、米国民が戦争に疲れていたことが挙げられます。

米国民の6割がシリア介入に賛成

城取氏は、介入という行為自体をオバマ大統領は望んでいないと思うと話します。しかし、米国世論調査によると、国民の6割がシリア介入に賛成を示したとのこと。民主党、特にオバマ大統領は世論に弱く、迎合する性質があるため、今回の介入に踏み切ったという見方ができます。同氏はさらに、「イスラム国」がこれほどまでに大人数を集め、武器を有することができている現状から、ともすれば意外な国が資金源になっていることも考えられると指摘。その場合、資金源を叩かなければ「イスラム国」との戦いが長期化すると話します。